遠い宇宙の電波爆発はなぜ起きる?
はるかな昔、地球から遠く離れた銀河で、謎の天体が宇宙に向けて爆発的な電波(電波バースト)を放射した。そのパルスを2018年9月、オーストラリア西部にある電波望遠鏡アレイがとらえた。電波バーストの持続時間はほんの数ミリ秒だったが、科学者たちはそれを遡った。そうして発生源をつる座の方向に約36億光年離れた銀河と特定、6月27日付けで学術誌「サイエンス」に発表した。
ギャラリー:天の川銀河のブラックホール、波打つ土星の環、ほか2019年6月の宇宙画像12点
天文学者たちは10年ほど前からこうした電波バーストを数多く観測してきたが、単発の電波バーストの発生源を特定することに成功したのは今回が初めて。こうした高速電波バースト(fast radio burst:FRB)の発生源が明らかになれば、その激しい爆発にエネルギーを供給する機構を絞り込むのに役立つはずだ。
「発生源を特定することは重要です。今後さらに発生源が特定されていけば、この現象の多様性が示され、電波バーストの発生機構を解き明かすのに役立つでしょう」と、今回の論文を執筆したオーストラリア連邦科学産業研究機構のキース・バニスター氏は語る。
けれども現時点では、新たな観測結果は謎を深めることになった。
高速電波バースト研究の第一人者であるオランダ、アムステルダム大学のエミリー・ペトロフ氏は、「高速電波バーストの正体に近づくことができたかどうかはわかりませんが、全体像には一歩近づいたと思います」と言う。
繰り返しバースト発生させる矮小銀河
高速電波バーストが最初に話題になったのは約10年前のこと。米ウェストバージニア大学の天文学者ダンカン・ロリマー氏が、観測データの中から1秒にも満たない短時間の電波バーストを発見した。宇宙から来た電波だというロリマー氏の主張に対し、ありふれた電波なのではと疑う研究者もいた。あまりにも遠くから、あまりにも強い電波が来ているように思われたからだ。
けれどもその後、さらなる電波バーストが観測され、なかには複数の望遠鏡でとらえられるものもあったため、天文学者たちは遠方にある電波バーストの発生源を真剣に探すようになった。
2016年、プエルトリコのアレシボ天文台で観測を行っていた天文学者チームが、FRB 121102という電波バーストが繰り返し電波を放射していると発表した。ほかの電波バーストとは異なり、FRB 121102の電波バーストはまだ終息しておらず、科学者たちは2017年に、それが約30億光年の彼方にある、奇妙なしみのような矮小銀河であることを突き止めた。
電波バーストの発生源について現在有力な説の1つは、非常に強い磁場をもつ、生まれたばかりの中性子星(寿命の短い大質量星が大爆発を起こして死んだあとに残る天体)によるものとする考えだ。このような天体はマグネターと呼ばれている。しかし、各国の望遠鏡がこれまでにとらえた数百の高速電波バーストの発生源は、基本的にはまだわかっていない。
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https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190708-00010001-nknatiogeo-sctch
2019-07-08 09:03:00Z
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