Selasa, 27 Desember 2022

Electric Zooma! 2022総集編。PCサウンドバーから軟骨伝導、iPad版DaVinciまで - AV Watch

経済再建と円安に苦しんだ1年

コロナ禍になって3年が経過し、我々の生活も「新しい生活様式」のままで行くのか、それともコロナ前の生活に戻るのかの岐路に立たされたのが、2022年という年だったのではないだろうか。様々な制限の中で、北京2022オリンピック・パラリンピック、2022 FIFAワールドカップといった大きなスポーツイベントもあり、展示会や製品発表会も規模を縮小しつつも前向きに開催されるようになってきている。

昨年は半導体不足に悩まされたAV機器業界だが、今年は為替相場が大きく円安に傾き、輸入製品が軒並み値上がりして、消費者の懐を直撃した。メーカーは価格を超えた新しい価値の創造や、価格を抑えつつの成長を余儀なくされた1年だったのではないだろうか。

さて今年1年で本連載が取り上げた製品をジャンル分けすると、カメラ×16、オーディオ×18、制作・HowTo×3、ガジェット×4、スマホ・タブレット×5、PC×1という結果になった。カメラの中にはドローンも含む。ここ数年、オーディオで面白い製品が台頭しており、カメラとオーディオが拮抗する結果となっている。

では早速ジャンル別に、今年のトレンドを振り返ってみよう。

オーディオ篇

今年のオーディオのトレンドは、「耳を塞がない系」がしっかり一定の市場を形成したことだろう。以前からフィットネスで骨伝導ヘッドフォンが注目されたところではあったが、コロナ禍以降、周りの音を聞きながらリモート会議したい、あるいはリモート会議が長時間過ぎて耳の負担を減らしたいというニーズが高まり、人気が爆発した。

今年取り上げたオーディオ系18回のうち、実に8回が「耳を塞がない系」の記事である。しかも1回で2つの製品を取り上げた回もあるため、製品数としては10となる。

骨伝導でリードするShokzは、今年最上位モデル「OpenRun Pro」を発売。従来不足していた低音を大幅に増強し、「特殊な聞き方・特殊な音」であった骨伝導を、音楽リスニングに耐えられるレベルに押し上げた。完全ワイヤレスの骨伝導を展開するBoCoは、第2世代となる「PEACE SS-1」をリリース、こちらも音質面で大幅な向上を果たした。

同じく骨伝導系ではあるが、軟骨伝導という新方式をひっさげてオーディオテクニカが参入してきたのも面白かった。市場の拡大に合わせて、骨伝導の開発スピードがどんどん加速しているのが感じられる。

軟骨伝導を採用した「ATH-CC500BT」

一方インイヤーながら、ドライバの真ん中に穴を開けるという斬新な方法で「耳を塞がない」を実現したのが、ソニー「LinkBuds」である。構造上低音や音量に難はあるが、初号機としては十分な完成度だった。

LinkBuds

ただ、あまりにも穴の空いた構造に注目されすぎた結果、第2弾となる「LinkBuds S」は同じコンセプトではあるものの、ノイキャン構造のイヤフォンで外音取り込みを強化という方向性に、疑問が残る結果となった。普通にイヤフォンとして良くできてはいるのだが、多くの人が「そうじゃないだろ」と思ったのもまた事実であろう。

LinkBuds S

なおLinkBudsと提携していたMicrosoftの「Soundscape」は、来年開発終了しオープンソース化するという。LinkBudsというコンセプトの重要な一角を占めていたサービスを、今後ソニーが引き継ぐのか、それとも民間の開発に任せるのか。いずれにしても、一旦はサービスが途切れることになりそうだ。

イヤフォンでもヘッドフォンでもない製品として面白かったのは、AIWAの「ButterflyAudio」である。試聴してあまりにも斬新なサウンドだったので、個人的にもクラウドファンディングで購入し、今もこれで音楽を聴きながら執筆している。今年12月に藤本健氏の連載でも改めて取り上げられ、再び注目を集めているところでもあるが、現在アイワストアでも、メルカリの中古ですらも完売で、もはや入手できなくなっている。

