Rabu, 29 April 2020

Gears Tactics レビュー。これぞ「ギアーズ」の興奮、アナログウォーゲームとデジタルの合体進化 - Engadget日本版

Gears Tactics

4月29日発売のPC用ストラテジーゲーム、『Gears Tactics』(ギアーズ タクティクス)のレビューをお伝えします。

Gears Tactics はXboxとWindowsで人気の『Gears of War』シリーズ初のストラテジーゲーム。ギアーズシリーズはTPS(三人称視点シューティング)でありながら、遮蔽物から遮蔽物へと伝って動くカバーアクションや、チームメイトと連携した側面攻撃など、反射神経だけではない戦術性が特徴のゲームでした。

Gears Tacticsは一人プレイ専用でターン制のストラテジーという全く違うジャンルですが、ユニークなゲームデザインにより、ギアーズならではのスピーディーな展開と戦術性、爽快感を本編と同等以上に味わえる野心的な作品です。

延々とプレイした結論から述べると、「ミニチュアウォーゲームのようなアナログ感と自由度の高いシステムで、ターン制なのにアクションのようなプレイ感覚が新鮮。ギアーズらしい急展開で窮地に陥って慌てるのも、キャラの個性とスキルが噛み合えば圧倒的不利をひっくり返せるのも中毒性がある快感。ゲームパスに入っているならいますぐ落とすべき」。

そもそも具体的にどんなゲームなのよ?と、開発者に訊いたゲームのインスピレーション、実際に遊んだ感想は続きをどうぞ。

Gears シリーズ初のストラテジー作品

Gears Tactics
Gears Tacticsは地球によく似た架空の惑星セラを舞台に、最大4人の兵士からなる小隊を率いて、地底から忽然と現れた謎の敵「ローカスト」と戦うターン制のストラテジーゲーム。PC向けゲームとしてデザインされましたが、後からXbox版もリリース予定です。

プラットフォームはPC (Steam、マイクロソフトストア、Xbox Game Pass for PC)。開発はマイクロソフト傘下のGearsシリーズ専属スタジオ The Coalition と、対戦PCゲームを多く手掛ける Splash Damage。

三人称視点の銃撃戦アクションゲームだった『Gears of War』シリーズの世界観を使いつつ、シリーズで初めてターン制ストラテジーというジャンルに進出しました。


ストラテジーゲーム、いわゆるシミュレーションウォーゲームにも色々ありますが、ギアーズ タクティクスの特徴は、

・グリッドがなく、自由度が高いオープン性

ストラテジーゲームといえば、ボードゲームでおなじみの四角や六角型の枠にコマを置いて移動は何コマ、射程は何コマと数えるものが思い浮かびますが、ギアーズ タクティクスのマップには枠がありません。マウスカーソルを動かすことで、ユニットごとの移動力とアクション数(後述)でどこまで進めるか、精巧なジオラマのようなマップ上を自由に移動できます。

枠がないシステムは、開発陣が大ファンというミニチュアウォーゲーム、ウォーハンマー40Kなどと同様です。同時にPCゲームなので、立体地形の移動コストやユニットごとの射線判定、遮蔽効果などなど、アナログでは煩雑になりすぎる計算もまったく意識することなく、定規不要でサクサクと進みます。


・3アクション制のスピーディーな展開


Gears Tactics

グリッドのない移動とともに、ターン中の行動はユニットごとに基本3回の「アクション」で表現されるのも自由度に貢献する特徴です。移動したら攻撃の繰り返しではなく、ギアーズ タクティクスでは移動・射撃・スキル使用などのアクションを自由な回数と順序で組み合わせられます。

たとえば3アクション全てを移動で一気に距離を詰める(かわりに迎撃体勢がとれないまま突出孤立でボコられる)のも、動かず射撃を続けることで上方修正が入るマルチャー(シリーズおなじみのヘビーマシンガン)で不退転全弾撃ち尽くし外交するのも自由。

