Senin, 15 November 2021

超巨大ブラックホール、宇宙とともに膨張している説。どういうこと? - GIZMODO JAPAN

宇宙とはいったい何なのか?を考える、とんでもなくスケールの大きなお話。

検出不可能とされていた重力波人類が初めて観測したのは2015年のことでした。ふたつの超巨大ブラックホールが激しくぶつかり合った衝撃が時空のさざ波となり、13億年かけて地球に到達したところを重力波検出器LIGOがとらえました。この歴史的な観測以降も同様の重力波が多く検出されており、ブラックホール同士の衝突についての知見を深めるのに役立ってきました。

しかし、そればかりではありません。ここにきて、その重力波のデータを研究していたとある研究チームがめちゃくちゃ斬新な仮説を打ち立ててきました。なんでも、重力波データを読み解いていくと、超巨大ブラックホールは宇宙と連動して膨張していると考えられるそうなのです。

ふくらむ宇宙

宇宙は膨張しています。そしてその膨張は加速し続けています。現在知られている物理法則ではなぜ加速しているのかをまだ説明できていなくて、今のところは謎の「ダークエネルギー」によって膨張が加速しているといわれています。

そして、宇宙が膨張しているからといって、宇宙に存在しているモノも宇宙と一緒に膨張しているわけではないともいわれています。

わかりやすいたとえは風船です。あらかじめ点がふたつ描かれた風船をふくらましたら、風船が大きくなるにつれて点と点の間の距離が延びて、点同士が遠ざかっていくように見えますよね。

このように、地球から遠く離れた銀河を観測すると、赤方偏移(天体の発する光の波長が伸びて観測される現象)が起きているのがわかります。これは銀河同士が加速しながらお互い遠ざかっていることを意味していますが、銀河そのものが膨張しているのではなくて、銀河と銀河を隔てた時空が膨張しているからだと考えられてきました。

ふくらむ宇宙と一緒にふくらむブラックホール

ところがです。この従来の考え方をくつがえす新しい仮説が提唱されました。宇宙は宇宙に存在している天体もろとも膨張しているのではないか、というのです。すなわち、宇宙という風船をふくらませた時、点そのものも大きくなっているのでは?ってことですね。

地球や、地球が属している太陽系は重力によって束ねられているので、私たちが宇宙の膨張を直接経験することはありません。しかし、超巨大ブラックホールならどうでしょう?

超巨大ブラックホールの質量は際立って大きく、天体としての寿命も際立って長いので、宇宙が膨張するにしたがって一緒に膨張しているのではないか?──その膨張を理論的に解明しようと試みたのが、ハワイ大学マノア校の宇宙物理学者・クローカー(Kevin Croker)教授をはじめとする研究者チームです。

ふくらむブラックホール同士が衝突

研究チームは2015年に重力波検出器LIGOが観測した重力波、そしてその重力波のもととなったふたつの超巨大ブラックホールについて詳しく調べたそうです。

LIGOが観測した重力波は、言ってみれば映画の予告トレーラーの最後の10秒だけをチラ見したようなものでした。対して私たちが提案している新たなモデルは、ふたつのブラックホールが近づき、そして衝突するまでのストーリーの一部始終を説明できます。そして全体像が見えることにより、重力波がどのような状況下で起こったのかがより明確になると期待できます

とクローカー教授はメールで説明しています。

チームはふたつの超巨大ブラックホールの大きさを宇宙の膨張に比例してモデリングしました。すると、ブラックホール同士がお互い近づき合うにつれて大きくなっていたそうです

この結果から、すべての超巨大ブラックホールが同様に膨張していると推察されるそうなのですが、重力波を観測できない限りはブラックホールそのものを検知することが難しいのでなかなか検証しにくいのだとか。でも、もしもこの仮説が正しければ、我らが銀河系の中心に位置している超巨大ブラックホールさえも宇宙の膨張とともに大きくなっていることになります。

クローカー教授によれば、

私たちの研究からは、ブラックホールの質量は宇宙の大きさをある指数で累乗した値に比例すると導き出されます。この指数が、ふたつのブラックホールが衝突したときに生じる「強さ」を表しています。

どんな膨張している宇宙においても、ブラックホールの質量はこのように増大するものと考えられます。もし膨張が加速しているのなら、ブラックホールの質量の増大もどんどん加速していきます。ですから、ブラックホールの増大を引き起こしているのは膨張の加速ではなく、膨張そのものであることがわかります。

いや、素人にはちょっとよくわかりません……。

宇宙との連動性

Illustration: NASA/JPL-Caltech via Gizmodo US

通常ブラックホールの質量を計算する際、宇宙は膨張していないものとみなされるそうです。要するに、宇宙の膨張をいったん止めてしまって、ある刹那の中でブラックホールの質量を計算しているので、その後の宇宙の膨張がブラックホールの質量にどのような変化をもたらすかまでは考慮されていないんですね。

ブラックホールとはそもそも宇宙一密度が高い天体で、重い星が自重に耐え切れずにつぶれた名残りです。すさまじい重力で周りのものを引きつけるため、ブラックホール同士が衝突してお互い飲み込み合うことも。このような融合はとても長い時間、時には何十億年もかかることがあるそうです。

これほど長い時間がかかるため、ブラックホールがそれぞれ誕生した時と、その後ブラックホール同士が衝突した時までの間に宇宙の大きさはずいぶんと変わっているはず、と研究者たちは考えているそうです。シカゴ大学宇宙物理学教授で、NASAハッブルフェローでもあるゼビン(Michael Zevin)ポスドク研究員によれば、

ブラックホール同士の融合にかかる質量は、ブラックホールが形成された時の大きさ、形、軌道の長さ、そして寿命によっても変わってきます

とのこと。そこに宇宙そのものの大きさも関わってくる、ということなんでしょうか。

この「cosmological coupling(直訳:宇宙カップリング)」、すなわち天体や粒子の性質が宇宙の性質とリンクしている現象はまだ仮説でしかありませんが、ブラックホール以外にも挙げられる例が光子だそうです。ただし、光子と宇宙の場合は相反する関係にあり、宇宙の膨張とともにブラックホールのエネルギーが増大していくのとは逆に、宇宙の膨張とともに光子のエネルギーは減少していくそうです(波長が引き延ばされてしまうため)。

すべての物質は宇宙と連動している?

さらに。もしこの「宇宙カップリング」現象が、ブラックホールや光子に限らないとしたら?

ミシガン大学の宇宙物理学者、ターレ(Gregory Tarlé)教授は、メールでこのように説明しています。

私たちの体や、太陽の核など、もっと身近にある普通の物質においても、非常に、非常に弱くではありますが宇宙が膨張している速度にカップリングしていると考えられます。ただし、その効果が歴然となるのはブラックホール、そしてもしかしたら中性子星など、宇宙における最も極端な環境においてのみでしょう。

ふむ、体重の増加を宇宙のせいにしてはいけない、と。

もちろん、これはまだ仮説に過ぎません。でも現在建設中の新しい、さらに強力な重力検出装置が使えるようになれば、重力波の研究においてさらに詳細なデータが得られるはずです。さらに、今後望遠鏡の精度にさらに磨きがかかれば、見渡す限りの宇宙に存在している天体にフォーカスし、撮影できるようになります。

こうして今後宇宙に関して集められるデータがさらに詳しく、さらに鮮明になってくるにつれ、この宇宙が一体風船なのかなんなのか、ヒントをつかめてくるのかもしれません。

Reference: 天文学辞典, The Astrophysical Journal Letters

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2021-11-15 13:00:00Z
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