Senin, 14 Maret 2022

iPhone SEのカメラはA15 Bionicだけでどこまで変わるのか(本田雅一) - Engadget日本版

第2世代、第3世代のiPhone SEは、いずれもTouch ID搭載iPhoneの完成形とも言えるiPhone 8を時代に合わせてリファインした製品と言える。第3世代のiPhone SEではもちろん、SoCがその世代で最も進んだものになり、また外装のガラス素材もiPhone 13シリーズと同じ強度のものが使われ、さらに5Gモデムも内蔵されている。

一方で機構設計や機能面は完成されたもので、最新のプラットフォームに更新されているが、大きくその機能性を変えるようなアップデートはされていない。

購入しやすいTouch ID搭載モデルが欲しいのであれば、2年に1度のアップデートはラインナップを整える上で重要なものだ。秋に発表される最先端のiPhoneは"何ができるようになったのか"が重要なテーマだが、iPhone SEはApple自身が考える"iPhoneの基本形"を知る製品でもある。

しかし、だからこそ今回のiPhoneではユニークな視点で第2世代と第3世代を比較してみることにした。このコラムのテーマは「SoCの違いだけで、どこまで写真の画質が変化するのか?」だ。

搭載カメラモジュールは第2世代を踏襲

前述したように外装ガラスの素材がアップデートされていたり、カラーリングもシンプルながら微妙に色使いが違っていたりするが、基本的な佇まいは第2世代と第3世代で全く同じだ。

言い換えれば、だからこそ生産効率が高められ、開発コストも償却されているため、端末の価格を抑えることができているとも言えるだろう。そんな中、搭載するカメラモジュールは更新されているのだろうか? 

答えは「ノー」、つまり第2世代と第3世代のiPhone SEは全く同じカメラモジュールが採用されている。センサーシフト式の手ぶれ補正や大型センサーの採用などは行われていない。

ではカメラそのもののハードウェアが同じならばSoCの違いでどこまで画質が異なるのかが気になる読者も多いのではないだろうか。Appleはコンピュテーショナルフォトグラフィーという言葉を多用し、毎年の画質向上をアピールしている。つまり、iPhone SEの第2世代と第3世代の画質差は、そのままSoCによる映像処理の差ということになる。

結論から言えば、ホワイトバランスとトーンマッピング(明暗階調の割り付け)に無視できない違いがあり、画角内に明るさが異なる複数の被写体がある場合に、その映像の違いが明確だった。

厳密に比較すれば、(布の質感など)ディテールの深さや暗所撮影でのノイズの出方に違いを見つけることもできるが、そこは概して"大きな違い"ではなかった。しかし、絵作りは大きく違う。

分析能力の違いがトーンマップの違いに?

両者の違いはiPhone 11シリーズと13シリーズ、あるいはiPhone 12シリーズとiPhone 13シリーズの違いに酷似している。iPhone 13では絵作りがかなり大きく変わったため、それ以前のカメラとは傾向が違うが、それと同様の絵作りの差がある。

第2世代の方が明暗のコントラストがついて、局所的にはパリッと鮮明に見える。しかし写真全体を見渡すと、やや不自然な傾向も感じられる。つまり被写体と背景、中景など、それぞれのパートはよく見えるのだが、写真全体をみるとアンバランスになる。

これが第3世代になると、パリパリにコントラストを高めた写真ではなく、一枚の写真全体でのトーンを合わせるようになる。一見すると第2世代の方が見栄えがするのだが、第3世代のほうが不自然に感じるシーンが少ない。

▲第3世代のiPhone SEで撮影
▲第2世代のiPhone SEで撮影

例えば料理写真のお椀に入れたスープ。よく似ているが、お椀の朱塗りの色が鮮やかかつコントラストが立っているため、まるでプラスチックのように見えてしまっている。後処理で行うならば別だが、より自然なトーンマップは第3世代の方だろう。

自動的に異なる露出絵複数露光して合成するスマートHDRも、その効果が異なる。第3世代の方が暗部、明部ともにリアリティのある、ふくよかな表現となった。

▲第3世代のiPhone SEで撮影
▲第2世代のiPhone SEで撮影

また暗い部屋で黒い被写体を撮影してみると、第3世代の方がノイズがうまく抑え込まれている。カメラモジュールが同じため、手ぶれへの強さや絶対的な情報量での違いはないものの、ノイズ処理の世代が進んだ分、適切にノイズを除去してくれているようだ。

▲第3世代のiPhone SEで撮影
▲第2世代のiPhone SEで撮影

ノイズ処理を上手にこなすことで、細かなディテールはより深く、精細に浮かび上がるよう積極的に処理が行われているように見える。八重桜の写真はホワイトバランスの違いが目立つが、桜の花びらに目を向けると、第3世代SEはひとつひとつがより緻密に描かれている。

▲第3世代のiPhone SEで撮影
▲第2世代のiPhone SEで撮影

同傾向は、鉄道の線路を写した写真からもみてとれた。コントラスト差の大きなシーンを捉えることが目的で撮影したのだが、限られたダイナミックレンジの中でコントラスト差が激しい日陰と日向を描き分けつつ、第3世代SEの写真では石が立体感を伴うしっかりした局所コントラストで描かれた。

iPhone 8以前からの買い替えならカメラの違いに驚くはず

もっとも上記の比較は、SoCの世代が上がることで本当に画質が向上しているのかを確認する作業でしかない。まだモデル撮影などは行っていないが、全く同じカメラハードウェアでもSoCの違いだけで、最新iPhoneで改善された要素の一部を楽しめることは確認できた。

5Gモデムが目的など特別な理由がない限り、仮に第2世代のiPhone SEを使用しているならば買い替える理由は思いつかない。しかしiPhone 8以前のTouch ID搭載iPhoneユーザーなら使い勝手はそのままだし、このカメラは買い替えの大きなモチベーションになるだろう。

また、ほぼ自動のみで不自然さのない、しかし見栄えの良い写真を撮影できるという点で、多くのAndroid端末の内蔵カメラよりも使いやすいとも思う。使いこなすのではなく、端末なりにお任せで気楽にカメラを使いたいなら、第3世代のiPhone SEは安心して選べる製品に仕上がっている。

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2022-03-14 14:48:35Z
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