Rabu, 30 September 2020

頑張れば手が届くフルサイズ。4K/60pも撮れる「LUMIX S5」を試す - AV Watch

ハイエンドの次の一手

パナソニックが2019年3月に、同社初のフルサイズ機「LUMIX S1」及び「LUMIX S1R」を投入、そして同年9月にははやくも第2弾となる「LUMIX DC-S1H」を発売した。特にDC-S1Hは6K動画撮影可能機として、コンテンツ制作業界に大きく接近したのも記憶に新しいところだ。

さらに次なる一手として、今年9月25日に「LUMIX S5」(DC-S5)を発売した。S1シリーズがボディだけで50万円超えのプロ向けハイエンドであったのに対し、S5はサイズを大幅に小型化し、4K/60p撮影も可能にした意欲作である。ボディ価格も実売24万円前後と、S1シリーズの半分以下に抑え、個人で手が届くところに収めてきたあたり、さすがパナソニックである。

今回はキットレンズの「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6(S-R2060)」も一緒にお借りしている。セットの店頭予想価格は28万円前後と、30万円以下に収めてきた。差額で考えるとレンズだけで4万円するのだが、なんとなく全体ですごく安い気がしてくるという大変危険な値付けである。

いよいよ一般にも普及の兆しが見えてきたフルサイズ機を、早速テストしてみたい。

4K/60pが軽快に撮影できる

では早速撮影してみよう。本機の特徴といえば、なんといっても中級機ながら4K/60p撮影に対応していることであろう。ただしセンサーサイズが強制的にAPS-C以下に制限されてしまうのが残念なところである。

4K/60p撮影サンプル

画質的には、フルサイズとAPS-Cサイズで大きく違うわけではない。したがって1本のレンズでも2通りの画角が使えるという面白さはある。

AFに関しては、広い絵では人体認識、近づけば顔認識へと切り替わり、全域で危なげなく追従する。自動認識で寄りのパンアップを撮影してみたが、靴、スカートのあたりで一瞬迷いが見られるものの、すぐに合焦。ただ顔がフレームに入ってきてから、一瞬なんらかのモード切替動作がある。写真撮影ではあまり問題にならないだろうが、動画撮影ではこのモードの隙間に課題があるようだ。

AFサンプル。顔認識による追従性は上位モデル譲り

手ブレ補正もテストしてみた。レンズ内の光学手ブレ補正がないので、光学としてはボディ内補正に頼ることになる。だが広角レンズを使えば、ボディ内補正だけでも十分な効果が得られる。

電子手ブレ補正は、「電子補正」と「手ブレ補正ブースト」の2段階がある。手持ちドリーでテストしたところ、電子補正ありのほうは補正レンジが行き過ぎて元に戻るアクションが頻繁に見られた。撮影者が動く場合の補正アルゴリズムではなく、手持ちでFIXを撮影するための機能だと思ったほうがいいだろう。ちなみに上記サンプル動画のうち、ローアングルの波打ち際のショットは「電子補正」と「手ブレ補正ブースト」がONの手持ち撮影である。

手ブレ補正のテスト。広角レンズならボディ補正だけで十分

動画撮影においては、V-log撮影もサポートしている。自分でカラーグレーディングできる人はそれほど多くないと思うが、今や動画コンテンツ制作では必須となりつつあるスキルだ。

V-log撮影そのまま
V-log撮影ならがっつり色やコントラストをいじっても余裕がある

カメラ内にはREC.709用のLUTがプリセットされているが、それ以外に4つ、VARICAM用のLUTを記憶できる。同社サイトで提供されているLUTのうち、拡張子「.VLT」のものをメモリーカードのルートに展開して、カメラ内から読み込ませるわけだ。ただしカメラ側がファイル名を8文字しか認識できないので、各LUTファイルは8文字以内にリネームしておく必要がある。

LUTは標準以外に4つ読み込める

読み込んだLUTは、カメラ本体のモニター(ビューファインダ及び液晶ディスプレイ)に適用できるほか、HDMI出力にも適用できる。現場でHDMIモニターで仕上がりを確認するだけでなく、アマチュアが家に帰ってきてテレビに繋いで映像をチェックするときなどでも、気軽にLUTを切り替えて確認できる。

LUTは本体ディスプレイとHDMI出力別々にON・OFFできる

もちろん、プレビュー用だけでなく編集ソフト用のLUTも同じものが提供されているので、編集時に適用することもできる。

REC.709標準
Fashion1
Golden2
WarmDawn

スロー撮影も充実

スロー撮影も充実している。基本的に8bitモードでしか動かないが、4Kでのスロー撮影も可能だ。記録フレームレートに対してセンサーのフレームレートを選択することでスピードが決まる。例えば4K撮影ではセンサーフレームレートは最大60pなので、30p記録すれば2倍スロー、24p記録すれば2.5倍スローになるわけだ。

最大で7.5倍のスロー撮影が可能

HD解像度では、センサーフレームレートは最高180pに設定できる。24p記録すれば、最大で7.5倍速スローが撮影できることになる。ただしAFが効くのはセンサーフレームレート120pまでで、それ以上になるとマニュアルフォーカスになる。

4K/30p記録による2倍速スローと、HD24p記録による7.5倍速スロー

夜間撮影もテストしてみた。通常撮影ではISO 100から51200まで可変できるが、V-log収録ではISO 640から51200までとなる。本機もS1H同様、高感度撮影時は処理回路が切り替わる「デュアルネイティブISOテクノロジー」を搭載している。

特に設定はないが、V-log撮影の際にISO4000以上になると自動的に処理が切り替わる。今回は通常撮影と比較してみたが、通常撮影ではNR処理が入るので、S/Nが良くなっている。一方V-log撮影では後処理でNRするのが前提となっているので、本体内でNR処理をしておらず、撮って出しではS/Nが悪く見える。

