Jumat, 28 Mei 2021

月の水はどれくらい使える?を探る、NASAのVIPERとは - GIZMODO JAPAN

これからの月探査、そしてその先に向けて。

NASAの次なる月探査機・VIPERヴァイパー、と発音)は、ゴルフカートサイズながら強力な機器群を装備し、月面の水がどうなっているのか、我々の理解を大きく進めることが期待されています。2023年後半に月に着陸予定のVIPERがどんなものか、月面の水は我々にとってどんな意味を持つのか、以下にまとめていきます。

月で使える資源を探る

VIPERとは「Volatiles Investigating Polar Exploration Rover(直訳:揮発性物質調査極探査車)」の略。月の南極地方で、表土の下や暗いクレーター内部など、氷状の水のある場所とその量を100日ほどかけてマッピングしていく予定です。

「VIPERはNASAが月上に送るもっとも有能なロボットで、我々が見たことのない月の部分の探査を可能にするはずです」NASAでVIPERを担当するプログラムサイエンティスト、Sarah Noble氏は声明の中で言っています。「VIPERは月上の水の起源や分布についての理解を助け、地球から24万マイル(約40万km)の月上での資源収集に向けた準備を可能にすることでしょう。その資源は、宇宙飛行士を火星を含めたさらに遠くの宇宙へと安全に送るために活用できるかもしれません」。

Video: NASA's Ames Research Center/YouTube

NASAのアルテミス計画の一環であるVIPERは、月やその先の星での持続可能な探査手法を探ることがひとつの目的です。月のどこに水があるか、そのうちどれくらいが使えるかがわかれば、この大目標に向けてすごく有意義です。

VIPERの打ち上げから輸送までを請け負うことになったのは、米国ピッツバーグを拠点とするAstrobotic社。NASAによればミッション開発コストは4億3350ドル(約470億円)、うち2億2650ドル(約250億円)がAstroboticとの契約に当てられています。

VIPERは高さ8フィート(約2.5m)・幅と長さが5フィート(約1.5m)、太陽光を動力源とする四輪車です。月探査機では初めてヘッドライトを搭載し、月の暗い影の部分、何十億年も太陽があたっていない部分までも調査していきます。なのでVIPERは外気温の極端な変化に耐える必要があり、かつ月の細かいサラサラした表土をしっかりグリップして進まなくちゃいけないし、強い宇宙線にも負けられません。

サラサラの表土もぐいぐい進める

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Image: NASA/Alcyon Technical Services/James Zunt via Gizmodo US
VIPERのプロトタイプが、その機動性を示してます。

2020年の探査により、月にはそこら中に水があることが確認されていて、直射日光が当たる部分にも、「コールドトラップ」と呼ばれるつねに暗いポケット上の部分にも水があります。隕石の衝突でできたインパクトクレーターにはこうしたコールドトラップがたくさんあり、探査の上で重要なターゲットとなっています。

VIPERの見どころのひとつは、その特殊なホイールとサスペンション機構です。これらにより急な傾斜でも、多様な表土の上でも超えていくことができ、深いインパクトクレーターにも降りていけるのです。

「通常運用中、VIPERはいろいろな表土の上を移動していきます」NASAのVIPER情報ページにはあります。「非常にサラサラした土の上でも、VIPERは各車輪をほとんど足のように独立して持ち上げることができ、その足を表土に押し込みながら進むことが可能です。これによって泳ぐような動きが可能になり、きわめて柔らかい土壌からでも這い出すことができます。」

VIPERの最大速度は時速0.5マイル(0.8km)とかなりゆっくりで、地球上の管制からの指示を受けて一度に12〜25フィート(約4〜8m)ずつ動いていきます。VIPERはNASAの通信網・ディープスペースネットワークのX-bandシステムを使って地球にデータを送ります。月と地球の双方向通信は簡単で、地球から月に信号を送るのは2秒しかかかりません。それに対し火星のキュリオシティやパーサヴィアランスに信号を送るには、地球から20分近くを要します。

月の土を1メートル掘ったら、何がある?

VIPERが使う測定器類は4つあり、Mass Spectrometer Observing Lunar Operations(Msolo、直訳:月活動観察用質量分析器)、Near Infrared Volatiles Spectrometer System (NIRVSS、直訳:近赤外線揮発性物質分光計システム)、Neutron Spectrometer System(NSS、中性子分光計システム)、そして興味深いのがThe Regolith and Ice Drill for Exploring New Terrains (TRIDENT、直訳:新地形探査のための表土と氷ドリル)です。TRIDENT(トライデント)は長さ約1mのハンマードリルで、NASAはこう説明しています。

この長いドリルの先端部分にはカーバイドの歯があります。これは鋭利さを維持するために鉄より硬い素材で、精密ドリルや切断装置で使うのと同様のものです。このパーツには温度センサーも搭載しており、表土下の温度を検知します。細長いドリル全体にわたり、パワードリルを使ったことのある人は見たことがあるかと思いますが、渦巻状の「フルート」と呼ばれる溝があります。TRIDENTが回転すると、ドリルが掘り出すものはフルートを通って穴の外へと運ばれます。回転ブラシが土壌サンプルをドリルから掻き出してシュートに入れ、地面にきれいに積み上げていきます。そこにはVIPERの次の機器があり、サンプルを分析します。

なかなかうまくできてるみたいですね。すべて順調に進めば、人類が月の表土を掘るのはアポロ計画以降初めてとなり、狙い通りの深さまで掘れれば、地球外では一番深い部分に到達する予定です。

VIPERの月への打ち上げは2023年11月の予定で、アルテミス計画で宇宙飛行士が月に到着するより1年くらい早くなるかもしれません。月表面に「女性ひとり、有色人種ひとり」を含む宇宙飛行士が降り立つアルテミス2号のミッションについて、はっきりした日付は未発表です。

VIPERは、米国の宇宙船で初めて無事月に着陸したNASAのサーベイヤーをほうふつとさせます。1966年から1968年にかけて計7機の固定型探査機が送られ、うち5機が無事着陸してアポロ計画への準備を成功させました。21世紀バージョンの有人月探査ではどんな成果が出てくるのか、それに先駆けてVIPERはどんなものを掘り出してくれるのか、期待が高まります。

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2021-05-28 11:00:00Z
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