Rabu, 18 November 2020

MagSafe充電は期待外れ? iPhone 12を150%速く充電する裏技まで徹底レビュー - ITmedia

 iPhone 12シリーズを買う際、一緒に欲しくなる注目の周辺機器といえば、「MagSafe充電器」でしょう。

MagSafe Apple製「MagSafe充電器」。小型のワイヤレス充電器で、上にiPhone 12シリーズなどを載せて充電できます

 MagSafe充電器は、iPhone 12シリーズと同時に発表・発売された、磁石で取り付けられる周辺機器規格「MagSafe」対応のワイヤレス充電機です。充電パッド部がiPhone 12シリーズの背面に吸着し、充電パッドがズレることなく確実に充電できるのが利点です。

MagSafe iPhone 12シリーズで利用する場合、MagSafeの磁石によって背面に吸着。最大15W(miniは12W)で充電できます

 さらに、iPhone 12シリーズ充電時の供給電力が最大15Wにアップ(iPhone 12 miniは12W)。従来のiPhoneのワイヤレス充電は最大7.5Wと比べ2倍になります。これにより、ワイヤレス充電の欠点である、充電速度の遅さの改善が期待されます。

 筆者も実際にMagSafe充電器を購入して試したのですが、何も考えずフル充電して3時間半近くかかるなど、最大15Wというにはかなり遅いという印象。有線20W充電と比べ2倍以上の遅さです。発表内容やワイヤレス充電の特性からある程度遅いとは予測はしましたが、4400円と安くはない製品だけに、ここまで期待外れだと腹の虫が治まりません。

MagSafe MagSafe充電器でより速く充電できないか、さまざまな方法で充電速度をテスト

 そこでこの記事では、MagSafe充電器の充電速度を徹底チェック。その結果、少しの工夫で150%速く充電できた方法も紹介していきます。

MagSafe充電器の特徴をチェック

 まずは「MagSafe充電器」について紹介しましょう。価格は税込み4400円で、パッケージに入っているのはワイヤレス充電器のパッドのみです。実際に最大15Wで充電するには、別途USB Type-C端子を搭載したUSB PD対応の充電器が必要です。

MagSafe MagSafe充電器(4400円)の内容物は、充電パッドとその他説明書類のみ。利用するには別途、USB Type-C端子の充電器が必要です

 また、MagSafe充電器の発売後、早々にAppleが製品説明を追加。1つは、iPhone 12 miniで利用する際の供給電力は最大12Wにとどまること。もう1つが、Appleが販売するMagSafe対応レザーケースを装着して充電すると、円形の跡が残ること。iPhone 12 miniやレザーケースのユーザーは注意する必要があります。

MagSafe AppleはMagSafe対応レザーケースの説明文と画像に、MagSafe充電器を利用した際にわずかな跡がつく件について記載。シリコーンケースまたはクリアケースの利用を勧めている

 実際の使用感ですが、iPhone 12 Proが裸の状態では磁石でしっかりと吸着します。ただ、最適な状態で充電できるのは便利ですが、取り外す際に充電タップ部をつかんで外す手間が増えました。人によっては、Lightning端子の着脱と手間が変わらないと感じるかもしれません。

 なお、横着してケーブルを引っ張ってMagSafe充電器を取り外すのはやめましょう。ケーブルがかなり細く、短期間で破損する可能性が高いからです。軽い力で外したい場合は、iPhoneに非純正の薄い樹脂製ケースを付けて、磁石の吸着を和らげるのが無難でしょう。

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USB PD充電器は別途必要、推奨のものが無難

 MagSafe充電器との利用に最適な充電器は、iPhone 12シリーズに付属する「USB-C - Lightningケーブル」での急速充電に対応した充電器とほぼ同じです。Appleは最大15W充電の利用には9V/2.22Aか、9V/2.56A以上の充電器が必要と案内しています。

