ソニーのZV-E10がYouTuberやVloggerに人気だ。同機は同じく動画撮影向けに発売され、好評を博した「VLOGCAMTM ZV-1」シリーズに属するモデルで、同社APS-Cミラーレスαシリーズと同じくAPS-Cセンサーを搭載し、しかも多彩なレンズ交換に対応。それでいてAF性能も最新機種に近似する内容でまとめあげられているのに、比較的低廉な価格で手にできる点も幅広いユーザーを獲得している所以だろう。動画向けとしての評価が先行している同機だが、今回は静止画でのスナップ撮影目線から、その特徴を探ってみた。
作例
夕暮れが近づくにつれて広がった雲の合間から一瞬光が差し込み海面をスポットライトのように照らしたので慌てて望遠ズームに交換してシャッターを切った。こういったシーンでは開放でも十分に捉えることができる。
35mm判換算で24mm相当となる16mmで撮影。周辺光量落ちも少なくコンパクトなキットレンズとは思えない高解像なレンズだ。
港町の倉庫の向こうに浮かんだユニークな雲たちが気持ち良さそうに泳いでいる。フルサイズに換算すると75mm相当の中望遠となる。若干ブルー系が強めだが、この場面には似合っている。
ジオパークともなっている糸魚川市の親不知海水浴場から投げ岩を見る。中間にある石に望遠側でフォーカス。それほど明るいレンズではないがボケからの立体感は充分にくっきりしている。
流木と砂地、ハイライトと陰のディティールもそれぞれ克明な描写だ。
この中にヒスイが混ざっている可能性があるらしいが、小一時間探したけど探し当てることはできなかったがキラキラ光る綺麗な石を撮っているだけでも楽しい。
晴れた日。海に向かって小石を投げたり写真を撮ったり、青春ドラマしていた女性。
海の見える駅のホームから標準ズームのワイド側で真逆光で挑んだが、F8での撮影では比較的少ないフレアで描写できた。
壁面に映る西日を受けた自分の影。コンパクトなキットレンズは、撮影する目的ではなくても目に入った場面などをあれこれ考えずにパッと撮れるというのが一番だと思う。
田舎町の住宅地にある古いお寺。お庭をお借りしていろいろ撮影していたら足元に何やら触れた感触が。見てみたら猫がボクの足に体を擦り付けていたので、カメラを向けたが近すぎて撮れなかった。去っていく後ろ姿を望遠で狙うと振り返ってくれた。こうしたシーンでも反応の良いAFのおかげでしっかりと写し止めていくことができる。
メインストリートから外れた裏道を進んでいると思いもかけない変わったモノに出会うことが多い。ロボットのようなオブジェが笑いを誘い、旅の疲れを癒してくれた。
FE 40mm F2.5 Gにレンズをつけ替えた。35mm判換算で60mm相当となるレンズでMFでは撮影倍率0.23倍までの接写が可能と、準マクロ的な運用ができる1本だ。極端なクローズアップは必要ないが植物やテーブルフォトでなるべく寄った撮影がしたいという場合には単焦点の高画質でありながら重量も173gとコンパクトなレンズなのでカバンに入れて持ち歩くには重宝する。重量バランス的にもZV-E10との相性が良い。
穏やかな瀬戸内海を見ながら育った筆者にとっては低く垂れ込める日本海独特の雲は大好物。上空から海面近くまでの変化していくグラデーションの美しさに惹かれてしまう。
こちらも同じく低く垂れ込めた雲だが夕焼けが少し見えてきたタイミング、線路際の架線を盛り上げてくれる役目になった。暗部が潰れないギリギリのトーンに収まった。
望遠側の焦点距離50mmで漁師小屋の開いているドア越しに向こう側の風景を撮る。暗い屋内から明るい屋外まで輝度差がある場面だが、どちらも幅広いラチチュードでカバー。
E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSの35mmで撮影。35mm判換算で50mm相当となる画角で、薄型のレンズとあいまってスナップでの扱いやすさを感じた。描写自体も自然かつ克明な描写で素直な再現性が得られる。小型・軽量な本機との組み合わせは実に魅力的だ。
まとめ
動画専用のカメラや、ミラーレス一眼と呼ばれる通常のスチールカメラで映像を撮影する機会はこれまでも時々あったのだが、本機のように“最初から”「動画撮影(配信)」と「写真撮影(スチール)」のハイブリッドを目的として開発されたカメラのレポートは初めてであった。
操作系もシャッターボタンと同軸に電子ズーム対応レンズのためのズームレバーが備えつけられているなど、そのコンセプト通り動画撮影を意識したインターフェース設計となっている。そうしたカメラ自体の操作まわりも手伝ってか、通常の撮影と異なる取り扱い方となる分、カメラの技術的な操作を離れて何を撮るか、どう切り撮るか、といったことだけを考えるという時間が楽しかった(笑)。自然に手に馴染む操作系も魅力だが、あえて手が慣れていないカメラを使うと、余計なことを考えなくなるのかもしれない。
そんなこんなでシャッターボタンと動画のスタートボタンを勘違いするなど操作面での戸惑いが多少はあったものの、気づきの多い撮影でもあった。こうした普及クラスのカメラで高速・高精度なAFをいかした動画撮影ができるという本機の立ち位置を見ていくと、いよいよ動画時代の到来を感じずにはいられない。ボクは静止画専門だと思っているが、これからはもう少し動画撮影を真面目にやってみたいと思えた。やってみると意外と面白いものだ。
そうした意味では、ZV-E10はボクのような静止画ユーザーにも動画を撮ってみようと思わせるだけのカメラであったということでもある。静止画メインでの使用感をチェックしてきたわけだが、実は動画も結構撮影していたのだ。
裏を返せば動画をメインに本機から入ってきたユーザーが静止画の面白さにも気付く可能性があるわけだ。そんな双方のユーザーに対して広く間口を開いているという意味でも本機の立ち位置はユニークだ。そしてこのような機種をラインアップに加えているソニーは、やはり流石という他ない。ボク自身はα7R IVユーザーでもあるわけだが、レンズシステムを共用できる点も本機の魅力だと感じた。
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2022-11-27 22:00:00Z
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