前半は通常撮影、F4/シャッタースピード1/60。後半はV-log撮影し、標準LUTをあてたもの、F3.5/シャッタースピード1/60

総論

本機S5は、S1シリーズに対して下位モデルにあたるわけだが、動画撮影に関しては若干の制限があるだけで、ほとんどの機能はS1Hと変わりない。むしろローパスフィルターレスになるなど、有利な面もある。HLGやV-Log撮影もできるし、ボディが小型なので取り回しも楽だ。もちろん、価格も半分以下である点も見逃せない。

S1シリーズは新設計で意欲的に高いところを狙っていったモデルだが、S5は過去のこなれた設計を持ってきて完成度を高めたシリーズである。おそらくこの5ナンバーが、パナソニックのフルサイズとして今後スタンダードシリーズ化するのではないかと予想する。

デジタルシネマ文脈では4K24pか30pがあれば十分だが、今回4K60pに対応したことで、テレビ放送への利用も可能になった。現状4K60p放送はBSしかないが、地上波でもネット配信やセルコンテンツ化のために4K60pで制作している番組は少なくない。APS-Cサイズ以下でしか撮影できないので、画角が若干狭くなるのが難点だが、サブカメラや固定カメラとして制作費を大幅に下げられるだろう。

もちろん、この価格帯ならコンシューマ市場でも十分存在感を示せるだろう。フルサイズ機の中でも、いろんな機能が簡単に使える、手堅いカメラとして人気が出そうだ。

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2020-09-30 23:30:00Z
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YouTubeやNetflixを横断検索「Google TV」。リモコン付き新Chromecastも - AV Watch

Googleは30日(現地時間)、YouTubeやNetflix、Amazon Prime Videoなどの動画配信サービスで提供されているコンテンツを横断的に検索・表示する「Google TV」と、Google TVを搭載した新デバイス「Chromecast with Google TV」を発表した。Chromecast with Google TVは、米国にて49.99ドルで販売開始。日本国内でも提供を予定している。

アプリや動画配信サービスの番組を横断検索できる「Google TV」

Google TVは、Googleの検索を利用して、アプリや動画配信サービスで提供されている映画や番組、現在放送中のライブコンテンツを横断的に検索できるのが特徴。

UIから任意のタイトル・番組名を検索したり、ジャンルで検索することが可能。タブからオススメコンテンツも表示できる。またGoogle検索でトレンドになっているタイトルも表示され、タイムリーに関連性のあるものをいつでも見つけることができるという。

Welcome to Google TV

ウォッチリスト機能を使用すると、後で視聴したい映画や番組を簡単にブックマークすることが可能。スマホやPCのGoogle検索からウォッチリストに追加することもでき、帰宅後はすぐにテレビで視聴できるようになる。

スマホでコンテンツをブックマークすれば、帰宅後すぐにテレビで視聴可能
ライブ中のコンテンツもタブから選択可能

Google TVでは、互換性のある接続済みホームデバイスを音声だけで表示、制御することも可能。Googleアシスタントボタンを押し「玄関を見せて」と言うと、防犯カメラ映像を表示。またテレビを見ていないときは、アンビエントモードに遷移。Googleフォトに接続して、写真表示できる。

Google TVはAndroid TV OS用に作られた6,500以上のアプリと互換性があり、ゲーム、フィットネス、教育、音楽などのお気に入りにアクセスできる。なおStadiaのサポートは、2021年の前半を予定している。

なおGoogle TVは、Chromecast with Google TVほか、アプリ「Google Playムービー&TV」をアップデートすることでも利用可能(現在は米国のみ)。'21年以降には、ソニーなどのAndroid TV OSパートナーのテレビでも利用できるようになるという。

音声リモコンが付属した新デバイス「Chromecast with Google TV」

Chromecast with Google TVは、テレビにHDMI接続して動画配信などが楽しめるメディアプレーヤー「Chromecast」の新モデル。新たにコンテンツの横断検索・表示に対応するGoogle TVを搭載するほか、音声リモコンが付属するようになった。

「Chromecast with Google TV」

本体とHDMIケーブルが一体化したデザインと、テレビ背面のHDMI入力に挿し込んで使用するスタイルは従来型と共通。

最大で4K/HDR、60フレーム/秒の動画をストリーミング可能。Dolby Visionにも対応し、鮮やかな色彩、コントラスト、明るさ、ディテールを楽しめるという。Dolby音声のHDMIパススルーもサポートする。

持ちやすさと使いやすさを兼ね備えたという、音声リモコンを付属。Googleアシスタントボタンを搭載し、「今日の天気は?」などといった日常の質問に答えたり、声だけでYouTube Musicの操作が可能。スマートホームの照明を制御することもできる。

YouTubeとNetflixのダイレクトボタンを搭載し、お気に入りのアプリにすぐにアクセス可能。テレビの電源、音量、入力切り替えも行なえ、複数のリモコンで操作する必要がないという。

Chromecast with Google TVは米国より先行発売。日本でも販売を予定している。

Introducing the new Chromecast with Google TV

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2020-09-30 22:52:26Z
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Xbox Series XのGPUコアアーキテクチャを解く - PC Watch

7nmプロセスで360平方mmの大型ダイ

TSMCのN7以降の先端プロセス技術

 Microsoftの次世代ゲーム機「Xbox Series X」は、AMDのZen 2系CPUコアとRDNA系GPUコアをベースとしたカスタムSoCを心臓として備える。

 アーキテクチャの系列としては、前世代同様にPlayStation 5(PS5)と近似性がある。Microsoftは、アーキテクチャを積極的に公開しており、今年(2020年)8月に開催されたプロセッサカンファレンスのHot Chipsで、アーキテクチャ概要が明らかにされた。

