2024年もAppleの年次開発者会議「WWDC」が開催され、さまざまな発表が行われました。その中でも異彩を放っていたのが、iPadOS 18への計算機アプリの追加です。「iPadの新機能は計算機!」とやゆされましたが、それだけインパクトがあるものでした。
iPadを使っていない人からすると、そもそもiPadに計算機アプリがなかったということに驚くかもしれません。もちろん、Apple純正の計算機アプリがなかっただけで、App Storeからインストールは可能です。
iPhone向けには純正の計算機アプリが存在しており、それをそのままiPadに持ってくればいいだけではと思うのですが、Appleはそれを良しとはしなかったようです。公式に理由が明かされているわけではありませんが、2016年には元Appleの従業員を名乗る人物が、Redditにその理由がスティーブ・ジョブズにあったという投稿をしています。
それによると、iPadには当初、iPhoneの計算機アプリを移植したものを搭載予定だったとのこと。とはいえ、そのアプリは単にiPadの画面サイズに合わせて引き伸ばしただけのものだったようです。
しかし、ジョブズは、iPadのリリース1カ月前(初代iPadのリリースは2010年5月)に、当時のiOS担当上級副社長でiPadのソフトウェア開発をえん引したスコット・フォーストールをオフィスに呼び出し、その計算機のデザインを却下。スコットは計算機を残すために食い下がったものの、ジョブズはこれを受け入れず、新しいデザインを作る時間もなかったためにiPadから計算機を削除して出荷したというもの。その後も計算機アプリの優先順位は低いままだったとしています。
ジョブズが計算機アプリを却下したのはこれが初めてではなく、初代Macintoshの開発中にも搭載する電卓のデザインについて批判を繰り返し、最終的には自分でUIをデザインしたというエピソードをCult of Macが紹介しています。iPadでのエピソードが本当かどうかは分かりませんが、ジョブズならありえそうとも思えてしまう話です。
そんな紆余(うよ)曲折があり、実に14年を経てiPadに搭載される計算機アプリですが、満を持しただけのことはあり、かなりの高性能となっています。
通常の電卓と関数電卓の切り替えに対応する他、単位換算機能や履歴機能も搭載。その他の大きな特徴としては、単純な電卓の他に手書きもできる計算メモを備えており、手書きの数式を認識し自動で計算を行えます。また、方程式を書いたり入力したりすると、1回タップするだけでグラフを作成してくれるという機能もあります。
手書きの数式を認識して計算してくれるというアプリは、Android向けやPC向けにもいくつかリリースされており、それ自体に目新しさはありません。ただ、筆者が知る限りではありますが、全てのアプリは手書きを文字認識し、テキストに置き換えた上で計算するというスタイルです。これに対してiPadの計算メモでは、手書きのまま計算を行い、その答えもユーザーの手書き文字を利用して表示します。また、変数を使って代入するといったことも可能です。
手書き文字の再現には、やはり新機能となる「スマートスクリプト」を利用します。これを利用すると、タイプ入力されたテキストを手書き文字としてペーストすることもできるとのことです。
計算結果に手書きを使う必要はあるのか、若干の疑問は残りますが、画面上の見た目の統一感は生まれるでしょう。そんなiPadの計算機アプリは、今秋リリース予定のiPadOS 18で利用可能になります。たかが計算機ではありますが、Appleらしいこだわりが詰まったアプリになりそうです。
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2024-06-17 21:00:00Z
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