MagSafe MagSafe充電器で利用するUSB Type-C端子の充電器は、Apple製「20W USB-C 充電アダプタ」か、各社が販売するUSB PD対応で24W以上(9V/2.56A以上)の製品が推奨されている

 具体的に説明すると、前者の9V/2.22A対応はApple製の「20W USB-C 充電アダプタ(税込み2200円)」を指します。いわゆる純正品で、他社製品と比べても大差ない価格です。

 後者の9V/2.56A以上は、各社が発売する24W(9V/2.56A)以上対応のUSB PD充電器を指します。現在はUSB PD対応かつ27W(9V/3A)以上に対応した製品が増えており、複数の機器を充電できる2ポート対応や、モバイルPCも充電できる45W以上の製品なども発売されています。

 ちなみに、MagSafe充電器は既存の最大18W(9V/2A)USB PD対応充電器や、USB Type-C端子で5V/2.4A以上の電力を供給できる充電器にも対応しています。

AirPodsやQi対応機器も充電できる

 MagSafe充電器で充電できる端末ですが、これまで説明した通りiPhone 12、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Maxを最大15Wで、iPhone 12 miniを最大12Wで充電できます。

 また、Qi規格の製品を最大7.5Wで充電できる互換性も持っています。従来のワイヤレス充電に対応したiPhoneや、対応ケースのAirPods、その他各社のQi対応製品も充電パッドに乗せて充電できます。

MagSafe ワイヤレス充電に対応したiPhone 8以降のモデルも充電可能。MagSafe対応ではないので吸着はしない
MagSafe ワイヤレス充電対応ケースのAirPodsも充電できる

 ただし、Apple Watchは独自の方式なので充電できません。このためか、AppleはMagSafe充電機と、Apple Watch用充電器の2つを並べられる「MagSafeデュアル充電パッド(税込み1万6280円)」の発売を予定しています。

MagSafe Appleは、MagSafe充電器とApple Watch用充電器を一つにまとめた「MagSafeデュアル充電パッド(税込16280円)」を販売する

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MagSafe充電器の充電速度を実測チェック

 では、iPhone 12 ProとMagSafe充電器で実際の充電速度をチェックしましょう。

 充電環境ですが、USB PD対応充電器としてApple製「20W USB-C 充電アダプタ」と、他社製の「Anker PowerPort III 65W Pod」を用意しました。設置方法は、このテストまでにMagSafe充電器の充電速度は温度に左右されるという結果を得ており、MagSafe充電器を普通に下に敷いて置くと充電に3時間半ほどかかります。これを避けるため、室温18℃の屋内で放熱しやすいようMagSafe充電器を上にして充電しました。

MagSafe MagSafe充電器を上にして充電。供給電力と充電部の温度も確認する

 比較用に、iPhone 12シリーズにも付属する「USB-C - Ligntningケーブル」とUSB PD対応充電器を利用した、最大20Wの急速充電もチェックしました。

MagSafe 表A

 充電結果ですが、MagSafe充電器のワイヤレス充電(最大15W)は約1時間で50%。90%充電に2時間以上かかります。フル充電は約3時間で、MagSafe充電器を下にして置くより約30分短くなりました。

 それでも、約27分で50%充電、1時間で90%近く充電できる有線の急速充電(最大20W)と比べると、実質2倍の速度差があります。

 iPhone 12 Pro充電速度ですが、どの充電方法も50%までは高速で、50〜90%の間は少しずつ充電速度が遅くなり、90〜100%は一律で約40分かかります。なので、急な充電を想定する場合は、50%や90%あたりの充電時間が有用な情報となります。

 では、MagSafe充電器のワイヤレス充電は最大15W対応、有線の急速充電は最大20W充電対応で1.3倍ほどしか差がないのに、実際の充電速度はなぜ2倍も違うのか。充電中のiPhone 12 ProとMagSafe充電器の動作を含め見ていきましょう。

