2024年はIntel最新CPUのCore Ultraを搭載したモバイルノートが続々と登場。AI処理特化型プロセッサの「NPU」を内蔵し、最先端の“AI PC”として大きな注目を集めている。
その中でも 軽さ・薄さ・スペックのすべてに妥協したくない人にピッタリなのがASUSの13.3型モバイルノート「Zenbook S 13 OLED UX5304MA」(型番: UX5304MA-I7321W)だ。 20万円台前半で上位のCore Ultraを搭載しながら、ジャスト1kg、最薄部1.09cmを実現。高解像かつ有機ELのディスプレイを採用し、長時間のバッテリ駆動も可能とスキのないモバイルノートに仕上がっている。
使い勝手のチェックに加え、前世代のノートPCとCPU、AI、ゲームと多角的に性能を比較していこう。
軽い・薄い・長時間バッテリ駆動と文句なしのモバイル性能
頻繁に持ち歩くことが前提のモバイルノートでは、持ち運びが苦にならない“軽さ”、カバンに入れやすい“薄さ”、長時間の移動や外出でも安心の“バッテリ駆動時間”が重要視される。
「Zenbook S 13 OLED UX5304MA」は、約1kgの軽さに加え、296.2×216.3mm×10.9~11.8mmとコンパクトで薄型のボディを実現。さらに気温、湿度、振動、衝撃など米国軍用規格のMIL-STD-810Hに準拠した12方法26手順の厳しいテストをクリアしたタフな作りになっており、安心して持ち運べる。それでゴツさを感じさせたいスマートなデザインにまとめているのも見どころだ。
バッテリ駆動時間はJEITA測定法2.0で約19時間、JEITA測定法3.0の動画再生で約9.9時間、アイドル時で15.3時間となっている。では、実作業ではどうなのか?
Microsoft OfficeのWord、Excel、PowerPointを実行して実際の作業に近い処理を行なうProcyon Battery Life Benchmarkを試した。
結果はバッテリ残量が100%から4%で11時間57分を記録。これなら1日仕事や学業で持ち歩いても余裕だろう。外出先や移動で使う人にとっては心強いポイントになるはずだ。
ディスプレイは、携帯性と見やすさのバランスに最も優れていると言われる13.3型で、解像度は3K(2,880×1,800ドット)と高い。それに加え、一般的な液晶が苦手とする“完全な黒”を再現できるOLED(有機EL)を採用しているのが特長だ。
本機なら100万:1の強烈なコントラスト比、ハイレベルな色の表現を求めるデジタルシネマ向けのDCI-P3規格の色域を100%カバー。さらに輝度も最大600cd平方/mとノートPCとしては非常に高く、驚くほど鮮やかな色合いだ。より高い明暗の表現を可能にするHDRにも対応しており、対応コンテンツであれば、さらにメリハリの効いた映像を楽しめる。
色域の設定としてデフォルトのほか、「sRGB」「DCI-P3」「Display P3」が用意されており、クリエイティブな作業に対応できるのもポイントだ。
CPU・GPU・NPUのどれもがパワフルな「Core Ultra 7 155U」
CPUにはIntel最新世代の「Core Ultra 7 155U」を採用。Core Ultraシリーズは従来のCoreシリーズから大きく変化しており、それを象徴するのがAI向けプロセッサの「NPU」をIntelとして初めて搭載したこと。これによって対応アプリでは、高速かつ省電力でAI処理を実行できるようになった。
さらにCore Ultraでは、従来からのパフォーマンス重視のPコア、効率重視のEコアに加え、省電力のLP Eコアが搭載された。負荷の低い処理はLP Eコアが担当し、それ以上の性能が必要になった際にPコア、Eコアを呼び出すことで省電力性をさら向上。これが長時間のバッテリ駆動につながっている。
Core Ultra 7 155Uは、薄型ノートPC向けの「U」シリーズの1つ。Pコア2基、Eコア8機、LP Eコア2基で合計12コア14スレッドで構成されている。Uシリーズは省電力重視だが、Pコアは最大4.8GHzと高く、クロックを求めるアプリでもコア数を求めるアプリにも対応できると言ってよいだろう。
CPUに内蔵されているGPUは「Intel Graphics」。Core Ultraの上位モデルには、高性能なIntel Arcが採用されているが、こちらもベースは同じだ。グラフィック用のXeコアは4基で、前世代のIris Xeより性能は向上し、さらにAV1のエンコードにも対応と機能面も強化されている。
NPUを活用するにはアプリ側の対応が必須だ。目立つものを挙げると、Webカメラの背景ぼかし/自動フレーミング/視線をカメラ方向に補正するアイコンタクトを使える「Windows Studio Effects」や、画像編集アプリ「GIMP」のAIによる画像生成を可能にする「OpenVINO Stable Diffusion Plugin」などが対応している。今後さらに増えていく見込みだ。
メモリは増設できないものの、標準でLPDDR5X-7467が32GBと大容量だ。クリエイティブ系の作業にも使いたいという人にはうれしいところだろう。ストレージはPCI Express 4.0接続のNVMe SSDを採用しており、容量は1TBとこちらも大きめの容量が確保されている。購入後、当面ストレージ容量に困ることはないはずだ。
【表】Zenbook S 13 OLED UX5304MA(型番 : UX5304MA-I7321W) | |
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CPU | Core Ultra 7 155U(12コア14スレッド) |
メモリ | LPDDR5X-7467 32GB |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
GPU | Intel Graphics |
ディスプレイ | 13.3型液晶(2,880×1,800ドット) |
OS | Windows 11 Home |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.2 Gen2、HDMI、207万画素Webカメラ(顔認証対応)、ステレオスピーカー、音声入出力端子 |
ネットワーク機能 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
本体サイズ | 296.2×216.3×10.9~11.8mm |
重量 | 1.0kg |
Core i7からCore Ultra 7になって性能はどれくらい変わったか?
