「友達にオンラインゲームで遊んでいる人がいてね」
「うんうん」
「その人が言うには、とても面白いらしいんだけど、理由を説明してもらったら、わけのわからない単語を連発されて、さっぱり意味がわかんなかったのよ」
「あー、あるある、そういうの」
「やっぱり、オンラインゲームって難しそうよねぇ……」
なんていう会話をしたことがある、あるいは聞いたことがあるそこの貴方! まあまあ、ちょっとお待ちなさい。きっとそのオンラインゲームを遊んでいる友達は、本当にオンラインゲームが大好きで、何とかそれを友人にわかってもらいたい、何なら一緒に遊びたいと、必死なだけなのだ。
はっきり言えば、最近のオンラインゲームは、まったく難しくなどない。まず、そう断言してしまおう。
なぜそう言い切れるのか、例を挙げてみるので、ぜひ、ご自身の胸に手を当てて(実際に当てる必要はない。比喩である)お読みいただきたい。
例えば、貴方が大のサッカーファンだとする。しかし、友達はサッカーを嫌いではないものの、特に強く興味を持っているわけではない。その場合どうするか。おそらくだが、サッカーの持つ魅力を、熱く語って聞かせる、という方法を取るのではないだろうか。もちろん、スタジアムへ強引に引っ張っていく、という手もないわけではないが、それではあまりに一発勝負すぎる。雨でも降ったらズブ濡れになり、サッカーが嫌いになってしまう可能性すらある。
しかも、ここで大きく問題となるのは、そもそも友達がサッカーのルール自体を詳しくないことだったりする。サッカーの魅力を伝えようにも、ルールがわからないと、意味がわからないだろうな、と貴方は考える。たいていの場合、ここに落とし穴がある。まずはルールを教えようとしてしまうのだ。
ところが、いざサッカーのルールを初心者に伝えようとすると、それがとても難しいことに気づく。
「サッカーってね、足でボールを蹴って、相手のゴールにボールを入れたらそれで1点になる。90分試合をして、相手よりも多く得点を稼いだ方が勝ち。ね、簡単でしょ?」
「どうして足で蹴るの? 手に持って運んだ方が簡単じゃないの?」
「……えーと、手で掴(つか)んだら簡単だからこそ、足でのみボールを運(はこ)ぶのさ」
「足なのにボールを運ぶの?」
「あ、いや、運ぶというのは、ゴールまで持っていくことで……」
「え? やっぱり持つんじゃない。持つってことは、手を使うのよね?」
「えーと……ボールを手で掴んじゃうのは反則で、手を使えるのはキーパーっていう人だけで」
「……ごめん、わけわかんない」
もちろん、この会話は極端な例である。しかし、たった一つ言葉を間違え、サッカー用語を使ってしまうと、相手はそれだけで混乱に陥る。オフサイドなんていうルールを教えようものなら、いきなり破綻(はたん)するだろう。面白いとか、面白くないとか以前の問題で、もう聞くのを諦めてしまう。教えてくれようとしている人が興奮していると、教わっている側は、逆にどんどん醒(さ)めていきがちだ。ワールドカップで大いに盛り上がったラグビーでも同じことが言える。
ラグビーなどさらに難しく、
「ラグビーはね、楕円形のボールを持って、相手の陣地の端にあるゴールエリアに、ボールを置けばいいんだ。それで得点。これをトライする、って言うんだ。トライくらいは、聞いたことあるよね?」
「うんうん、トライはわかる。きっと足の速い人がたくさんいたら勝てるよね!」
「いやいや、ラグビーは、そう簡単にトライできるわけじゃないんだよ。相手にタックルできるんだ。簡単に言えば体当たり。相手を掴まえて、地面に倒してボールを運ばせないようにするんだ」
「え、体当たりしたら反則じゃないの?」
「ラグビーはね、格闘技みたいなものなんだよ。もちろん、首から上へのタックルは危険だから反則だ」
「ふーん、でも、それならタックルされる前に、他の足の速い人にボールを渡せばいいんじゃない?」
「そう、そうやってパスをする。でもね、ラグビーが最高に面白いのは、パスは自分よりも前には出せないんだ」
「え? どうして?」
「だって、それじゃ簡単すぎて面白くないもの」
「簡単じゃダメなのか……」
「ダメなんだ」
「……(ナニ言ってんだコイツ)」
これもまた極端な例だが、もしかすると最近の日本でよく聞いた会話かもしれない。
