キーワードは、「ポテンシャル」...?
血中酸素濃度測定から心房細動の診断まで、ヘルスケアトラッカーとしてのポテンシャルも注目されているSeries 6。実際に使ってみると、やはり測定データの精度はさすが!と思える一方で、Fitbitなどと比べると欠けている部分もあるとか。そのほかにもバッテリー寿命や前シリーズとの違いはどうなのか、米Gizmodoが紹介しています。
アップルウォッチSeries 6をレビューできる日を、まだかまだかと2週間待ちわびていました。「これは良いスマートウォッチ!」と書く準備ができていたのですが、実際は“良い”どころか、最高です。
これまでにSeries 4、Series 5も日常的に使ってきましたが、Series 6にものすごい違いがあるかというと、そうでもない印象です。新機能の多くは、watchOS 7のソフトウェアによるもので、これはSeries 3以降のアップルウォッチに共通するものです。
また、Series 6で注目されている血中酸素センサー機能や、より高速なプロセッサーは、実際の日常に大きな影響を与えるというわけではありません。ただ、アップルが準備しているプランによって、センサーはいずれ重要となるポテンシャルはあります。
アップルウォッチSeries 6
これは何:アップルのフラグシップスマートウォッチ
いくら:(40mm GPSモデルの場合)400ドル〜
好きなところ:バッテリー寿命が長く、充電時間が短いこと。新色の美しさ。ヘルスケアトラッカーとしてのポテンシャルの高さ。
好きじゃないところ:現時点で、深い睡眠分析や高度なヘルスケアトラッカーとしての機能が最大化されていないこと。好きじゃないところ:現時点で、深い睡眠分析や高度なヘルスケアトラッカーとしての機能が最大化されていないこと。
血中酸素濃度の話をしよう
まずは血中酸素濃度を測定する仕組みについて。裏蓋のクリスタルに赤色、緑色、赤外線のLEDが含まれ、そのあいだに4つのフォトダイオードが配置されています。赤色、赤外線の光が皮膚を通過し手首の下の血管に向かって輝くとフォトダイオードがその反射光を読み取れるのだとか。血液が暗赤色の場合、酸素が少なく、真っ赤な場合は酸素を豊富に含んでいることになります。
測定には、新しいBloodOxygenアプリを使用します。どこか平らなところに手首を置いて15秒ほどじっとしている必要があります。動いたり、手首の角度が曲がっていたりすると、読みが外れることも。私の測定値は一貫して95〜100%でした。こうしたスポットチェックも良いのですが、就寝中を含めてバックグラウンド継続的に測定している数値をチェックするのも興味深いです。把握しているかぎり特に健康上の問題がない私の血中酸素濃度は、一貫して91-100%の範囲でした。
血中酸素測定値は肌の色によって歪む可能性はあるのかという質問もいくつか頂いたのですが、たとえばわたしの旦那は茶系の肌を持つラテン系(既知の健康上の問題なし)で、同じように一貫して正常範囲でした。
Series 6のSpO2センサーは、スマートウォッチ界でも目新しい...というわけではありません。Fitbitのウェアラブルには何年も前から含まれています(血中酸素濃度の測定はできませんが)。ただ、アップルウォッチも現時点では血中酸素濃度のデータは出せてもインサイトは出せないんですけどね。
アップルは、血中酸素濃度と喘息、心不全、呼吸器ウイルス(covid-19やインフルエンザなど)との関連を調べるために、Series 6のリリースとともに研究パートナーとの3つの臨床試験を開始しました。もしうまくいけば、いずれ診断ツールを開発してFDA認可を取得するでしょう。ただ、その機能の実装までにはもうしばらく時間がかかることが想像できます。
フィットネストラッカーとしての実力は
Series 6には、血中酸素センサーの機能に加えて、Series 4、5と同じ健康追跡機能がすべて搭載されています。これには、FDAが承認したECGアプリ(心房細動を診断できる)を有効にする電気心拍数センサーも含まれます。
また、Series 6は他のアップルウォッチと同様、フィットネストラッカーとしても素晴らしいです。カリフォルニアでなお続くロックダウン状況下でも運動するモチベーションとなっています。スタンドの目標は12時間から10時間に調整したんですけどね。
常時オンの高度計(Watch SEにも含まれる)も、なかなか楽しいです。文字盤にセットして、ハイキングをトラックしながら海抜350フィートから1,200フィート以上までの変化をリアルタイムで見れたのにはグッときました。
運動中の酸素摂取量を測定するVo2Maxスコアも表示できるようになりました。このスコアが高いほど、カーディオフィットネスレベルが良好ということになります。ただし、こうした指標を出してくれるiOS Healthアプリでは、何が良いスコアなのかはよくわかりません。私の範囲は31〜37で、それが何を意味するのかを知るにはグーグル検索する必要がありました。正常範囲は年齢や性別によって異なりますが、それもまたHealthアプリではわかりません。この時計が、わたしの年齢、体重、心拍数、生理日までも知っていることを考えると、健康データについてもっと詳しく教えてくれても良いのになと思います。
そしてそれこそが、Series 6最大の問題だといえます。というのも、睡眠の追跡、血中酸素濃度の監視、有酸素運動の測定など、さまざまな機能があるというのに、こうしたデータが文脈化することはできません。アップルウォッチは、測定の精度こそ素晴らしいので、今後はそれをベースにもっとアドバイスをくれたらどんなに便利なことか...。
バッテリー寿命は改善されたけど...?