AIWAの「ButterflyAudio」

同じく個人的にクラウドファンディングで発注してしまったのが、NTTソノリティの「nwm MBE001」だ。周囲に逆相を放出して音漏れを消すという大胆な発想の、2世代目となる。音質的にも非常に明瞭度が高く、技術的にも将来性が感じられた。製品送付は来年2月下旬の予定で、楽しみに待っているところだ。

NTTソノリティの「nwm MBE001」

さて、今年の連載で最もビューを集めたのは、意外にも6,480円のCreativeサウンドバーだった。Bluetoothスピーカーの技術で、PC・スマホ向けサウンドバーを作るというアイデアが光った製品だ。USB-Type Cによる直接接続も可能で、バッテリーも内蔵し、スマホ直結でドカドカ音を鳴らせるといった汎用性の高さも魅力だ。

「Creative Stage Air V2」

一方、今の技術で40年前の製品を復刻したオーディオテクニカの「サウンドバーガー」も、印象深い製品だった。レコード復刻が叫ばれて久しいが、実際聴くのは大変である。それを手軽にした製品だ。正直40年前にはピンと来なかった製品だが、まさかそのコンセプトが40年先を見据えていた……のかはわからないが、時代にフィットしたのは間違いない。初回のオンラインストア限定発売7,000台は瞬間蒸発。追って12月に再生産するも再び完売となっており、これも入手難となっている。

オーディオテクニカの「サウンドバーガー」

カメラ篇

カメラでも、大きな流れの変化があったように思う。フルサイズミラーレス一眼は、4K/HDRを中心に成長したが、非フルサイズは昨年ソニーの「ZV-E10」ヒットを受けて、Vlog方向にシフトした。その一方で、従来はスポーツ撮影で使われてきたアクション系のカメラが、マイクロカメラとしてVlogをはじめとした日常撮影用に再評価されたのが、今年のトレンドであった。

カメラ系16回のうち、アクション系のカメラを扱ったのは7回。これには360度カメラも含まれる。記事のビュー数で言えば、Creativeのサウンドバーに次いで2位だったのが、「DJI Osmo Action3」だった。前作はキューブ型の合体分離型だったが、原点回帰した形状ながらも音声収録に強く、縦撮りもサポートする。DJIがドローンメーカーからカメラメーカーへシフトし、底力を見せた逸品であった。

DJI Osmo Action3

一方360度カメラを中心に展開してきたInsta360も、製品をマイクロカメラ方向へとシフトさせている。Insta360 ONE RSはカメラモジュール、ディスプレイモジュール、バッテリーモジュールを組み合わせる合体型アクションカメラだが、カメラヘッドを360度モジュールに取り替えれば360度カメラになる。既存製品をどんどん拡張する形で別製品となるコンセプトは、過去多くのメーカーがトライしたがあまり成功しなかった。その点Insta360は、矢継ぎ早に製品が出せる開発力であっと言わせた。

Insta360 ONE RS 1インチ360エディション

また本業とも言える360度カメラでは、大型ディスプレイを搭載してスマホなしで完結することで、使いやすさを大幅に向上させた。さらにはジンバル付きUSBカメラも登場させるなど、開発力だけでなく企画力の幅広さも見せつけた。

Insta360 Link

アクションカメラの元祖GoProは、今年2モデルを投入し、健在なところを見せた。ただ相変わらずターゲットはスポーツ撮りである。お膝元の米国ではスポーツ市場は巨大で、カメラもほぼ独占状態にあるのだろうが、アジア地域ではすでにアクションカメラは別用途に向かっている。GoProはもはや、米国以外との感性のズレが大きくなってしまった。