 Xbox Series XはTSMCの7nmノードプロセスの「N7」の拡張版「N7e」で製造される。ダイは360.4平方mmで、153億トランジスタ。そのなかでGPUコアが最大の面積を取っている。

 Xbox Series XのGPUコアは、AMDの「RDNA 2」アーキテクチャと機能はよく似ている。RDNAをベースに、レイトレーシング(Ray Tracing)のハードウェアアクセラレーションと、バリヤブルレイトシェーディング(Variable-Rate Shading:VRS)やサンプラフィードバックストリーミング(Sampler Feedback Streaming:SFS)などの制御機能を備える。

16nmから7nmまでのTSMCプロセスの相対スペック比較

 AMD系のGPUコアは、「CU(Compute Unit)」と呼ばれる演算ユニットを基本構造としている。Xbox Series XのGPUコアはトータルで52個のCUを備える。各CUには64個のFP32積和算コア(Streaming Processor)が搭載されており、トータルでは3,328個の積和算ユニットとなる。動作周波数は1.825GHzであるため、ピーク性能は12TFLOPSにのぼる。

Xbox Series Xのダイレイアウト
Xbox Series Xのスペック
Xbox Series Xのシステム

ベースはAMDのRDNA系アーキテクチャ

 Xbox Series XのGPUのアーキテクチャは、AMDのRDNA系アーキテクチャをベースにしている。基本的な構造はRDNAと同じだ。CUにはグラフィックスの演算とテクスチャなどの基本的なプロセッシングユニットがすべて含まれる。

 第1世代のRDNAとXbox Series Xの設計でもっとも大きな部分は、レイトレーシングのアクセラレータユニット「レイアクセラレータ(Ray Accelerator)」の搭載だ。レイアクセラレータは、各CUに1ユニットずつ搭載されている。

RDNA1のCUアーキテクチャ
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Xbox Series XのGPU CUアーキテクチャ
PDF版はこちら
Xbox Series XのGPU CU

 基本構造から見ると、AMDのRDNAアーキテクチャでは、2個のCUが結合した構造となっている。2個のCUで構成されるユニットは、「WGP(Workgroup Processor)」と呼ばれる。

 WGPには、2個のCUのほかに、命令キャッシュ、スカラデータキャッシュ、ローカルのスクラッチパッドメモリである「ローカルデータシェアメモリ(Local Data Share Memory:LDS)」が含まれる。これらのユニットは2個のCUで共有されている。WGPが、AMDのGPUの演算クラスタを構成する最小単位だ。

 WGP内でのユニットの共有には意味がある。AMDのGPUの実行バッチは「Wavefront」または「Wave」と呼ばれる。そして、Wavefrontをグループ化した「ワークグループ(Workgroup)」単位でプロセッサクラスタであるCUに割り当てられる。

 ワークグループは、LDSを使ったデータ共有が可能なグループである。RDNAアーキテクチャでは、ワークグループをCUに割り当てるモードだけでなく、WGPに割り当てるモードも備えている。WGPにワークグループを割り当てる場合は共有のLDSを介して、2個のCUに割り当てられたすべてのWaveでデータ交換ができる。WGP構成を取ることで、より大きなワークグループのなかでのデータ共有を可能にしている。

 AMDアーキテクチャのGPUコアのなかでは、WGPは複数ユニットでクラスタを形成している。そして、クラスタ内のWGP間でL1データキャッシュやラスタライザ、プリミティブアッセンブリユニットを共有している。

 WGPの内部のCUをさらに分解すると、CUがさらに2個の演算ブロックに分かれている。2個の演算ブロックには、それぞれ命令ユニットがあり、同サイクルに、2命令ユニットがそれぞれが独立して異なる命令ストリームの命令を実行ユニット群に対して発行できる。

 CU内の実行ユニット群は、2組の演算ブロックに分かれているユニットと、共有のユニットがある。32レーンのベクタ演算ユニット(VALU)と1個のスカラ演算ユニット(SALU)、メッセージングなどの制御系のユニットは、2セットずつ備えられている。

 2個の命令ユニットは、それぞれ専用のVALUとSALUと制御ユニットに命令を発行する。一方、メモリアクセス系のユニットは、1ユニットを2つの演算ブロックで共有するユニット群となっている。CU内の共有リソースには、ロード/ストア、テクスチャプロセッシング、ローカルデータシェアアクセスが含まれている。

2個の命令ユニットから2セットの演算アレイと共有リソースに命令発行

 Xbox XのGPUコアのCUには、レイトレーシングのアクセラレータユニット「レイアクセラレータ(Ray Accelerator)」が実装されている。レイアクセラレータは、各CUに1ユニットで、2つの命令ユニットの共有リソースとなっている。

 この点は、テクスチャユニットと同じだ。CU内のレイアクセラレータは、4レイオペレーションを1クロックで実行と説明されている。

 通常、レイトレーシングのアクセラレーションでは、レイトレーシングのフローのなかで、レイを伸ばす「トラバーサル(Traversal)」とレイとオブジェクトの交差を判定する「インターセクションテスト(Intersection Test)」をハードウェアで処理する。

 1つのレイのトレーシングには複数オペレーションが必要と見られるため、4レイオペレーション/クロックは、そのままレイ処理性能に置き換えられるわけではない。

 レイトレーシングのスペックとしては、GPUコア全体でピークで380G/sレイボックス、95G/sレイトライアングル。Microsoftは、シェーダプロセッサ上のソフトウェアでレイトレーシングを実行する場合と比べて、最大10倍の性能と説明している。

Xbox Xはレイトレーシングをハードウェアでアクセラレート
Xbox Xでのレイトレーシング機能

 AMDのRDNA CUでは、2個の命令ユニットは、それぞれが1個のベクタALU命令と1個のスカラALU命令、そして1個の制御命令、1個のベクタデータ命令を同時に発行できる。最大で4命令/サイクルだ。

