Kamis, 06 Juni 2024

30年前の観測データから金星に新たな溶岩流が見つかる - GIZMODO JAPAN

金星にはいくつもの火山が点在しており、広範囲で活発に活動するものも存在する可能性があるといいます。今回、研究によって金星に新たな溶岩流が発見されました。

その発見は、30年前にNASAのマゼラン探査機によって撮影された金星地表のレーダー画像から見つかりました。1990年代に撮影された画像から金星の火山活動が明らかになったということです。

なぜ30年前のデータを使ったのか

今回の研究は、イタリアのダンヌンツィオ大学の大学院生であるDavide Sulcanese氏が筆頭執筆者としてNature Astronomyに論文が掲載されています。

さて、今回の研究に関わるNASAのマゼラン探査機は1990年に金星軌道上に到達しました。その後1990年から1992年の間で地形の観測を行ないました。マゼランは金星の地表全体を観測した初めての探査機となりました。マゼラン以来、金星探査を目的としたNASAの計画は現在までありません

そうした事情から30年前のマゼランによるデータを調査したSulcanese氏は、米Gizmodoの取材に対して「これらは非常に古いデータではありますが、新たな技術を使えば、新しい発見にも役立つのです」と語っています。また、自身が32歳であることから、研究に使用したレーダー画像と同じ年齢であると冗談めかして語りました。

研究によってわかったこと

研究チームは、火山活動の証拠を見つけるため、1990年1992年に観測されたそれぞれのレーダー画像を精査しました。それにより、火山のひとつであるシフ山の西側斜面と、大規模な火山地域であるニオベ平原西部の2つの地域で地表の変化を発見したとのこと。

論文によれば、1990年と1992年の2年間の画像比較によって見られる変化は、金星地表の新たな溶岩流によって起こった可能性が高いといいます。

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Image: Nature Astronomy

さて、2023年3月には別のチームが金星の活発な火山活動についての研究を発表しました。この研究によると、1年足らずの間に金星の火山噴火口が形状を変え、規模が拡大していることを発見したのです。今回の新たな発見はこれを裏付け、さらに金星の火山活動がかなり広範囲に及んでいることも示唆しています。

先の研究によって金星の火山活動の兆候が見え、さらに今回の研究によって火山活動の規模もより明らかになったといえます。Sulcanese氏は

私たちの研究結果によって、火山活動の流量を推定することができ、金星の火山活動は予想よりもはるかに活発で、活動レベルは地球と同等か、それに近いものとわかりました。

と語りました。

金星の研究で得られること

活火山を研究することで、科学者は惑星の内部が地殻をどのように形成し、長期の居住可能性にどのような影響を与えるかを理解することができます。金星と地球は大きや質量がほぼ同じであり、組成も似ています。故に、金星は「地球の双子星」とも呼ばれることもあります。

Sulcanese氏は最後に以下のように述べています。

金星を研究することで、地球についてもより深く理解することができます。

金星は火山の世界なので、少なくとも私たちにとっては非常に過酷な環境です。そうなってほしくはありませんが、地球にも同じようなことが起こるかもしれません。

さて、長い準備期間経て、NASAは金星に新たな探査機を送り込むこととなります。

2031年以降に打ち上げが予定されているVERITASは、金星の地表と核を調査します。地球とほぼ同じ大きさの岩石惑星が地球とは全く異なる道を辿ってどのように進化したかを解明するために打ち上げられるそうです。

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2024-06-06 12:00:00Z
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