……なんだか余談が過ぎた。話を戻すと、要するにこれらの例のように、「ルールから教えようとする人」というのが非常に多く、それによって誤解が生じる、と言いたいのだ。何事も、そんなに簡単なものは存在しない。
社会にだって数多くのルールがあり、僕たちは子供のころから、そのルールを少しずつ覚えていくから、複雑に感じていないだけだ。各種スポーツ競技や趣味の魅力を伝えようとしたとき、ルールから教えるのは悪手である。“ルールを教えようとすると、そのルールの意味を教えなければならなくなる”からだ。
「オンラインゲームは難しい」という印象や思い込みは、こうやって形成されている。かつてインターネットがまだ一般的ではなかった頃は、そもそもインターネットが難しかったのは確かだ。やれ回線が太い/細い、ルーターがどうのこうの、ISPはどこが良い、ISDN…ADSL…LAN…とまあ、用語だけでパンクしてしまう。しかし、今やそんなものは意識しなくたって、みな、空気と同じようにインターネットを使っている。メカニズムを知らなくたってテレビは映るし、インターネットはつながるのである。
だから、難しいのはオンラインゲームではない。インターネットのルールが難しかったのだ。「オンラインゲーム」の「オンライン」の部分が難しい、と感じる原因だ。
近頃の日本では、特に意識しなくても家にインターネットが敷設されている。回線が無くたって無線Wi-Fiが飛び交っている。だから、最近の家庭用ゲーム機は、その普及台数の80%以上がインターネットにつながっている。意識しようがしまいが、繋がっていることが多い。
オンラインゲームは、インターネットを通じて、世界中の人と一緒に遊ぶゲームである。インターネットに通じている、ということ以外は、他のゲームとまったく変わらない。なぜなら、どのゲームにもそれぞれに独自のルールがあり、オンライン/オフラインにかかわらず、それは共通だからだ。インターネットが難しいものではなくなった(という当たり前すぎて、意識もしていないだろう)今、オンラインゲームだけが難しいということはない。これが最初に断言した最大の理由である。
ここで貴方は、「じゃあ、お前はサッカーの魅力を友達に伝えるとき、どうするんだよ」と、するどいツッコミをされるかもしれない。僕の答えは、「スタジアムで、友達と一緒にサッカーを見る」である。
「語るに落ちたな?! さっき、スタジアムに行って雨降ったらダメになるって書いたじゃん!」と、熟読されていた貴方は素晴らしい。熱狂や面白さを伝えるのなら、確かにスタジアムが一番だが、リスクはそれなりに高い。そう、確かにサッカーではそうなのだが……。
ここで本題に戻ろう。僕が貴方にオススメしたいのは、サッカーではない。サッカーは好きだけれど、これはオンラインゲームについてのコラムである。しかも、「オンラインゲームは難しいらしい」と感じている貴方への説得である。そんな貴方に、ぜひご紹介したいものがある。
実は、『ファイナルファンタジーXIVフリートライアル』というものが存在する。フリートライアル、つまり無料である。オンラインゲームではあるが、先ほど書いたように、オンラインは難しくない、ということが証明されたので、あとは”ゲームが面白いかどうか”の実地検証だけが残ったと言える。サッカーを一緒にやってみよう、と言うのはハードルが高すぎるが、ゲームならばそんなことはない。遊んでみて面白くなければ、やめてしまえばよいのだ。繰り返し言うが、無料なので気楽に試せるところがまた素晴らしい。
さらに言えば、屋外で遊ぶものではないから、雨が降っても問題はないのである。
<<理由その3.『パッケージソフトを買った以外にお金がかかるのは嫌だなあ』
>>理由その5.『主義的にオンラインゲームはプレイしないと決めている!』
<コラムの冒頭に戻る>
PROFILE
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiLWh0dHBzOi8vd3d3LmFzYWhpLmNvbS9hbmRfTS8yMDE5MTEyMC83Mzg3NTUwL9IBAA?oc=5
2019-11-20 09:01:21Z
52782040457682
Tidak ada komentar:
Posting Komentar