 Microsoftは今回、CU内部では合計で7命令を同時に発行可能と説明している。2個のベクタALU命令、2個のスカラALU命令、2個の制御命令、そして1個のベクタデータ命令だ。

 ベクタデータ命令だけは1命令/サイクルとなっている。ベクタデータ命令の実行ユニットは共有ユニットであるため、命令のアービターが2つの命令ユニットからの命令を調停する。そのため、ベクタデータ命令は、各サイクルに1命令と見られる。

 じつは、AMD RDNAの場合、共有リソースで実行される命令はベクタメモリ命令、テクスチャ命令、ローカルデータシェア(LDS)命令があり、Xbox Series Xではさらにレイトレーシング命令もある。

 Microsoftの説明からすると、これらのユニット群に対する命令は、各サイクルに1命令だと見られる。つまり、共有のアービターユニットがあり、2個の命令ユニットからのベクタメモリ/テクスチャ/LDS/レイトレーシング命令が調停されて各サイクル1命令が発行されると推測される。

共有リソースとして分離されたレイアクセラレータ

 GPUの場合、演算系命令のスケジューリングとメモリアクセスが伴う命令のスケジューリングが明確に分離されているケースが多い。GPUの場合、インフライトで扱うスレッド数が多いため、演算命令は決め打ちのレイテンシで、スレッドを切り替えることでレイテンシを隠蔽できる。

 しかし、レイテンシが不定で長いメモリアクセスの場合は、異なる制御が必要となる。そのため、分離して制御することが理にかなう。レイアクセラレータも、3D空間のオブジェクトを階層管理するバウンディングボリューム(BVH)データにアクセスする必要があり、レイテンシが不定のオペレーションとなると見られる。

 Xbox Series Xでのレイアクセラレータの実装方法は、NVIDIAではじめてレイアクセラレータを実装したTuringアーキテクチャとある程度似ている。Turingアーキテクチャでは、1個のSM(Streaming Multiprocessor)のなかに4個のプロセッシングブロックがある。命令ユニットと演算エンジン群はそれぞれのプロセッシングブロックに配置され、テクスチャユニットとレイアクセラレータの「RTコア」は共有リソースとなっている。

 Xbox Series Xでは2個のブロックがレイトレーシングユニットを共有するのに、Turingは4個のプロセッシングブロックで共有する仕組みだ。しかし、AMDアーキテクチャでは、各演算ブロックのベクタエンジンはFP32で32-way、それに対してTuringでは各プロセッシングブロックのベクタエンジンが16-way。ベクタ演算に対するユニットの共有の比率では同等となる。

 こうした構造であるため、Xbox Series XではレイトレーシングのBVHトラバーサルなどのタスクは、シェーダプロセッシングとは完全に分離されて行なわれる。言い換えれば、シェーダパフォーマンスを食わない。

NVIDIAのTuringアーキテクチャ
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 ちなみに、RDNAアーキテクチャでは、Waveのバッチは64エレメントのWave64か、32エレメントのWave32の2モードとなっている。従来のAMDアーキテクチャでは64エレメントだったが、RDNAでは粒度の小さな32エレメントのWave32がメインとなっている。

 また、Special Function Unit(SFU)も積和算ユニットから分離されて独立した。そのため、ベクタ命令の実行が大きく変わっている。

RDNAのWave32での命令スケジューリング
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Xbox One系のGPUコアのGCN(Graphics Core Next)アーキテクチャでの命令スケジューリング
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 グラフィックス描画の制御として、Xbox Series Xではバリヤブルレイトシェーディングと、サンプラフィードバックストリーミングなどの制御機能が導入された。前者でシェーダプロセッシングの負荷を減らし、後者でメモリ帯域への圧迫を減らす。

Variable-Rate Shading
Sampler Feedback Streaming

冗長性のために56個のCUが実装されたGPUコア

 Xbox Series Xでは、2個のCUを搭載したWGPが7ユニットバンドルされて、1つのシェーダエンジンアレイとなっている。WGP 7ユニットのクラスタには、ラスタライザとレンダーバックエンドが配置されている。

 RDNAアーキテクチャでは、GPUは複数のWGPユニットのクラスタを大きな単位として構成されるが、このクラスタには特別な名称がついていない。ここでは、仮にWGPクラスタとしておく。

 AMDの従来のGPUでは、WGPクラスタに相当するクラスタには、ジオメトリプロセッシングユニットが付随していた。しかし、RDNAアーキテクチャでは、ジオメトリパイプラインの最後段の「プリミティブアッセンブリユニット(Primitive Assembly Unit)」だけがWGPクラスタ側に配置されている。プリミティブアッセンブリの前のジオメトリプロセッシングは、GPUコア全体で1ユニットにまとめられている。

 WGPクラスタは、ジオメトリ処理から後のパイプラインに必要なユニットがすべて備えられているミニGPUとなっている。また、L1データキャッシュも共有されている。

 この構成はRDNAアーキテクチャの特徴だ。従来のGPUでは、レンダーバックエンドはプロセッサクラスタとは内部バスで分離され、L2キャッシュに連結されていた。RDNAではレンダーバックエンドはCU群とクラスタになっており、L1キャッシュを共有している。そのため、WGPクラスタとレンダーバックエンドの間で、フルにカラー圧縮技術を使うことができる。

Xbox Series XのWGPクラスタとCU
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 Xbox Series XのGPUコアは4アレイのWGPクラスタに分離されている。各WGPクラスタには7ユニットのWGPが配置されている。トータルでは物理的には28ユニットのWGP、56ユニットのCUが実装されている。

