11月12日に世界一斉に発売された新世代ゲーム機「PlayStation 5」(PS5)。試遊レポート、自宅でプレイしたインプレッションを記事にしてきたが、今回はその続き。本日は発売日。超激烈な競争に勝った方々はそろそろ届いて、さっそくゲームを始めているころだろう。「周辺機器だけ全部来たよ……」という声も聞く。
掲載が遅くなってしまい申し訳ない。これも、ゲームに夢中にさせたPS5が悪い(いや、自分です)。
まずは一言。PS4の後方互換機能は本当に良くできていて、自分がPS Storeで過去に購入したタイトルに限ってはパーフェクト以上だった。最初からフルスロットルで楽しめるはずだ。
PS4ゲームの感想については後述するとして、まずは前回の続きから。プリインストールされた、SIE JAPAN StudioのASOBIチームによるPS5ネイティブゲーム「ASTRO's PLAYROOM」。
ASTRO's PLAYROOMの続き
最初の試遊、我が家に届いてから、その大半をこのゲームに費やしてきた。
ゲーム自体がPS5のさまざまな機能のチュートリアルになっている「ASTRO's PLAYROOM」。前回はその幾つかあるステージの中で、「COOLINGリゾート」を紹介したが、その後、何とか全ステージをクリアしてエンドロールまで見ることができた。チュートリアルゲームとは思えない、なかなかの感動。
振り返ってみると、自分がゲームをクリアしたのは「ドラクエV 天空の花嫁」が最後だった。ということは、初代からここまで、プレステで最後までやり切ったゲームがなかったということでもある。この26年、僕は何をしていたのだ、と自分の貫徹力のなさに愕然とする。
そんな自分がなぜ、ASTRO's PLAYROOMを最後までプレイできたのか。ちょっと考えてみた。
まず、テンポがいい。プレイヤーが相手にやられたり自滅したりして落っこちていってから復帰してリスタートするまでの「間」が絶妙なのである。
これまでのゲーム機では数十秒リロードで待たされるか、そこに何かトリックを仕掛けて時間を感じさせないようにしていたが、このPS5タイトルではそれが瞬時に行われる。その時間をかせぐために、SIEのリードアーキテクトであるマーク・サーニー氏らが考え出したのが、専用コントローラーでデータを圧縮転送してスピードを稼ぐ「高速SSD」。それが十分に生かされ、この快適さを生んでいるのだ。
このSSD、PS5のもう1つの快適さである静寂性を生んでいる冷却システムを象徴する「COOLINGリゾート」と同様に、ASTRO's PLAYROOMのステージの1つになっている。「SSDスピードウェイ」だ。その名のとおり、高速で疾走しなければならない。
他には「CPUプラザ」、なぜかNVIDIAカラーの「GPUジャングル」「NETWORKスピードラン」「MEMORYスカイ」などがある。
それぞれのステージでミッションを達成すると、おそらく数十アイテムはあると思われる「アーティファクト」という景品がもらえる。これまた楽しみな品ばかりで、どうしてもコンプリートしたくなってしまう。
このゲームをやる限りにおいては特にレンダリングがすごい、GPUパワーが圧倒的、きゃーレイトレーシングすてき、というのは感じないのだが、Rスティックで視点を移動させたときのスムーズさは、RyzenとRDNA2ベースのAMD製APUのパワーが生かされたものなのだろう。
それよりも恐るべしなのは、DualSenseワイヤレスコントローラーだ。これはやばい。このハプティックフィードバックは3D音響のTempestとあいまって、その世界に没入させてくれる。ちょっと目を離せば現実空間がそこにある非VRなゲーム世界において、バーチャルな空間をちゃんと感じさせ、なおかつそこから離さないというのはなかなか難しいものだが、音と触感だけで材質や硬さ、位置を感じさせてくれ、ゲームへの没入を助けてくれる。
気をそらすものが山ほどあるこの世界では、現実と折り合いをつけながら、ゲームを続けさせるのはなかなかの難かしい。PS5で取り入れられた工夫の多くは、「現実との共存環境においてゲームを心地よく継続させること」の一点だけを目指しているのではないだろうかと考える。「現実から引きはがされる」のを食い止めてくれるわけだ。
排気音についてもそうだ。同じゲームをPS4とPS5で走らせて、音量を比べてみたが、PS4(初代モデル)はハードディスクのディスクアクセス音、ファンノイズが大きくなったり小さくなったりで、気が散ってしまう。PS5はプレイ中にこういった騒音を感じ取ることはほぼない。PS4の背面は直接触ろうとは思わないくらいの熱さになるが、PS5の背面はほんのり暖かくなる程度で触っても問題ない。横置きにした場合には中央のちょっと奥あたりが少し暖かくなるが、そのくらいである。
筐体が大きくなったこと、上にモノを載せられない曲面を描いていることには賛否両論あるが、少なくともノイズと熱対策には成功しているといっていいだろう。
「ユーザーがゲームを継続しやすくする」ためのシステムもPS5の大きな改善点だ。コントローラーの左上にあった「SHARE」ボタンは「CREATE」ボタンと名を変えた。CREATEボタンのダブルクリックでスクリーンショットを撮る機能はこの記事を作るのにも役立っている。
「PS」ボタンは、長押しと短いプレスとで、異なる動作をする。従来の使い方である、ホーム画面に戻るのは長押し。短いプレスでは、ゲームをポーズして、現在の状況を知らせる「アクティビティ」というカード型の画面が横並びでオーバーレイされる。これが「コントロールセンター」だ。