 充電が遅い理由としてまず挙げられるのは、電磁誘導で電力を供給するワイヤレス充電の充電効率の悪さです。直接電力を供給する有線の充電と比べて電力ロスが出やすい。電力ロスによりMagSafe充電器やiPhoneの本体温度が上昇すると、熱でバッテリーの劣化を招くので、MagSafe充電器からの供給電力を抑えるという仕組みです。そもそも、MagSafe充電器で最大15Wの電力を供給するために、出力20W以上のUSB PD充電器が必要な時点でも効率の悪さは理解できるでしょう。

 実際の充電時の動作を見ると、MagSafe充電器が最大の電力で動作するのは、充電開始後にiPhoneが起動した跡の5分程度でした。この間はUSB PDの充電器から約18Wの電力がMagSafe充電器に供給され、最大15Wに近い電力で充電できたものと思われます。

MagSafe 充電が始まったあと、5分程度はMagSafe充電器に最大で18W(9V/2A)の電力が供給された

 ですが、充電を続けるとMagSafe充電器の周りが38℃以上に上昇。供給電力は11〜4W(9V/1.2〜0.5A)の間を上下します。MagSafe充電器が最大15Wでも、実際には多くの時間、11〜4Wより少ない電力でしか充電できなかったことになります。

MagSafe 充電が始まるとMagSafe充電器とiPhoneの温度が上昇。38℃を超えるころには、11〜4Wの電力しかMagSafe充電器に供給されなくなった

 一方、有線の急速充電も本体が熱くなりますが、バッテリー残量50%になるまでは約18Wの電力が安定供給され素早く充電できました。ちなみに、最大20Wの電力が必要とされるのは、約18Wで充電中にiPhone 12 Proの画面を表示するなど負荷がかかったときぐらいです。

 とはいえ、このMagSafe充電器。4400円もするのに充電速度が遅いという結果で終わってしまってはあまりに残念です。そこで、もう少しテストすることにしました。

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MagSafeと100円冷却ファンで、充電速度が150%アップ!

 MagSafe充電器の充電を妨げる、発熱を解消してみたらどうなるでしょうか。

 ここで用意したのが、100円ショップで売られているスマホ向けのUSB冷却ファン。一般的なUSB端子につなぐとファンが大きい音で高速回転し、スマホを冷やすアイテムです。これで、MagSafe充電器とiPhone 12 Proを冷やしながら充電してみました。ファンの利用は、他社の高出力なワイヤレス充電器でも時々見られる仕様です。

MagSafe 100円ショップで購入したスマホ向けのUSB冷却ファンを上に乗せて、MagSafe充電器を冷やした場合の充電速度を計測

 するとグラフの通り、充電速度が高速に。通常のMagSafe充電器と比べ、充電速度が150%速くなりました。これは、MagSafe充電器の充電速度が15Wで速くなったという発表内容への期待を超え、有線の急速充電に近い使い勝手になっています。

MagSafe 表B

 詳しく書くと、MagSafe充電器の表面温度は高くて34℃あたりとなり、50%充電までの間はApple製「20W USB-C 充電アダプタ」の供給電力は約12W(9V/1.3A台)で安定。「Anker PowerPort III 65W Pod」の場合は約18〜9W(9V/2〜1A)の間を上下しつつも、多めの電力を上下しつつも供給しました。いずれも、通常のMagSafe充電器の11〜4W(9V/1.2〜0.5A)で上下を明らかに超えています。

MagSafe Apple製「20W USB-C 充電アダプタ」で、冷却ファンを利用しながらの充電。温度は33℃あたりで、50%充電までのあいだ約12W(9V/1.3A台)がMagSafe充電器へ安定して供給された

 特殊な条件下の結果ですが、この結果が普段から見られたなら、最大15Wで充電といううたい文句にも納得、マストバイの製品と言えたでしょう。

ファン無し冷却で、MagSafe充電器の性能は引き出せる?

