Minggu, 05 Juni 2022

Kavli IPMU 15周年記念シンポジウムを開催 - 東京大学

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掲載日:2022年6月6日

2022年4月24日(日)、東京⼤学国際⾼等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) は「世界トップレベル研究拠点プログラム WPI Kavli IPMUの15年の成果と展望ー数学者・物理学者・天文学者・探究の旅路」と題した一般向けシンポジウムを実施しました。世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)は、優れた研究環境と高い研究水準を誇り、世界から第一線の研究者が集まる 「目に見える」研究拠点の構築を目指す文部科学省の事業です。Kavli IPMUは、2007年に WPI 拠点の一つとして採択され、多数の国際共著論文をはじめとした数学、物理、天文といった分野の融合研究の成果を多数生み出してきました。本シンポジウムは、WPI 拠点としての15年間の支援が終了し WPI アカデミーへ移行するにあたり、WPI 拠点としてのこれまで15年間の成果紹介及び東京大学における恒久研究機構としての未来を歩むことを一般向けに報告することを目的として行われました。現状の新型コロナ感染症拡大の状況を鑑み、来賓や講演者など関係者のみが東京大学安田講堂に参集し、一般の方は安田講堂からのオンライン配信を視聴する形で開催され、全国各地から約1020名の参加がありました。
 
横山広美 Kavli IPMU 副機構長の司会のもと、シンポジウムは進められました。藤井輝夫総長、文部科学省の池田貴城研究振興局長、日本学術振興会の宇川彰 WPI プログラムディレクターの開会挨拶に続き、大栗博司 Kavli IPMU 機構長が「Kavli IPMU 15年間の成果と展望」と題して総合講演を行いました。大栗機構長は、Kavli IPMU 設立当時から現在に至るまでの機構の歴史や活動、主な研究成果について紹介し、加えて自身の研究や Kavli IPMU の研究活動にも関係する「宇宙と数学」の繋がりについて発展の歴史も交えながら将来の展望についても紹介しました。続いて、第一弾のビデオメッセージの紹介となり、Kavli IPMU へ2012年より寄附を行ってきた米国カブリ財団会長の Cynthia M. Friend  (シンシア フレンド) 氏と Kavli IPMU の初代機構長であった村山斉教授からの祝福メッセージが紹介されました。
 
その後、Kavli IPMU の天文、数学、物理の研究者による講演が行われました。1つ目は、高田昌広 Kavli IPMU 教授が「すばるで探るダーク成分」と題して講演を行い、ハワイのすばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ HSC (Hyper Suprime-Cam) によってこれまで得られた多様な研究成果について紹介しました。そして、今後の展望として2024年本格観測開始となる超広視野多天体分光器 PFS (Prime Focus Spectrograph) の分光観測によって、Kavli IPMU がリードする観測的宇宙論研究は第二弾に入ること、そして観測で得られる膨大なビッグデータを AI の力を用い解析することで、更なる研究の発展が期待されることなどについて述べました。2つ目は「特異点に秘められた謎」と題して伊藤由佳理 Kavli IPMU 教授が講演を行い、特異点とは何かについて曲線と曲面の場合でどういったものかを説明し、更にはビッグバンやブラックホール、超弦理論といった物理学分野との関わりについても言及しました。その後、自身が研究する特異点の解消が具体的にどのようなものであるかを紹介し、その際に図形やグラフに落とし込んで考え研究していることを黒板の画像などを見せることによって分かりやすく示しました。加えて、数学研究の他に取り組んでいる数学の普及活動の紹介や、女性研究者ネットワーク作りの活動等についても言及しました。そして3つ目の講演は、Mark Vagins  (マーク ヴェイギンス)  Kavli IPMU 教授が「もう待たない!超新星ニュートリノ」と題して、1987年にスーパーカミオカンデの前身であるカミオカンデで超新星 SN 1987A からの超新星ニュートリノが観測された話を起点に、宇宙の様々な銀河で超新星爆発は頻繁に起きており珍しい現象ではないにも関わらず、SN1987A以来超新星ニュートリノは観測されていないことを紹介。宇宙を漂う超新星背景ニュートリノの観測には、ガドリニウムを純水に添加するのが良いのではないかと2004年に自身が理論家と共に論文で提案したことに言及。Kavli IPMU に移ってからは検証実験を綿密に行い、スーパーカミオカンデの改修工事後に2020年夏から添加が始められて現在は添加濃度を少しずつあげていることを紹介し、今後、スーパーカミオカンデでの超新星背景ニュートリノの観測頻度があがることへの期待について述べました。
 
続いて、嘗て Kavli IPMUに在籍していたマウント・ラグナ天文台の Robert Quimby  (ロバート クインビー) 所長、ベルン大学理論物理学研究所の Susanne Reffert  (スザンナ レフェアト) 教授、ニューヨーク大学ストーニーブルック校数学科の Christian Schnell  (クリスティアン シュネル) 教授 の3名の研究者から寄せられたビデオメッセージも流され、Kavli IPMU 在籍時の思い出や現在のキャリアにどのように繋がっているかを含めた近況などを語りました。そして最後に、東京大学の相原博昭理事・副学長の挨拶で締めくくられ閉会となりました。

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