重要なアイテムをどの程度取れているか、まだアンロックしていないものがあるかどうか一覧できる。ちょっとこの場面はつらいな、と思ったら気楽にプレイできる別のステージにジャンプすることも簡単にできる。「ゲームをいったん中断したら、その後なんとなくやりづらくなってそのまま」なんてことが少なくなるのではないだろうか。
PS5ゲームのテンポの良さは、もう1つのPS5ローンチタイトル、「Marvel’s Spider-man: Miles Morales」でも体感できた。ピーター・パーカーの友人で、自身もスパイダーマンとなったマイルズ・モラレスを主人公としたストーリー。PS4版で人気のあった「Spider-Man」シリーズの最新作だ。
これがなかなか楽しい。前作のSpider-Manも未プレイだったのだが、軽快なリロードのおかげか、失敗を繰り返しながらもだんだんと操作に慣れていく。ウェブを投げてスイングしてビルからビルに渡っていくところは、4Kの高精細なグラフィックスのせいでゾワゾワする。
こういう強い世界観を持った作品は、原作の熱烈なファンでないとなかなか入り込みにくいものだが(個人的に)、小さなミッションに小分けされているのでクリアしていきやすい、初心者にも優しいスタイル。アクティビティーでその到達度をチェックしたり、飽きたら別のミッションに移るということもやりやすい。こうしたことをゲームが独自に実装するのではなく、システムレベルで提供しているのがPS5の優れているところと言っていいだろう。
ゲーム実況やチャットも、ゲームプレイから離れずにできる。これはゲームセントリックなOSなのだな、と改めて思った。
PS4ゲームをプレイして分かったこと
僕がPS4で購入し、積みゲーとなっていた「Ghost of Tsushima」「JUDGE EYES:死神の遺言」「DEATH STRANDING」を、PS5で改めてプレイしてみた。PS4と比べて劣るということはまるでなかった。むしろ、PS4で遊び始めたときよりもはるかにはかどる。高精細になり画面が見やすくなったこと、高速SSDでリロードが早くリプレイがしやすいことなど、全体的に没入感が高まるからだ。ゲームタイトルによってはフレームレート、解像度も高くなり、動きがスムーズになる。
PS5のPS4互換機能でプレイすると、PS5とPS4の最大の違いの1つである「○と×」を意識せずに済むという利点もある。PS5とPS4を行き来していると、ボタンのマッピングが異なる(日本では)ために少々混乱してしまうが、PS5でPS4ゲームをプレイする分には、「世界標準な○と×」で過去のゲームも遊べる。
ただ、PS4ゲームをDualSenseでプレイしていて2つだけ不満に感じることがある。まず、ボタンに色が付いていないこと。PS4ゲームでは操作の指示に、○は赤で、△は緑で縁取られていて分かりやすいのだが、DualSenseでは全てが白地にグレー。美しいのだけどね。
もう1つの不満は、PS4のプレイではフォースフィードバックが単調に感じてしまうことだ。PS5のDualSenseワイヤレスコントローラーのハプティックフィードバックと比較するとどうしても「ブーブー鳴ってるだけ」に思えてしまう。DualSenseの触感的表現力は一度体験してしまうとなかなか戻りづらい。ゲームパブリッシャーにはこの部分だけでも最適化して、PS5ネイティブタイトルとして提供してもらいたいと切に願う。
しかし、これに慣れてしまうと、ハイエンドグラフィックスカードを搭載したスペックモリモリのゲーミングPCでPCゲームをプレイしても、体験ではPS5に劣るということもありうる。その意味で、DualSenseはPS5の優れた武器だと断言できる。
ストリーミングプレイヤーとしてのPS5
PS5の、お買い得ポイントの1つなのが、ストリーミングプレイヤーとしての魅力だ。Apple TV、Netflix、Hulu、Amazon Prime Video、そしてSpotify。筆者はこれら全てを購読しているので、PS5はこれら豊富な映像・音楽コンテンツを体験し放題のセットトップボックスとしても利用できることになる。いつもはApple TV 4KとLGの4Kディスプレイでこれらのコンテンツを視聴しているのだが、PS5があるのであれば、これも、Fire TVなども不要になって、PS5のコストパフォーマンスはさらに高まることになるだろう。
ゲームをやりながら、時々骨休め(指休め)に受け身のコンテンツでゆったり過ごすのも悪くない。別売のメディアリモコンを使えば、Netflix、Spotify、YouTubeにはボタン一発でダイレクト選局できるわけだし。プリセットボタンの1つであるDisney+がまだ使えないのは残念だが、「マンダロリアン」の第2期が終わるまでにはなんとかならないかなあと考えている。
あとは、常用しているTVer、AbemaTV、GYAO辺りが使えるようになるとうれしい。PS5には自由に使えるWebブラウザがないのでPS5アプリ対応が必須。ブラウザまで入れてしまうと「ほぼPC」になってしまうからか、アプリ対応しなければならないので、サービス側にはぜひがんばってもらいたい。何せあと5、6年は現役でいることがほぼ保証されたプラットフォームなのだから。
関連記事
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiPGh0dHBzOi8vd3d3Lml0bWVkaWEuY28uanAvbmV3cy9hcnRpY2xlcy8yMDExLzEyL25ld3MwNzUuaHRtbNIBAA?oc=5
2020-11-12 03:26:00Z
52782860811204
Tidak ada komentar:
Posting Komentar