GoPro「HERO11 Black」

ミラーレスは、ニコンの8Kフラッグシップ「Z9」や、新生OMデジタルソリューションズの「OM-1」、パナソニックの「LUMIX GH6」など、新フラッグシップの登場が印象的だった。加えてニコンからは「Z 30」、キヤノンからは「EOS R10」といったVlog機が登場し、花を添えた。

パナソニックの「LUMIX GH6」

ミラーレス動画撮影では、コンシューマ機からプロ御用達へ成長したGHシリーズのような流れとは逆に、プロ機からコンシューマへやってきたソニー「FX30」のような流れもでき、「シネマトーン」の浸透が決定的になったのも、今年のトレンドであろう。

今年を彩ったスマホとガジェット

スマートフォンはもはやカメラぐらいしか差別化要因がないと言われてきたが、そのカメラもその差があまりわからなくなってきている。円安の中でiPhoneの価格が爆上がりする中、Google Pixelの比較記事はかなりの注目を集めた。個人的には「a」シリーズを細々と乗り換える人生だが、それでもPixlel 4aから6aへの買い換え記事が本連載ランキング5位に入るなど、Pixelシリーズへの注目の高さを伺わせた。

左から「Pixel 7 Pro」、「Pixel 7」

一方ソニーのXperiaシリーズは、価格は高いがもはやプロユースとも言える機能を備えており、業務用スマホというジャンルを形成しつつある。特に動画撮影機能のプロ化は著しく、もはや一般のスマホユーザーには意味がわからないだろう。

ただその中において、「Xperia 1 IV」が光学ズームレンズを搭載したのは面白かった。スマホ向けカメラモジュールとしてソニーはトップランナーであり、今後他社にも波及するのか、来年の動きに注目したい。

ソニー「Xperia 1 IV」

個人的に印象深かったのは、Amazon Echo Show15である。製品が出てきた時にはちょっとピンと来なかったのだが、12月にFire TV機能を追加するアップデートが行なわれ、使い道が一気に拡がった。

Echo Show 15

もう1つ印象深かったのが、DaVinci ResolveのiPad版の登場である。M1やM2プロセッサのパワーを存分に活かしつつ、iPadでHDRの確認もできる本格的な映像編集ツールに変えてしまう一手として、面白かった。加えて12月22日のデスクトップ版DaVinci Resolveのアップデートには、編集コントローラのSpeed EditorをiPad対応にするファームウェアが含まれている。画面タッチでチマチマから、専用コントローラで爆速編集ツールへと変貌した。

DaVinci ResolveのiPad版

総論

そんなわけで今年のElectric Zooma! も、本稿で終了である。全体を振り返ってみると、今年はノウハウ系の記事がちょっと少なかったかなと反省しているところだ。AV Watch自体ももう開始から20年以上が経過しており、新しい読者も沢山入ってきている。古参AVファンには当たり前でも、若い人は知らないことだらけなのがAVの深さでもある。来年はもっと若いファンのために、入門的な記事も手がけていきたいと思っている。

他方でその反対の方向、ライブ配信やマニュアルビデオ作成など、業務でもAVに関する知識が必要なケースがでてきている。大手企業ではすでに動画コンテンツの内製を始めており、動画技術者が銀行や証券会社の社員として採用されるといった事態になってきていると聞く。これまでプロしかやってなかったことが、どんどん民間企業に拡がっており、ここからはプロ、という線引きが次第に滲んでいっているのを感じる。

来年はこうした配信・映像制作系の記事も手がけていく必要があるかもしれない。ニーズに応じて柔軟に変化していく連載でありたいと思っている。

さてそんなところで、今年の連載も終了としたい。今年の年末は曜日の並びが悪く、カレンダーどおりなら30日まで仕事という人もいらっしゃるかもしれない。今年の振り返り記事も読んでるヒマもないかもしれないが、三が日あたりにでもゆっくりお読みいただければ幸いだ。

それでは皆様良いお年を!

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2022-12-27 22:00:00Z
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