 実際の製品では、これらのうち2個のWGP(=4個のCU)が無効にされている。これは、不良箇所のあるCUを無効にすることで、チップ全体の歩留まりを上げるためで、GPUでは一般的に行なわれている。言い換えれば、4個のCUは製品歩留まりのための冗長ユニットとなっている。

Xbox Series X GPUコア

Xbox系のシステムに合わせたデュアルコマンドプロセッサ

 Xbox Series XのGPUコア全体の構造で、AMD製のGPUコアとの大きな違いは「グラフィックスコマンドプロセッサ(Graphics Command Processor)」を2ユニット持つことだ。グラフィックスコマンドプロセッサは、グラフィックス描画命令のストリームを処理するスカラプロセッサで、GPUを動かすための指揮センターだ。

 実態は、RISC(Reduced Instruction Set Computer)型命令セットのマイクロコントローラで、コマンドのストリームのハンドリングのための命令拡張が行なわれている。

Xbox Series X GPUコアのそのほかの機能拡張

 Xbox Series Xは、汎用のコマンドプロセッサを2個備えている。「複数のコマンドプロセッサによって、2つのバーチャルマシンにサポートされた2つの完全に独立したコマンドストリームを(同時に)扱うことができる」とMicrosoftは説明している。通常のGPUは、コマンドプロセッサを1ユニットしか備えていない。

 じつは、デュアルコマンドプロセッサは、Microsoftにとっては新しいアーキテクチャではない。前世代のXbox One/Xbox One Xから、デュアルコマンドプロセッサ構成を採用していた。

 デュアルコマンドプロセッサは、ゲームOSとシステムOSを併存させるMicrosoftゲーム機ならではのアーキテクチャ上の工夫だ。ちなみに、Xbox One/Xbox One Xでは、CPUコアも独自に拡張し、バーチャルマシン切り替えの高速化を図っていた。

Xbox Series XのGPUコア全体
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 AMDアーキテクチャのコマンドプロセッサには、グラフィックスも含めた汎用のコマンドプロセッサ以外に、コンピュート処理専用のサブセットのコマンドプロセッサである「ACE(Asynchronous Compute Engine)」がある。

 ACEは、コンピュートタスクをオンメモリで「Asynchronous Compute Queue」としてキューイングしておいてCU群に割り当てる。Xbox Series Xについては、Microsoftは、複数のAsynchronous Compute Queueを扱うことができると説明しており、スライドにはないがACEが搭載されている。

 AMDのGCN(Graphics Core Next)以降のGPUアーキテクチャでは、コマンドプロセッサの下に、GPU全体のワークの振り分けを行なう「ワークディストリビュータ(Work Distributor)」がある。Xbox Series Xのダイアグラムにはワークディストリビュータは描かれていないが、この基本構造が変わるとは思われないため、1ユニットのワークディストリビュータがGPU全体のワークの制御を行なっていると見られる。

 Xbox Series Xでは、グラフィックスエンジンが1ユニットとなっている。最近の大型GPUは、グラフィックスパイプラインを複数持つアーキテクチャが多かったが、Xbox Series Xは異なる。

 しかし、これはXbox Series Xにかぎらず、RDNA系アーキテクチャに共通の特徴だ。RDNAアーキテクチャでは、GPUの規模にかかわらずジオメトリプロセッサはユニファイドとなっている。

 ただし、プリミティブアセンブラは、クラスタに振り分けられている。Xbox Series Xの場合は4クラスタで4個のプリミティブアセンブラとなっている。

 Xbox Series XのGPUコアは、RDNAアーキテクチャをベースにレイトレーシングハードウェアを加え、プロセッシングとメモリ効率を上げるための仕組みを組み込んだ。現時点では、まだどこまでがAMD GPU共通の機能で、どこがMicrosoft Xbox Series X特有の機能なのかはわからない。AMDのRDNA2アーキテクチャの「Navi 2X」も、レイトレーシングハードウェアとVRSなどが実装されるからだ。

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2020-09-30 21:55:00Z
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Google TVのリモコンいい感じじゃ~ん! #LaunchNightIn - auone.jp

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Image: Launch Night In

THE 直感的。

Launch Night In」にてGoogleのChromecast後継機「Google TV」が発表されましたねー。

何ができるか?どう変わったのか?は実機をゲットしてからの話になりますが、まずこのリモコンすごく良さそうじゃない?

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Image: Launch Night In

円を基調としたシンプルなデザインもかっこいいし、アシスタントを呼び出すボタンだけ目立つように色が変わっているのも、直感的で使いやすそう。

というか、一番上の一回り大きな丸いボタン、どうやって使うのかな? 昔のiPodみたいにくるくるタイプだったりしないかな? 妄想しています。くるくるしたい。

201001-0069

お値段49ドル。日本に上陸は...?

Source: Google

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2020-09-30 19:07:55Z
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新しいChromecastはリモコンと新しいGoogle TVのUIを搭載して約5000円で年内登場 - TechCrunch Japan

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2020-09-30 18:47:05Z
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これから、Googleがあたらしいスマホ「Pixel 5」とかだすよ。よふかししましょ #LaunchNightIn - GIZMODO JAPAN

現在、リアルタイムで発表内容をまとめています(更新中)。


Chromecast(TV用メディアストリーミングデバイス)

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スマート機能をもたないテレビに取り付けてスマートTVに進化させるアイテム(の最新版)です。昨今のテレビにはAndroid TVに対応したものが多くありますが、今使っているテレビがまだまだ現役、という人も多いはず。そういった人が各種ストリーミングサービス等をスムーズに視聴できるようになるやつですね。

