2014年11月14日。地球から5億7000万光年離れた銀河からひときわ眩い閃光がほとばしったのを望遠鏡が捉えました。超新星爆発だろうと当初は思われていたのですが…、最近になって真相が解明されました。なんと超新星爆発ではなく、ブラックホールが星を咀嚼している姿だったというのです。
しかも半殺し状態というか、星はブラックホールに食いちぎられたものの完全には死なず、結局またブラックホールの重力に引き寄せられて食いちぎられ、はじかれ、また引き寄せられて食いちぎられ…というむごいサイクルを繰り返しているというのです。
星からのSOS
約6年前に観測されたこの爆発のような閃光(ASASSN-14koと命名)について、ハワイ大学マノアキャンパス内の天文学研究所で宇宙物理学を修めている大学院生のAnna Payneさんは、データを詳細に調べていたときに重大なことに気づきました。この閃光が観測されたのが1回ではなく、複数回だったこと。そして閃光と閃光との間にはきっかり114日間の間隔があることに。
だとすると超新星爆発では説明がつきません。超新星爆発は恒星の死を告げるものであり、一度死んでしまった直後に再度爆発するなんてありえません。
そこでPayneさんは次の閃光がいつ起こるかを予測した上で観測を続けたところ、ドンピシャで5月と9月に閃光を確認できたそうです。
「単独の超新星爆発は天文学的イベントとしてそう珍しくないのですが、今回のように閃光が度重なって観測されたのは初めてでしたし、しかも銀河の中心にある超大質量ブラックホールの方向から来ていたのです」と閃光の第一発見者であるTom Holoienさんはメールで語っています。
理論上の現象が現実に
Payneさんたちはこれが長らく理論化されていたものの、観測されたことのなかった潮汐破壊現象(ちょうせきはかいげんしょう)ではないかと見ているそうです。
星が超大質量ブラックホールに近づきすぎてその重力に引きずりこまれ、さらにブラックホールの潮汐力に引きちぎられて星の質量の一部が破壊される現象のことで、砕け散った星屑はブラックホール周囲の降着円盤に取りこまれて一時的に電磁放射のフレアを発生させるそうです。潮汐破壊現象が繰り返し起こりうる可能性は理論的に指摘されていたのですが、Payneさんが確かめるまで誰も観測したことはありませんでした。
Payneさんたちによれば、閃光を説明できるシナリオはほかにもいくつかあるそうです。もしかしたら超大質量ブラックホールがお互いの周りをまわっていて、降着円盤が干渉しあうたびにフレアを生み出しているのではないか? それとも、もしかしたらブラックホールに向かって落ちていく星が降着円盤に対して極端に鋭利な角度を保っているせいなのではないか?
このどちらのシナリオも可能性としては低いそう。なぜなら、前者であれば毎回きっちり同じ間隔でフレアが観測されないであろうし、後者であればフレアがブラックホールを中心に見て非対称になると予想されるからです。
死のダンス
だとしたらやはり潮汐破壊現象が有力かも。Payneさんによれば、「フレアの明るさと持続時間から計算すると、一度の質量ロスはとても小さいことがわかっている」そうで、木星の質量の3倍ほどだそう。もし餌食になっている星の質量がもともととても大きかったとしたら、今後何十回、いやもしかしたら何百回も死のダンスが続くのかもしれないそうです。そして、もっとも最近では冬至の少し前に閃光が確認されているので、次に光るのは2021年4月13日頃のはずだそう。
すべての星はいつか死を遂げます。しかし、このあわれな星に限っては、尊厳が守られない死に様となってしまっているようです…。
Payneさんたちの研究成果はアメリカ天文学会の第237回ミーティングにて公表されたほか、arXivにて論文原稿が公開されています。
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2021-01-19 13:00:00Z
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