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こちらは2023年2月6日に観測された天王星の姿です。「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡の「近赤外線カメラ(NIRCam)」で取得されたデータ(近赤外線のフィルター2種類を使用)をもとに作成されました。
先日「ハッブル」宇宙望遠鏡で撮影された天王星の画像を紹介したばかりですが、赤外線での観測に特化したウェッブ宇宙望遠鏡は、主に可視光線を捉えるハッブル宇宙望遠鏡で観測した時とはまた違った天王星の姿を捉えました。ハッブル宇宙望遠鏡の画像では1本の細いリングのように見える天王星の環も、冒頭の画像ではまるで土星の環のように目立っています。ウェッブ宇宙望遠鏡を運用する宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によると、13本見つかっている天王星の環のうち、ここには11本が写っているといいます。
関連:ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した天王星の最新画像(2023年4月3日)
天王星は公転軌道に対して自転軸が約98度傾いている上に、公転周期は約84年と長いため、南北の極域が太陽に照らされる期間と照らされない期間はそれぞれ42年間も続きます。現在の天王星は北半球の季節が夏で、2028年に夏至を迎えます。南半球は「ボイジャー2号」が到達した1986年は夏でしたが、今は冬の季節を迎えています。
ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた天王星の一部は、夏季の極域に現れる白い帽子のような極冠に覆われています。極冠は極域へ直射日光が降り注ぐ夏に出現し、秋に消えていくように見えるといいます。天王星の極冠はハッブル宇宙望遠鏡の画像にも写っていますが、ウェッブ宇宙望遠鏡は極冠の中心部分が周囲よりもわずかに明るくなっているという思いがけない様相を捉えました。
また、極冠の縁や左側の赤道付近には明るい雲が写っています。このような雲は天王星を赤外線の波長で観測した時に典型的にみられるといい、嵐の活動に関係している可能性があるようです。
いっぽう、こちらは冒頭の画像と同時に公開されたトリミング前の画像で、天王星周辺のより広い範囲が写っています。水色に輝く光点は天王星の6つの衛星「アリエル(Ariel)」「ミランダ(Miranda)」「オベロン(Oberon)」「パック(Puck)」「ティタニア(Titania)」「ウンブリエル(Umbriel)」です。STScIによればウェッブ宇宙望遠鏡は天王星の既知の衛星27個の多くを捉えることができたものの、大半は小さく暗いため、この画像では一部しか識別できません。
なお、宇宙望遠鏡は可視光線だけでなく赤外線やX線といった様々な波長を使って天体の観測を行うことがあるため、一般向けに公開されている画像はデータの取得に使用した波長に特定の色を割り当てて着色(※)したものとなります。着色後の天体の姿は可視光線を捉える人間の目で見た場合とは異なることもあるのですが、今回公開された画像では結果的に人間が見た天王星と同じような色合いになっています。
※…今回の画像では波長1.4μmにシアン、3.0μmにオレンジが割り当てられています。
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STScIによると、今回のNIRCamによる天王星の観測データはわずか12分間の露光時間で取得されました。この画像はウェッブ宇宙望遠鏡が持つ能力の一端を示しているに過ぎず、今後の天王星の観測に期待が寄せられています。
ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた天王星の画像は、アメリカ航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)、STScIから2023年4月6日付で公開されています。
Source
- Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, J. DePasquale (STScI)
- NASA - NASA’s Webb Scores Another Ringed World With New Image of Uranus
- ESA - Webb scores another ringed world with new image of Uranus
- STScI - NASA’s Webb Scores Another Ringed World with New Image of Uranus
- ESA/Webb - Webb adds another ringed world with new image of Uranus
文/sorae編集部
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2023-04-08 12:00:04Z
1911850835
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