複数サービスの横断検索&レコメンドに対応。いい感じのリモコンもつく

旧Chromecastからの進化点は大きくふたつ。

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ひとつが、OSがAndroid TVから「Google TV」に進化したこと。具体的にできるようになったこととしては、複数のアプリ内(YouTubeやNetflix等々)を横断的に検索して、総合ダッシュボードにおすすめの番組を表示してくれるように。AppleのTV+などでも複数の動画ストリーミングサービスからのおすすめを表示してくれる機能があり、最新水準にアップデートしたといった感じでしょうか。

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またこれまでと大きくちがう点として、音声操作に対応したリモコンがつくようになったことが挙げられます。

このリモコンがかなり良さそうなんですよ。使える音声アシスタントは音声認識機能が特に優秀なGoogle Assistantですし、利用頻度の高いNetflixおよびYouTube専用のボタンもあるのもいいですね。ただし、同系統の製品であるFire TV(Amazon)やApple TV(Apple)などにはすでにこうしたリモコンが付属しており、「追いついた感」もあるかなぁ。

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カラーはスノー(白)/スカイ(水色)/サンライズ(淡い赤)の3色で、価格は49ドル。残念ながら日本のGoogle Storeには掲載されておらず、まだ購入できません。米国では本日から発売です。

同系統の製品との比較だと、Fire TV(4980円)と価格的に近く、Apple TV(税別1万5800円〜)と比べると格段に安くなっており、手を出しやすい部類と言えるでしょう。Fire TVは黒一色なのに対してChromecastはポップカラーの3色展開なのも、インテリアの細かな色合いにまでこだわる人には嬉しいかもですねー。

Google Nest Audio

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・Googleのスマートスピーカーの最新版。

・音質が改善され、低音・音量・音質のクリアさがそれぞれ向上している。

・99ドル

Pixel 4a 5G

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・OLEDディスプレイ

・5G対応

・ カメラは5と4a 5Gで共通。HDR向上し、超広角レンズを搭載。

・価格は499ドル! 安い! 手頃な価格で提供することに注力したとのこと!

Pixel 5

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・8GB RAM

・リバースワイヤレスチャージに対応

・5G対応

・ カメラは5と4a 5Gで共通。HDR向上し、超広角レンズを搭載。

・クラウドゲーミングサービス「Stadia Pro」と「YouTube Premium」が3カ月無料。「100GBのストレージ」も付属。

・699ドル

スマートフォンの新機能

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・ポートレートライト:低光量・逆行等で顔が暗くなっているのを明るく補正する機能

・動画撮影機能の強化。3つの撮影モードがあり、Cinematic Panというモードでは映画のようなスムーズな映像が撮れるようになっている。

・Hold for me:電話の保留をされたときに、Googleアシスタントが代わりに対応してくれる機能。保留待ちの時間を有効に使えるようになる

Source: Google

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2020-09-30 15:15:00Z
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ブラックホール撮影に成功したEHTチーム、新たな研究で明かす「不安定さ」とは - ギズモード・ジャパン

理論的には「あるはず」と言われ続けてきたブラックホールが、とうとう人類の目に明らかになったのは2019年4月10日のこと。

総勢347人から成るイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)チームが人類史上初めて超巨大ブラックホールの撮影に成功したというニュースは、ほんとうにセンセーショナルでした。

でも、写真が撮れたからハイおしまい、というわけではもちろんなく、その後もブラックホールの研究は続いています。これまでの調査結果からは、アインシュタインが提唱した一般相対性理論が肯定されただけでなく、ブラックホールを取り囲んでいる左右非対称なリングがぐらつきながら回っていることもわかってきたそうです。

ブラックホールの静止画

実のところ、上記画像をブラックホールの写真と呼ぶには少し語弊があります。というのも、実際写っているのはブラックホールそのもの(もちろん見えない)ではなく、ブラックホールの「事象の地平面」のまわりをぐるぐる回っている超高温のガスだから。ちょうどお風呂の栓を抜くと水が中央の穴に向かって渦巻くように、ブラックホールの強大な重力にひっぱられたガスや塵がぐるぐるとブラックホールのまわりを渦巻いている様子が写し出されているんですね。

研究対象となったのは銀河M87(乙女座A)の中心にあるM87*と呼ばれているブラックホールで、質量は太陽のおよそ65億分というとてつもない大きさです。ですが、銀河M87は地球から5500万光年も離れているので、よほど解像度の高い望遠鏡でないと観測できません。

そこで、「超長基線電波干渉法(Very Long Baseline Interferometry, VLBI)」という技術を用いることで、世界各地にある8台の電波望遠鏡をつないでひとつの巨大な望遠鏡と同じ解像度を引き出すイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)を構築したのです。

EHTが完成したのは2017年で、4月にはさっそく1週間かけてM87*の観測が行われました。その膨大な電波データを2年近くかかって集積し、解析して、モデリングした結果が2019年に満を持して公開されたというわけです。

ブラックホールの10年越しの変化

公開されたのは静止画でしたが、もちろん本物のブラックホールは絶えず活動しています。そこで、研究はブラックホールを動的に捉える次の段階へと進みました。

M87*ブラックホールの「ぐらつき」を表すパネル(三分構成)
Image: M. Wielgus & the EHT Collaboration

2009年まで遡ってM87*の観測データを取得し、時間の経過に伴う変化をまとめた研究結果は、先日学術誌『Astrophysical Journal』に発表されたばかりです。

「ブラックホールの10年越しの変化を追うためには、10年分のデータが必要なのは間違いありません」とプレスリリースで説明しているのは論文の筆頭著者であり、ハーバード・スミソニアン天体物理学センター所属の天文学者、Maciek Wielgusさん。

でも、EHTが完成したのは2017年。それより前のデータをどうやって取得したのでしょうか?

