Sabtu, 09 Mei 2020

「DOOM Eternal」は前作の長所を無理に広げようとして、“破壊”してしまっている:ゲームレヴュー|WIRED.jp - WIRED.jp

このほど発売されたゲーム「DOOM Eternal」は、2016年のリブート版「DOOM」の続編だ。非常にシンプルで満足感もすぐに得られる作品の続編とあれば面白くなるはずだが、実際はそうなっていない。何とか前作よりレヴェルを上げようとする努力は見てとれるが、16年版のよいところを“破壊”してしまっている──。『WIRED』US版による辛口レヴュー。

WIRED(US)

Doom Eternal

今作で地獄のデーモンたちに包囲されるのは、火星ではなく人類の文明全体だ。IMAGE BY BETHESDA USA

流れるデーモンの血、残虐行為、そしてスピード──。2016年のリブート版「DOOM」は、シリーズ第1作を完璧なかたちで現代に復活させたゲームだった。スピード感が強調されており、よく練られた戦闘で思い切って戦えばライフは回復して弾薬の保有数も増え、どんどん盛り上がれる。

その興奮の戦いを進めていくのは、どこかで見たことのあるようなベタなルックスの主人公だ。どデカい銃を持った大男で、デーモンを憎んでおり、そのはらわたをどんどん切り裂いていく。そんな非常にシンプルで満足感もすぐに得られる「DOOM」の続編となれば、当然のことながら面白くなるはずだった。

その続編が、この「DOOM Eternal」だ。何とか前作よりレヴェルを上げようとしている努力は、すぐに見てとれる。今回、地獄からの軍勢に包囲されるのは火星ではなく、人類の文明全体だ。戦闘に出てくる敵の種類も武器の種類も、要素も増えている。

ストーリーもずいぶん大仰になっており、さながらヘヴィメタな短編映画が15時間にわたって続く感じだ。やたらと大がかりだが、ごちゃごちゃしており、残念ながら前作のよさにはとうてい及んでいない。

わかりにくくて当惑するストーリー

今年3月末にPC、PlayStation 4、Xbox One、Google Stadia向けにリリースされた「DOOM Eternal」は、最初からこちらの感覚を混乱させてくる。プレイヤーはショットガンを片ときも手から離さない伝説のデーモンハンター「ドゥームスレイヤー」として、化物だらけで荒廃した地球の上空にある要塞で強力な敵「ヘルプリースト」を追う。

ヘルプリーストは3人おり、この3人を倒さなければ地球は完全なる破滅に追い込まれることになる。だが、ここですでに本作の根底にある問題点がうっすら見えてくる。ヘルプリースト? 誰? 何? いきなりの衝撃だ。すでに半分進んでいたストーリーに、どうやって入ってきたのかはっきりわからないまま突入させられた感じである。

前作のストーリーに興味をもっていて、今作にそのつながりを見出そうとしている人たちは、いくつかのチャプターが飛ばされたように感じるだろう。しかも、ここから先も、プロットは特によくならない。次元が突然あちこちに飛んでいき、ストーリーの鍵となる情報は仰々しい伝承のかたちで伝えられることが多い。わかりにくくて当惑してしまう。

16年版のよいところを“破壊”

DOOMシリーズにおいて、ストーリーはこれまでも特に重要な要素ではなかった。ただ、16年のリブートがうまくいったのは、実はストーリーの力もあった。

確かに前作のストーリーも、特によく出来ていたり、独創性が高かったりするわけではない。興味深い特徴があったわけでもなかった。エネルギー企業が地獄で資源を採掘しているという設定は、うまいとも言えるし、気候変動が問題となっているいまとなっては、それほどうまくないとも言えるだろう。ただ、語り口は非常によかった。

静かなる怒りの化身であるドゥームスレイヤーは、悪徳エネルギー企業によって地獄に送り込まれ、デーモンたちと戦うことを余儀なくされる。だが、それは単にデーモンと戦って楽しいというだけでなく、「自分以外の誰かの無能さや欲深さから起こった侵略」に立ち向かうことでもあった。

そしてそのことが、施設の物を平気で壊したり、施設の責任者を無視したりといった、ドゥームスレイヤーのさりげない行動にうまく表現されている。さらには、こんな事態を引き起こした張本人である企業からのメッセージも、無味乾燥なものから、死を礼讃する狂気を帯びた妄言へと徐々に変化していく。