ターン制ストラテジーでは攻撃を確率で外した際にそのターン全体が無駄になりリセット欲に駆られたり、次の手番までダレることがありますが、3アクション制では例えばまずグレネード投擲、生き残りがいたら掃討、いなければ遮蔽物まで移動、のように前のアクションの結果で次を判断できるため、一手ごとに待たされる感が少なく、展開が早く、長考できるのにアクションのような手応えがあります。

The Coalitionの開発陣によれば、自分の手番にはいくらでも落ち着いて戦術を考えられる一方で、それ以外の要素はすべて高速にストレスなく進めることで、原作ギアーズシリーズのライブ感、アグレッシブさを表現したかったとのこと。

・キャラクターが際立つドラマチックな物語

Gears Tactics
舞台は初代ギアーズ・オブ・ウォーの10年前、主人公は後にギアーズ5の主人公になるケイト・ディアスの父親ゲイブ・ディアス。敵はローカストの巨大生物兵器を開発するマッドサイエンティスト「Ukkon」(オーコン。どう聞いてもウーコンと発音してるけどカナ的にはオーコンらしい)。

ゲイブ率いる部隊はUkkonを追い詰め抹殺する無謀な指令を受け、満足な補給も増援も望めないまま、巨大な装甲車や兵員輸送車からなるコンボイを移動拠点に捜索を開始するところから始まります。武装した難民集団を率いる狙撃手ミケーラとの反目と共闘、「怪物を産む怪物」ことUkkonとの遺恨など、ただの陣取りではない物語が語られます。シリーズをプレイしていれば感慨深く、未プレイでもこちらが前日譚なので無問題。

そのほかゲームとしての特徴は、
Gears Tactics
ギアーズの世界観。ビジュアルも効果音も、COG兵のスラングもローカストの不気味な声もまさにギアーズ。武器はチェーンソー付きランサーや銃剣付きのレトロランサー、ガトリングガンのマルチャー、サイドアームにスナッブピストル、敵がドロップしたブームショット(グレネードランチャー)やトルクボウ(爆発物を打ち出すクロスボウ)はご褒美など、シリーズのプレーヤーならば武器の個性も有り難みも分かりやすい。

5種のクラスとスキル。テンポのよい展開と、クラスの役割を生かした戦術、スキルのコンボで戦ってゆく。移動拠点となるコンボイには10数人の兵を採用でき、ミッションによって誰を連れてゆくか選ぶ。アクティブスキルとパッシブスキル、クラス特有アビリティ、装備スキルのシナジーを考えカスタマイズ。

美麗なビジュアル。ゲームエンジンはアクションの最新作Gears 5を進化させたものを使用。ゲーミングPCなら4K HDR 60+fpsまで。カットシーンや戦闘のあいまに挟まる派手な演出はもちろん、通常のゲーム画面も非常に精巧なジオラマのなかで生きたユニットがヌルヌルと動くような迫力がある。

多彩な敵キャラクター。本編ギアーズシリーズからおなじみ、雑魚歩兵のハマーバーストドローン、スナイパー、突進してくるレッチ、巨体のブーマーや狡猾なセロンガード、走る爆弾ティッカーなど、能力も行動も個性豊か。敵の組み合わせや布陣、絶妙に困るタイミングで到着する増援によって、そのつど最適な戦略を組み直す新鮮さがある。

巨大ボス戦。ストラテジーになっても巨大ボス戦は健在。3アクトそれぞれの終章にブルマックなど巨大ボスがいる。それぞれ特殊なギミックと攻撃部位を持ち、まったく別の戦い方と発想を求められる。

実際に遊んだ印象


Gears Tactics

・大発明「処刑ボーナス」の快楽

開発者のプレス向けブリーフィングでいかにも自信作のように力説されたもののピンと来ず、実際に遊んでこれか!と納得したのが「処刑」のシステム。本編のギアーズシリーズでもおなじみの、ダメージで膝をついた敵に接近してとどめを刺す行動です。

