これまでの形成パターンに収まらない火山島、最新研究で解明
火山は同じものが二つとして存在しないが、そのでき方は、みな似たり寄ったりだ。ただ一つ、現在のバミューダ島を形作った古い火山だけは、どのように形成されたかが謎に包まれていた。
ギャラリー:ハワイ島の地形を変えるキラウエア火山、写真14点
島の地下深くから掘り出した岩石を科学者たちが調べた結果、この静かな火山は、少なくとも今のところ、他に類を見ないメカニズムで形成されたことがわかった。5月15日に学術誌「Nature」に掲載された論文は、北大西洋に浮かぶこの美しい島についての長年の謎を解くだけでなく、火山形成のまったく新しいしくみを説明している。
謎を解くために研究チームが調査したのは、長さ800メートルの柱状の岩塊だ。バミューダで採取された唯一のコアサンプル(ボーリング調査で掘り出された円柱状のサンプル)であり、1972年に飛行場のそばで掘り出されたあとは、カナダ、ノバスコシア州のダルハウジー大学で埃をかぶっていた。チームは、何か珍しいものが含まれているはずと予想はしていたが、徹底的な分析を経て得られた結果はそれ以上に驚くべきものだった。
「海底の溶岩については50年以上にわたって数々の分析がなされていますが、今回バミューダで見つかったような痕跡は、かつて発見されたことがありません」と話すのは、論文の共著者である米国コーネル大学の地球化学者、エステバン・ガゼル氏だ。「新しい発見は、ラッキーな偶然によってなされることもあるのです」
今回、火山形成の新しいモデルが提唱されたことで、他にもバミューダと似たタイプの火山が大西洋で見つかるかもしれない。そう話すのは、論文の筆頭著者でドイツのミュンスター大学の地球化学者、サラ・マッザ氏だ。「私たちがまだ見つけていないだけです」
プルームでもプレート境界でもない
火山ができる場所としてこれまでに知られているのは、主に次の三つ。ひとつは、マントルから継続的にマグマが上昇するマントル・プルームと呼ばれるところ。ふたつめは、プレートが誕生し互いに離れていく海嶺。もうひとつは、プレート同士がぶつかり沈み込んでいく境界あたりだ。こうした場所では、地殻にマグマ溜まりができる可能性があり、そこからマグマが上昇すると火山の噴火につながる。
バミューダ島の形成は従来、マントル・プルームによって説明されてきた。これはハワイ諸島のでき方と同じだ。つまり、一定の場所にあるプルームが次々と海底を盛り上げ、噴火させ、それらがプレートに乗って移動するうちに冷えて固まり、数々の火山島ができた、というしくみだ。
これまでの調査によれば、たしかにバミューダ島の下には、熱をもって上昇している構造があるらしい。だが、それがハワイと似たようなマントル・プルームである可能性は高くない。バミューダはハワイのように島が連なっているわけではないし、もしプルームがあるとすれば、バミューダのずっと南東で火山活動が見られるはずなのだが、そうした様子もない。
そこで、今回のコアサンプルの出番だ。これには、バミューダの地下深くで起きたことが記録されている。たとえば、2種類のウランがそれぞれ崩壊してできる鉛が珍しい割合で見つかった。これは、元になったマントル中の物質が「地質学的に若い(6.5億年前~)」ものでないと説明がつかない。ところが、バミューダの下にあるマントル自体は、非常に古いはずなのだ。
だが、大西洋は特殊な場所だ。数億年前に超大陸パンゲアが分裂したゆえにできた海だと、マッザ氏は言う。この超大陸が形成する際に沈み込んだプレートが、地質学的に若い物質の由来であるかもしれないと、研究チームは考えた。
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https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190521-00010001-nknatiogeo-sctch
2019-05-21 08:40:00Z
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