 ただ実際のところ、MagSafe充電器を購入した人が充電時に騒音のする冷却ファンを別途用意して充電するというのは考えられないでしょう。スマートな解決策としては、MagSafe充電器に放熱板を取り付けるなど、MagSafe充電器とiPhoneを冷やしつつも自然に使いやすい仕組みが必要です。

 そこで、自作PC用として524円(税込み)で販売されているアルミ製ヒートシンク「アイネックスYH-3820A」を取り付けてみました。

MagSafe MagSafe充電器に、アルミ製ヒートシンク「アイネックスYH-3820A」を取り付け。付属の熱伝導シールで張り付けられます(一度着けると、取り外しが難しいので注意)

 ですが、こちらの結果はやや微妙。MagSafe充電器の温度を約2℃下げて36℃あたりにはなりましたが、充電速度への影響や約1割短くなる程度でした。

MagSafe 温度は38℃台から36℃台に下がるが、充電速度にはあまり寄与せず
MagSafe 表C

 冷却ファンなしでMagSafe充電器を冷却しつつ充電を速くするには、もう少し本格的な対策が必要なようです。

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MagSafe充電器は他社製品待ちがいい? 急速充電は有線充電がベスト

 MagSafe充電器を買うべきかという話ですが、iPhoneに充電端子を挿したくない、新機能のMagSafeを試したいという理由で購入するのであればお勧めです。ただ、前述の通り、MagSafe充電器は外すのに手間がかかるので、人によっては有線の充電とあまり手間が変わらない感じる場合もあります。

MagSafe iPhone 12シリーズでMagSafeを試すにも、現状MagSafe充電器以外で実用的なアイテムはまだ少ない。各社から発売されるアイデア製品に期待だ

 一方、充電速度を重視している人は、MagSafe充電器よりもiPhone 12シリーズ付属のケーブルと記事中で紹介したUSB PD対応充電器を使った急速充電の方が便利です。バッテリー容量が大きいiPhone 12 Pro Maxならなおさらでしょう。より快適に充電するなら、各社が販売するMFi認証のUSB Type-C - Lighningケーブル 2mモデルが使いやすくお勧めです。充電時の電力もエコですし。

 寝室などに置くiPhoneやApple Watchなどをまとめてスマートに充電できるワイヤレス充電器が欲しい人なら、2020年冬以降発売のベルキン製「BOOST↑CHARGE PRO MagSafe 3-in-1 磁気ワイヤレス充電器」などの発売を待った方がいいでしょう。参考価格149.99ドルとやや高めに見えますが、Apple WatchとAirPodsの充電器を内蔵し、iPhone 12シリーズの取り外しやスタンド利用が楽になることを考えると、下手にMagSafe充電器を買うよりも魅力的な選択肢になると思われます。

MagSafe ベルキン製「BOOST↑CHARGE PRO MagSafe 3-in-1 磁気ワイヤレス充電器」。iPhone 12シリーズとApple Watch、AirPodをワイヤレスで同時充電できる

 もし筆者がMagSafe充電器を常用するなら、据え置き型の重たい充電スタンドで使いたいと考えるでしょう。現状のMagSafe充電器は充電速度の遅さもありますが、外すときの手間がかなり微妙な印象です。

MagSafe MagSafe充電器を安く快適に使いたいなら、自己責任ですが重ための金属に熱伝導テープで張り付けて据え置き型にし、iPhoneには薄めのケースを取り付けて楽に着脱できるようにしたいところです

 とはいえ、MagSafe充電器の最大15Wでも、今回の冷却ファンを使ったテストのように工夫次第である程度快適な充電速度を実現できる可能性が垣間見えました。将来的にAppleや他社のMFi認証製品から、最大15Wという表現に見合った充電効率の高いMagSafe充電器が発売されることを期待したいところです。

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2020-11-18 21:00:00Z
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