本編では特にそれ自体に大きな効果はなく、派手な演出を楽しむ程度のものでしたが、タクティクスでは「敵を処刑すると味方ユニット全員に+1アクションボーナス」という、原理の説明は難しいものの強烈な効果が設定されています(たぶん士気があがる的なやつ。処刑した本人は増えないのに注意)。

ダメージ修正等ではなく何にでも使えるアクションが増えるため、一気に戦況を打開する可能性が生まれます。状況によっては増えたアクションでさらに処刑につなぐことも。悩んだ末に針の穴を通すような連携を成功させ、「ずっとギアーズのターン!」状態に持ち込むことで、絶体絶命の窮地をわずか1ターンでひっくり返すのは堪らない快楽です。

・スキルやアビリティ中心に戦術を組み立てる面白さ
Gears Tactics
狙撃手や前衛など5つのクラスには、さらに4つの専門職に向けたスキルツリーがあります。最近のゲームは無理にでもスキルツリーを生やして枝分かれさせるのが流行りで、スキルと言いつつ実際は「攻撃力が上がる」やら「スキが減る」等の単なる数値修正を小分けにしているような作品もありますが、ギアーズタクティクスのスキルはむしろカードゲームやボードゲームのような、ルールを書き換えるものが多め。

射撃のようにアクションを消費するアクティブスキルと、条件が満たされると自動発動するパッシブスキルがあり、自然とシナジーやコンボを考えるようになります。たとえば単独で敵陣深く切り込む前衛には、被ダメージで発動するパッシブスキルを積んでみる、大量の敵を相手にできる重火器兵には敵を倒したら発動を組み合わせるなど。

なかにはクラスの特性とスキルを組み合わせることで、ほとんどルールのハックに近いようなコンボも実現できます。

刻々と変わる状況を読みつつ、手札を眺めて勝機を探るのは、むしろマジック・ザ・ギャザリングのようなルール書き換えカードゲームのコンボを考える楽しさに近い感覚です。
Gears Tactics
・RPG的なキャラ育成とパーティー構築の楽しみ

味方ユニットは最大4人の小隊規模なので、軍勢を率いるシミュレーションよりはRPGに近い感覚。個性の違うクラスを組み合わせるのも、装備やスキルツリーもキャラ育成RPG的に楽しい。ミッション終了ごとにランダムで装備アイテムが手に入るため、ハクスラ的にちょっと良い装備が落ちて嬉しい、じゃあこっちを外してお下がりを二軍に、といったチマチマした最適化も、上述のスキル制・クラス制とあいまって楽しめる。

・むしろ「本編以上にギアーズ」な戦術プレイ

遮蔽から遮蔽へジリジリと前線を押し上げるのも、今この時と決断して敵陣深く斬り込むときの緊張も、必殺チェーンソーや銃剣突撃の快楽もまさにギアーズ。スナイパーにピン留めされて頭を引っ込めたまましゃがんで泣くのも、あり得ない数のレッチやティッカーにパニックになるのも、完璧なはずの戦術がいきなり陥没したEホールで破綻して、必死でプランBをでっち上げるのも。

ジャンルは違えど、本編のギアーズ・オブ・ウォーで楽しかった戦略性を本編以上に堪能できます。

微妙な点

Gears Tactics
・ローカライズ。字幕やインターフェースは日本語あり、音声は英語。ゲームを進める分には、おおむね問題なく遊べます。ただし完璧にはほど遠く、スキル説明などで分かりにくい点、インターフェースでは語順が違うまま単語単位で置き換えておかしくなっている部分、ゲーム内容に直結する誤訳も。