そこが16年版「DOOM」の面白いところだった。単にスリリングなアクションゲームというだけでなく、欲深く無責任な企業のせいで地獄へと落ちて行く様子がうまく描かれていて、笑えるところすらあった。そう、上司への怒りをぶつけるにはぴったりのゲームだったのだ。一方、今回の「DOOM Eternal」は、16年版のよいところを破壊して、ちょっとした付け足しをしたものになっている。

前作の優れていたポイント

今作のストーリーでは、前作ではアクセント程度であまり重要な要素としては機能していなかった、地獄とデーモンに関するややこしい伝説が中心になっている。16年版は、身近に感じられるわかりやすいストーリーをうまく伝えていたのに、「DOOM Eternal」は、より大がかりで複雑なストーリーをうまく伝えられていない。

しかもその過程で、血しぶきをまき散らしてデーモンを殺すのがこんなに楽しいとは、と思わせてくれた前作の魅力を台なしにしてしまった。そうしたストーリーのつまらなさが、主人公としてどこに行くのか、そしてなぜそこに行くのかという理由もつまらなくしてしまっている。ベースがある程度は面白くないと、細かいところも面白くなくなってしまうのだ。

つまりはこういうことである。一見すると派手に見えた16年版「DOOM」だが、実は、抑制が効いていたからこそ優れたゲームになっていた。抑制の効いたストーリーがゲームに個性を与えていたし、要素を絞り込んで戦闘に集中させた抑制されたシステムが、スピード感のある熱狂的なアクションを実現させていた。

さらにゲームプレイは、じゃんけんの3すくみのようなかたちでバランスのとれたものになっていた。デーモンがプレイヤーを殺そうとすると、プレイヤーはさまざまな武器を使ってデーモンを撃つ。デーモンは弱ってくると光るので、そうなると近づいていって「グローリーキル」でとどめを刺せば、ライフを手に入れられる。弾薬が足りなくなった場合は、チェーンソーを使って敵を倒せば手に入る。

そんなふうに、起こりうる問題にはすべてシンプルな解決策が用意されていた。自分が弱っていたら、グローリーキルを仕掛ける。弾薬が足りなければ、チェーンソーを使う、それ以外の場合はとにかく戦い続ける。そして、クリアするまでそれを繰り返せばいい。

ジェットコースターに続けて乗ったような感覚

こうした戦闘システムの素晴らしさは、幸いなことに「DOOM Eternal」でも、ストーリーや世界観ほどは損なわれてはいない。要素は増えていて、どう考えても多すぎる。ただ、前作のシステムの基本的なところは受け継いでいるので、何とか楽しめるものになっている。

まずは、切り札として使える非常に強力な武器がいくつかあり、強い敵との戦いでピンチに陥った時に使えばひと息つけるようになっている。アクションに関しては、典型的なシューティングゲームというよりは、懐かしの「斑鳩」や、とりあえず動き続けて多くの敵の攻撃をかわすことがいちばんの目的である古い2Dアーケードゲームのリズムを思わせるところがある。

強力な武器には、古いアーケードゲームにおけるパワーアップアイテムと同じような効果があり、場面をクリアして、より長く生き延びられる。だが大事なのは、動き続け、敵の攻撃をかわし続けて、できるだけ多くのデーモンを倒すことだ。そういう意味では、追加のライフが獲得できるなど、アーケードゲームのようなわかりやすい要素も取り入れられており、ますますデーモンを殺しやすくなっていると言えるだろう。

ヴァイオレンスのカタルシスにはすさまじいものがあり、今作でもデーモンを殺す楽しさは変わらない。ただ、前作のような優れた設計になっていないので、いろんなジェットコースターに続けて乗ったような感じで、全部ごっちゃになってスリルがぼやけてしまっている。

「DOOM」は、派手でスピーディーなアクションに焦点を当てた、気の利いたゲームだった。だが「DOOM Eternal」は、「DOOM」のよかったところを無理やり広げようとしていて、それが引きちぎられそうになっている。

※『WIRED』によるゲームのレヴュー記事はこちら

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2020-05-09 10:00:00Z
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