実はEHTが完成する以前から、EHTのプロトタイプがすでにM87*に関する重要なデータを収集していました。具体的には、2009〜2012年にかけては3台の電波望遠鏡から、そして2013年には4台が稼働していたそうです。

「EHTが完成する以前の観測データには画像を抽出できるほどの情報量はないが、より簡易な幾何モデルに制約を加え、ブラックホールの状態を推測することは可能である」と論文著者たちは説明しています。つまり、統計モデルを使い、それでも足りない部分はこれまでの観測に裏付けられた推測で補うことによって、EHT以前のデータからもブラックホールがどのような状態にあったかを推察することができたのです。

わかったことその1:リングの大きさと形は変わらない

研究の結果、M87*は過去ほぼ10年間に渡って一定の形を留めていたことがわかりました。これはアインシュタインが100年前に発表した一般相対性理論の予測どおりです。リングの直径は、この大きさのブラックホールに対して一般相対性理論が予測する数値とぴったり一致していたそうです。

マサチューセッツ工科大学ヘイスタック天文台所属の共著者・秋山和徳博士は、「この研究により、M87*の周囲を取り囲む左右非対称なリングが数年間持続していることが確認されました」とプレスリリースで説明しています。「観測により得られたデータが理論的に導かれた予測を裏付けたことになります。数年に渡って一定の数値が得られたことも、研究の信頼性を高めています」とも。

わかったことその2:リングはグラつきながら回転している

ただ、時間の経過とともに大きな変化も見られました。M87*のリングの大きさと形は一定であれ、ぐらぐらしながら回転している様子が見てとれるのです

マックスプランク電波天文学研究所のThomas Krichbaumさんは、「データを分析したところ、時間の経過とともにリングの向きと構造が変化していくことが明らかになりました」と説明。「このことは、ブラックホールの事象の地平面(ブラックホールの重力により光さえも逃れられなくなる境界)のまわりを巡っている降着流(accretion flow)の変化を知る上で非常に重要です」とも述べています。

リングのとりわけ輝いて見える部分は超強力な磁場によって激流となっている部分だと考えられ、時間とともに位置も方向も変わっています。すなわち降着流の速度は、少なくともM87*の場合は一定ではないということ。そしてその速度を計算するには、リングのぐらつきがヒントになるかもしれないというのです。

ブラックホールの謎に迫る

ブラックホールについてこんなにも詳細に把握できた研究は前代未聞です。EHTの超高解像度をもってすれば、降着流の速度をはじめとして、これまでまったく謎だったジェット現象についても新しい情報を得られるかもしれない、と今後の研究にも大いに期待が高まっているそう。

ジェットとは、超巨大ブラックホールの近くから勢いよく噴き出してくる電離ガスのことです。光速に近い速さで数万光年先まで飛んでいくこともあるそうですが、その成り立ちは不明のまま。ジェットの秘密を知ることができれば、ブラックホールがなぜ銀河の中心に位置しているのか、そして銀河の形成にどのような影響を及ぼしているのかを知ることができるかもしれません。

ブラックホールなんてただの理論上の産物だとちょっと前まで考えられていたのに、アインシュタイン博士が生み出した一般相対性理論の正しさが徐々に実証されつつあります。

Reference: EHT-Japan, Event Horizon Telescope, 天文学辞典

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2020-09-30 14:00:00Z
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Google Pixel 5のお披露目イベントは日本時間10月1日午前3時開始、このページで視聴可能 - TechCrunch Japan

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2020-09-30 12:05:31Z
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キックスタンドで多彩なスタイルで活用できるAndroidタブレット<Lenovo Yoga Smart Tab>実機レビュー - ASCII.jp

レノボ<Lenovo Yoga Smart Tab>

 Androidタブレットにはそれぞれさまざまなアクセサリーが発売されている。特に種類が多いのがフリップカバー。タブレットを立てられるので、大画面を活かして動画視聴などの際に重宝するアクセサリーだが、今回レビューするAndroidタブレット<Lenovo Yoga Smart Tab>は、背面にキックスタンドを装備し、フリップカバーなどのアクセサリーを必要とせずに自立させることが可能。単体で多彩なスタイルで利用できることがウリの製品なのだ。

サクサク軽快に動く処理性能は実用性十分

 <Lenovo Yoga Smart Tab>はOSに「Android 9.0」、プロセッサーに「Qualcomm Snapdragon 439」を採用。メモリ(RAM)は3GBまたは4GB、ストレージ(ROM)は32GBまたは64GBを搭載している。microSDメモリカードスロットを装備しており、ストレージを最大256GB増量可能だ。なおバリエーションとして、LTE通信に対応したSIMフリーモデルも用意されている。

 Android向けの定番ベンチマークを実施したところ、総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」のスコアは「102840」という結果になった。記事執筆時点のランキングトップが「615289」なので、その約17%の処理性能ということになる。

 しかし実際に使ってみると、ウェブブラウジングや動画視聴であれば十分快適。もちろん最新3Dゲームを高画質設定でプレイするには力不足だが、一般的な用途ならストレスを感じることはなさそうだ。

総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」のスコアは「102840」、CPUベンチマーク「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreは「713」、3Dベンチマーク「3DMark」のSling Shot Extreme - OpenGL ES 3.1は「438」。ぜひご自身のスマホやタブレットで各ベンチマークを実行して、スコアを比べてほしい

キックスタンドを装備、メモリカードは背面に装着

 本体サイズはおよそ242×166×5.5~24mm、重量は約580g。ボディーは防塵(IP5X)、防滴対応(IPX2)。7000mAhの大容量バッテリーが内蔵されており、バッテリー駆動時間は公称値で最大約12時間と謳われている。

 インターフェースはUSB Type-C(USB 2.0)、microSDメモリカードリーダー、マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャックを装備。通信機能は、Wi-Fi 5(11ac)、Bluetooth 4.2、そしてSIMフリーモデルはLTE対応となる。