ヘルストラッキング機能以外でよく聞かれたのが、バッテリーの寿命について。iFixItによると、Series 6のバッテリーは前モデルよりもわずかに大きいことがわかっています。
わたしの経験では、1度の充電で約30時間持続します。これは、睡眠を追跡するために夜中ずっと着用したり、屋外での散歩やランニングなどのGPS追跡トレーニング(1日あたり約60分)行なったりするのを含めた数字です。睡眠追跡はバッテリーを約10%(Series 4では20%近く)消耗します。これは、数あるスマートウォッチのなかでも、寿命が長いほう...? いいや、全然です。
Series 6では、バッテリーサイズだけでなく充電時間も改善しました。その違いは顕著で、電池切れから1時間で80%、90分で100%になります。わたしの場合、寝る前にだいたい35%くらいになっているので、本を読んだりテレビをみたりしているあいだに充電しておくと、睡眠追跡のために装着しようと思う頃にはまた100%になっています。フル充電されるとiPhoneで通知されるようになったので、装着忘れ防止にもなります。
睡眠追跡はwatchOS7の一部であり、Series 6固有のものではありません。使ってみた正直な感想は、まぁまぁよし。どれだけ長く眠ったかはわかりますが、あまり多くの情報が得られません。睡眠追跡に関していえば、Fitbitの方が頼もしい所感です。Fitbitの場合、睡眠サイクル(深い/浅い/レム睡眠)のほか、睡眠により全体的な健康状態にどう影響しているかといった洞察も教えてくれます。いずれは、アップルウォッチでもこういう情報が得られたらな...。
一方で、眠っているあいだにSeries 6をつけているのは全然不快じゃないです。iPhoneのアラームで目覚めるよりも良いかなと思っています。
スマートウォッチ初心者は、SEが良いかも?
そのほか、Series 5とSeries 6の違いは3つあります。カラフルな新しいフィニッシュ(赤と青のアルミニウムモデルはゴージャス!)、より明るくなったディスプレイ、より高速なS6システムインチップです。いずれも、Series 5ユーザーがSeries 6にアップグレードしたくなるほどの差ではないかもしれませんが、Series 3以前のアップルウォッチを使っている場合には大きな改善を感じられるはずです。
わたしのオススメとしては、Series 3以前のアップルウォッチユーザーでアップグレードを検討している場合は、健康機能を重視するならSeries 6が最適です。Series 4、5ユーザーは、血中酸素センサーを使った機能が実装されるまでSeries 6へのアップグレードは踏みとどまった方が良いかもしれません(あるいは、Series 7を待つか)。
スマートウォッチを初めて使用する場合、Apple WatchSEはSeries 6よりも安く、非常に優れています。Series 6はいわば段階的な改善を遂げていて、現時点ではポテンシャルをフルに発揮できているわけではなく、もっと今後に期待したいところです。
メモ
・血中酸素センサーは、(まだ)測定値を診断できない
・より大きなバッテリー、より高速化した充電は素晴らしい。が、毎日充電する必要はある
・明るいディスプレイ、常時オンの高度計は、ハイキングなどのトレーニングにも役立ちそう
・watchOS 7により、睡眠追跡、手洗いタイマー、新しいトレーニングが利用可能に。ただしこれは旧モデルでも使える。
・新しい赤と青のアルミニウムの仕上げが素敵!
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2020-10-05 11:00:00Z
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