では、実際に前世代からどこまで性能が向上しているのか、CPU/NPU/GPUそれぞれをチェックしてみよう。
比較対象として、1世代前の「Zenbook S 13 OLED UX5304VA」(型番: UX5304VA-NQI7WS)を用意した。CPUにCore i7-1355U(Pコア2基、Eコア8基の10コア12スレッド)、GPUにCPU内蔵のIntel Iris Xeを搭載するモデルだ。前世代のCPUなので、NPUは搭載されていない。
CPU性能
まずはCPUパワーから見ていこう。Cinebench 2024を実行した。
Core i7-1355Uよりもコア数が多いこともあり、マルチコアのスコアは約39%もアップ。ただ、最大クロックはCore i7-1355U(5GHz)の方が高いこともあって、シングルコアのスコアはわずかに負けてしまった。
AI性能
AI処理を見てみよう。Procyon AI Computer Visionを試した。これは、さまざまなAI推論エンジンを実行して総合的なAI性能を見るもの。IntelのCPU、GPU、NPUでそれぞれ実行できるOpenVINOで実行した。
注目はCore Ultra 7 155UのNPUだろう。CPUに対しては約4.9倍ものスコアを出し、GPUに対しても約1.13倍上回った。
驚くべきは消費電力だ。このベンチマーク中のシステム全体の消費電力は、CPUが49.8W、GPUが41.6W、NPUが24.2Wと一番スコアの高かったNPUが圧倒的に省電力なのが分かる。
NPUはAIを高速かつ省電力に処理できる存在なのがよく分かる結果だ。前世代のCore i7-1355Uに対して、CPU、GPUともAI処理性能は向上しているが、NPUがいかに効果的なのか分かるところだ。
グラフィックス性能
ではGPU性能はどうだろうか。定番3Dベンチマークの3DMarkと軽めのFPSとしてレインボーシックス シージのベンチマーク機能を実行する。
3DMarkのDirectX 12をベースにしたTime Spyの総合スコアは、約1.46倍も向上。Intel Graphicsは前世代から大きく性能強化されているのが分かる。
それは以下のレインボーシックス シージの結果も同じだ。最高画質設定で平均63fpsを出しており、快適なプレイの目安と言える60fps超えと、軽めのゲームなら十分遊べるパワーを持つ。
この薄型ノートPCで、息抜きにゲームも楽しめてしまうのは大きな魅力と言ってよい。
高画質WebカメラとノイズキャンセリングでWeb会議も快適
ディスプレイ上部にあるWebカメラは207万画素と高画質だ。Windows Studio Effectsの機能と相まって相手に見やすい映像を作りやすく、マイクに関しては周囲のノイズを除去しつつ複数人の声を拾いやすい「360°録音モード」や前面からの声だけを捉える「指向性録音モード」など環境に合わせて複数のモードを用意している。
スピーカーも声以外のサウンドを除去するAIノイズキャンセリング機能を備えるなど、快適にビデオ会議を行なえるのも大きな強みだ。
インターフェイスは左側面にHDMI出力、Thunderbolt 4(USB Type-C)×2を搭載。Thunderbolt 4は最大40Gbpsの高速なデータ転送速度、充電、映像出力に対応する。それが2基あるのは非常に便利だ。
右側面にはUSB 3.2 Gen2とヘッドセット端子を備える。充電はThunderbolt 4経由となり、65WのUSB PD対応充電器が付属。別のUSB PD充電器でも充電可能なので、自宅用と会社用など複数の場所で使う場合にも対応しやすい。筆者の手持ちの65W出力対応のType-C充電器でも問題なく充電できるのを確認した。
このほか、Copilotキーを備えたキーボードも特徴的。本体は薄型ボディではあるが、しっかりとした打鍵感を実現しており、不満点はなかった。
仕事も遊びも充実できる1台。保証サービスの充実にも注目
Zenbook S 13 OLED UX5304MAは1kgの薄型軽量ボディで10時間以上の実用的なバッテリ駆動時間を実現しており、高性能モバイルノートとして高い完成度を持つ。
Core Ultra 7 155Uは、仕事、AI、ゲームに活躍できるパワーがあり、OLEDのディスプレイによってクリエイティブな作業やHDRコンテンツの視聴も快適に行なえる。仕事にも遊びにもよい相棒になってくれる1台だ。
さらに、製品購入後30日以内にMyASUSに登録することで「ASUSのあんしん保証」に加入できるのもポイント。故障原因を一切不問で、自己負担2割で修理対応を受けられる。有効期限は1年で利用回数は1回だ。モバイルノートは持ち歩くことが多いので、非常に心強い保証サービスと言える。
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2024-06-20 21:30:00Z
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