東京大学は8日、オリオン座の大星雲M42の内部にある散開星団の形成プロセスを、数値解析シミュレーションによって解明したと発表した。
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M42の内部には、トラペジウムと呼ばれる台形の散開星団がある。この付近の領域では散開星団だけでなく、新たな星も誕生しつつあり、恒星誕生の瞬間を直接観察できる場所として、天文学者の間で注目を集める存在だった。
M42は地球から1300光年の距離にあり、20光年にも及ぶ範囲に広がった星間ガスがトラペジウムによって照らされて輝く。光害の少ない場所では、小さな望遠鏡でもぼんやりした羽毛のような姿が確認できるため、一般人にとっても非常に人気のある存在である。
今回研究チームは、国立天文台のスーパーコンピュータを用いて、星の運動問題を正確に解析できる星団形成シミュレーションプログラムを独自に開発。2013年に欧州宇宙機関によって打ち上げられた、ガイア衛星の観測データ(M42内部の散開星団を構成する星々の3次元マップとそれぞれの移動速度)と比較することによって、散開星団形成プロセスを明らかにした。
恒星は分子雲と呼ばれる低温の星間ガスの中で誕生するが、M42では太陽質量の8倍を超える大質量星が生まれている。この大質量星は誕生から時間が経過すると、自らの誕生のための原料となった分子ガスを電離して、外部に吹き飛ばし、恒星形成の最終段階を迎える。
つまりM42では、恒星が誕生しつつある領域では低温の分子雲が分布し、大質量星誕生後の周辺領域では、高温の電離ガスが分布する形態となっている。
恒星が誕生する以前の状態から、散開星団が形成されていくまでのプロセスは、東大研究チームの数値解析シミュレーションによって緻密に再現された動画がYoutubeで公開されている。このシミュレーションで得られた個々の恒星の運動速度は、ガイア衛星の観測データによく一致しているという。
今回の研究は、東京大学の他、国立天文台、東北大学、神戸大学などが共同で行ない、その成果は、英国王立天文学会月報で公開されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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2022-06-09 07:10:10Z
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