開くだけでカッコいい ガルウィング搭載車
クルマをドラマチックに演出したいなら、ガルウィングドアをつけるのが一番簡単な方法だ。メルセデス・ベンツの300SLガルウィングが登場して以来、このドアは高級車の代名詞ともなっている。
ガルウィングドアは、カモメ(Gull)の翼のように開くことからこのように呼ばれる。乗り降りするためだけのアイテムではないが、どのような用途であれ、ガルウィングは人々を惹きつけてやまない。
今回は、ガルウィングを装備したメモリアルなモデルを年代順に紹介したい。
メルセデス・ベンツ300SL – 1954年
1950年代を代表するスーパーカーである300SLは、正式には「ガルウィング」と呼ばれたことはないが、そのドアの機構から広くそう呼ばれている。この愛称が定着したのは、当時のメルセデスの頑丈さを完璧に表現しているからだ。ガルウィングドアは、見た目ではなく強度を高める巨大なシル構造のために必要だったのだ。
だが、後に登場した300SLロードスターでは、使い勝手に優れた通常のドアを採用しながら、さらに高いボディ強度を確保することに成功している。それでも、富裕層や著名人をはじめとする大きの人がガルウィングを選んだ。
メルセデスの初期のレーシングカーをもとに開発された300SLは、社交界だけでなくサーキットでも大いに活躍。アルミニウムを使用した軽量バージョンも29台作られている。
ガルウィングはいいが、別にドアにこだわる必要はない。エンジンカバーに採用すれば、もっと素晴らしいデザインが出来上がるのではないか。そう考えたデ・トマソは、同社初のスーパーカー、マングスタを開発した。リアのヒンジを開けると、4.7L V8エンジンが現れる。
エンジンカバーの上部はガラス張りになっており、通行人にマングスタのパワートレインを見せつけることができたが、ドライバーの後方視界を確保することはほとんどできなかった。
イタリアと米国にルーツを持つデ・トマソゆえか、当時のエキゾチックカーと比較してもかなり高い価格で販売された。1972年までに約400台が生産されている。
メルクスRS 1000 – 1969年
旧ソビエト時代の東ドイツで、ガルウィングドアのスポーツカーを製造することは難しいはずが、メルクスRS 1000はそれを成し遂げてしまった。メルクスの低床クーペボディは、乗降性に優れたドアを必要としたため、ガルウィングが採用された。共産圏には似つかわしくない、流麗なフォルムによくマッチしている。
グラスファイバー製ボディの下には、ヴァルトブルク製の992cc 2ストロークエンジンを搭載。鉄のカーテンの「向こう側」で培われた2ストロークエンジンのチューニングのノウハウが生かされ、最高出力は69ps、最高速度は165km/hに達した。
画像 わくわくが止まらないガルウィングドア【300SL、デロリアンなど記事で紹介したモデルを写真で見る】 全130枚
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2022-08-06 21:05:00Z
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