おそらくはローカライズの体制やマンパワーや時間の問題で、文脈と切り離してぶつ切りの単語やテキストをまとめて置き換えたように見えます。日本語があるだけで有り難いを合格ラインとするか、同じスキルが敵と味方で別の言葉になっていたり、別の能力が同じ単語に訳されていたりはNGと考えるか難しいところ。

セリフに至っては、兵隊らしい皮肉や婉曲表現が多いこともあり、意味が逆だったり滑稽になっているところもありますが、ゲームシステムの理解に直結しないだけまだマシではあります。

(1点だけ、開始すぐに困惑しそうな単純ミスを挙げれば、ヒーローユニットのシドを始めとする前衛兵(ヴァンガード)が初期に覚えるスキル Hunker down(しゃがみ込み)の説明文が誤り。本来は「対象ユニットは回避+40%を得る。このターンに攻撃はできない」のはずが、なぜか「体力を40ポイント回復するか、ダウン時は蘇生する」になっています。パッチですぐ直るとは思いますが、念のため。)

・ごく一部でUIが不親切。基本はすべて画面上に数字も計算式もショートカットさえ表示する親切設計ながら、ゲーム中に参照したい数字がすぐに確認しづらい部分があります。

・ミッション選択が直線的。基本はストーリーミッション、サイドミッションの繰り返しで進む。一度クリアしたステージを手軽に繰り返したり、最適化したキャラやスクワッドの気軽な試し運転がしづらい。

まとめ

Gears Tactics

ウォーハンマーなどアナログミニチュア卓上ウォーゲームの面白さと、PCゲームの強みを昇華させた野心的な作品。ありがちな既存ストラテジーにギアーズのガワ被せた安直IP拡大かと勝手に思い込んでたら全然違いましたすみません。

ストラテジー好きはもちろん、物語的には前日譚なので、ギアーズ未プレイでも問題なく遊べます。

価格は Steamやマイクロソフトストア買い切りでは7452円。定額サービスXbox Game Pass for PC (月450円)または全部入りのUltimate加入者ならば追加料金なしで遊べます。

5月4日までのダウンロードで、特典ヒーローユニット「スラッシュボール・コール」が入手可能。初代ギアーズ・オブ・ウォーから主人公のデルタ小隊に所属していた「暴走列車」コールの、スラッシュボール選手時代のプロテクターをつけた姿です。

クラスはメインキャラのシドとかぶるヴァンガードですが、スキルツリーの枝を分ければ使い分けになります。サイドミッションは「同時に起きているできごと」の立て付けでひとつに出撃中は別ミッションに出られないシステムなので、ヒーローユニットが増えるのはかなりありがたみがあります。ターン開始時に確率で1アクション貰えるスキルBLITZの50%版がエンチャントされているアーマーだけでも超有用。

Gears Tactics
おまけ:The Coalitionの開発陣に訊いてみました。

Q ギアーズのストラテジーといえば、Xbox 360時代にKinectで操作するプロトタイプが作られて未発表のままだったと思いますが、ギアーズタクティクスと何か関係ありますか?コンセプトやアセットで流用した部分、参考にした点など。

A ギアーズの世界観をTPS以外のジャンルに持ち込む試みはこれまでいくつかプロトタイプが作られていますが、今作はそのどれとも無関係に、新しくデザインした作品です。

Q ウォーハンマーなど、ミニチュアを使うアナログウォーゲームの影響は?

A The Coalitionの開発陣は、ウォーハンマー40Kを含めテーブルトップゲームの大ファン。ギアーズタクティクスのアイデアやゲームデザインにも、自分たちがボードゲームで遊んだ経験を生かしています。

Q 最近では少数派になったシングルプレーヤー専用ゲームですが、協力プレイなど、何らかのマルチプレイ要素を追加する計画は?

A 今作はキャラクタードリブンでのめり込める物語と、テンポよく展開するストラテジーに的を絞ったシングルプレーヤーゲーム。リリースの段階では、今後の計画について話すことはありません。

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2020-04-29 14:02:52Z
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