 キックスタンドは背面下部に装備されており、中央から引き下げて利用する。ちなみにカードスロットはそのなかに用意されている。本製品を側面から見ると、くさび形となっており、ヒンジ部にステレオスピーカーが左右に1基ずつ搭載されている。タブレット端末としては異色のデザインだ。

ディスプレイは10.1型のIPS液晶(1920×1200ドット)。ディスプレイ上部には500万画素のインカメラが内蔵されている

本体背面には鏡面仕上げの「YOGA」のロゴが光っている。下部中央にあるのがキックスタンド。キックスタンド内側の上にあるのが800万画素のアウトカメラ、下にあるのがキックスタンドを開くためのボタンだ

上面(上)と下面(下)。上面と左右側面にはあわせて3つのデジタルマイクが内蔵されており、360度遠距離音声認識に対応している

右側面(上)にはボリュームボタン、電源ボタン、マイク、イヤフォン端子、スピーカー、左側面にはスピーカー、USB Type-C端子、マイクが配置されている

キックスタンドは180度まで展開可能だ

キックスタンド内のカバーを開くと、カードスロットが現われる

パッケージには本体以外に、ACアダプター、USB Type-C(USB 2.0)ケーブル、マニュアル類が同梱されている

Lenovo Yoga Smart Tab の800万画素アウトカメラで撮影。画素数は決して高くはないが、自然な発色で撮影可能だ

高画質なIPS液晶を搭載、音もJBL Hi-Fiスピーカーで◎

 10.1型のIPS液晶(1920×1200ドット)ディスプレイの詳細スペックは公表されていないが、輝度、発色、視野角はタブレット端末として平均以上。HDRコンテンツの再生には対応していないが、ミュージックビデオや映画鑑賞にも耐えるクオリティだ。

 いい意味で驚かされたのがサウンド品質。ボリューム自体は飛び抜けて大きいわけではないが、JBL Hi-Fiスピーカーが搭載されており、全域でバランスよく音が出て、伸びやかでボリュームのあるサウンドを楽しめる。特に重低音の迫力はタブレットと思えないほどだ。ちょっとしたオーディオコンポ代わりに利用できるだけのサウンド品質を備えていると言える。

ディスプレイの表面処理は光沢(グレア)仕様。画像、映像を鮮やかに表示してくれる。照明などの映り込みが気になる方は、非光沢(ノングレア)の保護フィルムなどを貼り付けよう

約50cmの距離でミュージックビデオを再生したときの最大音圧は79.2dBA。8畳ぐらいの部屋であれば十分オーディオコンポ代わりに利用できる

キックスタンドを利用した4スタイルで利用でき、スマートディスプレイとしても活躍してくれる

 <Lenovo Yoga Smart Tab>最大のウリは「4モードスタイル」。浅い傾斜を付ける「チルト」、深い角度で立てかける「スタンド」、手に持って使う「ホールド」、フックなどにぶら下げる「ハング」の4モードに対応しており、用途や状況に応じてスタイルを変更可能だ。

 フリップカバーなどのアクセサリーなしに単独でスタイルを変更できるのはスマートだし、特に「ハング」についてはそもそも対応できるタブレットは少ない。一風変わったデザインだが、一般的なタブレットよりも利用シーンが多いことは間違いない。

 また、Androidタブレットをスマートディスプレイ化する「背景モード(Ambient Mode)」に対応している点もポイント。背景モードを有効にしておけば、どこにでも持ち運べる「Google Nest Hub」的デバイスとして利用できる。さまざまな場所でGoogleアシスタントを使い、動画や音楽の再生、天気やスケジュールの確認、スマート家電をコントロールしたいのならピッタリの端末と言える。

左上から「チルト」、「スタンド」、「ホールド」、「ハング」スタイル。キッチンの上扉などにLenovo Yoga Smart Tabをぶら下げ、レシピ動画などを流しておけば、料理作りも捗りそうだ

スタンドモードでこれ以上ディスプレイを倒すと、キックスタンドが収納されてしまう。浅い角度で使いたいならチルトモードを選択しよう

スタンドモードは「Netflix」などで映像コンテンツを鑑賞するのにもってこい。JBL Hi-Fiスピーカーはセリフ、効果音、BGMを臨場感たっぷりに再生してくれる

これがAndroidデバイスをスリープ時にスマートディスプレイ化する「背景モード(Ambient Mode)」。スマートディスプレイを持ち運べば、複数の部屋に設置する費用を節約できるぞ

日常のなかでの使い勝手を重視する方にオススメ!

 <Lenovo Yoga Smart Tab>は、必要十分なパフォーマンスに、独自のキックスタンドを組み合わせることで、4つの利用スタイルを実現し、スマートディスプレイとしても活用できる。パフォーマンスだけでなく、あくまでも日常のなかでの使い勝手を重視したいというユーザーにピッタリのタブレットだ。

プロセッサ- Qualcomm Snapdragon 439オクタコア プロセッサー
OS Android 9.0
ディスプレイ 10.1型ワイドIPSパネル (1920x1200ドット)
メモリ 3GBメモリ+32GBフラッシュメモリ / 4GBメモリ+64GBフラッシュメモリ
バッテリー容量 7000mAh
連続駆動時間 約11時間
サウンド ドルビーアトモス、JBLスピーカー(2W)×2
マイク 3 digital microphones
スマートホームハブ機能 Google アシスタントの背景モード
カメラ インカメラ:500万画素/アウトカメラ:800万画素
サイズ 約242x166x(5.5-24)mm
質量 約580g
通信機能 802.11a/b/g/n/ac (5GHz/2.4GHz)Bluetooth v4.2
ポート USB 2.0 Type-Cポート(OTG機能付き)、microSDメディアカードリーダー(最大256GBまで対応可能)、マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャック

(提供:レノボ・ジャパン)

■関連サイト

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2020-09-30 10:00:00Z
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