夜空の神秘、オーロラ。
太陽風によって運ばれてくる粒子が惑星の大気とぶつかって発光する現象で、カーテン状のもの、孤を描くもの、放射線状に広がるものと、現れ方も様々です。この光のスペクタクルが木星でも見られることはわかっていたのですが、このたびまったく新しいタイプのオーロラが観測されたそうです。
NASAの木星探査機ジュノーが紫外分光器を使って観測したデータからは、オーロラの環が北極からものすごいスピードで広がっている様子が確認されました。一体なにがそうさせているか、詳しいことはまだわかっていないそうです。
煙の輪みたいなオーロラ
『Journal of Geophysical Research: Space Physics』に掲載された論文によりますと、木星の北極に現れたリング状のオーロラは秒速およそ3.3〜7.7キロメートルの速さで煙の輪のように広がっていき、直径は最大で約2,000キロメートルにも達したのだとか。研究者はこれを「リング状に広がる紫外発光」と呼んでいるそうです。
「新しく発見されたこのほのかな紫外発光は、木星の表面から何万キロメートルも離れた場所、おそらく木星の磁気圏が太陽風とぶつかるところから発生していると思われます」と米サウスウェスト研究所に所属する惑星科学者・Vincent Hueさんは同研究所が発表したプレスリリースにて説明しています。「太陽風とは太陽から超音速で発せられる荷電粒子の流れのことです。木星に到達した太陽風は、木星の磁気となんらかの相互作用を起こすことはわかっているのですが、まだ具体的には解明されていません」。
オーロラのなりたち
地球のオーロラも、磁気圏と太陽風がぶつかるところから発生しています。
地球の場合、まず地磁気にぶつかった太陽風は磁力線に沿って地球の夜側へと流れていきます。地球の夜側にはところどころ磁場が弱くなっている箇所があり、太陽風はそこへ流れこむので次第に粒子が溜まっていきます。この領域は「プラズマシート」と呼ばれています。
プラズマシートに溜まった粒子は、さらに磁力線に沿って地球の極地へと流れていきます。そこで大気と衝突する際に粒子が発光し、オーロラが輝くのです。
木星でもおおよそ地球と同じようなことが起こっているはずなのですが、なにせ磁場の強さがケタ違いです。木星は太陽系の惑星の中で最も強力な磁場を持っており、表面での強さは地球のおよそ10倍と言われています。さらに、木星の自転周期は約10時間で、これまた太陽系の惑星の中で最も速く回っていますから、磁気圏内の粒子の動きにも影響すると考えられています。
今回確認された波のように広がるリング状のオーロラは、正式にはケルビン・ヘルムホルツ不安定性と呼ばれる現象で、海上を渡っていく風が波を形成するのと似ているそうです。このような波が形成されるにはかなりのスピードが不可欠なことから、この特殊なオーロラの形成も木星の強大な磁場と自転の速さがプラズマシート内の粒子にもたらす影響によるものと考えられるそうですが、まだ詳細はわかっていません。
ジュノー、またしても大活躍
木星探査機ジュノーは2016年以降ずっと木星の軌道を回りながら木星の磁場やオーロラを観測し続けており、ハッブル宇宙望遠鏡より詳細なデータを地球に送り続けてきています。今回はジュノーに搭載されている紫外分光器のおかげで、未だかつて観測されたことのない新しいオーロラの発見に至りました。
おそらく地球上では絶対に見られない珍しいオーロラの姿。同じような現象でも、その星の環境によって現れ方が違ってくるのは非常に興味深いことです。
Image: JAXA宇宙科学研究所
Reference: Journal of Geophysical Research: Space Physics, Southwest Research Institute
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2021-04-10 13:00:00Z
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