MacBook Proの13インチモデルがMacBook Proの16インチモデル、MacBook Airに続いてMagic Keyboardを搭載した。これでアップルのノートPCは、全てシザース構造を採用するMagic Keyboardへと換装が終わったことになる。
ただ、今回の発表ではややわかりにくい部分もある。実機での評価はこれからだが、まずは情報を整理し、少しマニアックに注目点を掘り下げておきたい。
"二つの異なる製品"が混在
今回の特徴は購入しやすい価格帯のThunderBolt 3を2ポート搭載するモデルと、上位モデルとなるThundeBolt 3を4ポート搭載しているモデルでは、搭載するマザーボードが全く異なることだ。同じように「MacBook Pro 13インチモデル」だが、2ポートモデルは前世代モデルのマザーボードをのままに、キーボードだけをMagic Keyboardに換装したもの。性能はおそらく全く同じだろう。一方、上位モデルは最新のIce Lakeアーキテクチャで、あらゆる面でパフォーマンス向上を果たしている。詳細は後述するが、発表時点ではインテルの製品データベースに存在していないモデルナンバーのプロセッサで、アップル向けの特別な仕様だと考えられる。こちらはIce Lakeを採用することでメモリ帯域が広がり、さらにメモリの消費電力が(LPDD R4Xの採用で)下がったことで標準16Gバイトと2倍に増量。さらにオプションで32Gバイトまで増やせることになった。SSDの最大容量が4Tバイトになったのも、16インチモデルと同様に従来の2倍だ。
後者は正当な後継モデルで、前者はキーボードをリフレッシュしたお買い得モデルで、価格帯的にはMacBook Airとも競合する。ただしディスプレイはMacBook Proの方が色域が広く輝度も高い。さらにシングルコアのCPU性能は同等だが、マルチコアになるとMacBook Proの方が早くなる。1番の違いは重量とGPU性能。GeekBench 5のスコアで言えば、40%もMacBook Airが高速だ。
すなわち、少しでも軽量な方がいい、ゴールドモデルが欲しい、GPU性能を重視したいといった場合ならMacBook Air、CPU性能を重視して冷却性能が高くディスプレイの品質が高い方がいいならMacBook Proの低価格モデル、といった選び方になるだろうか。
上位モデルは未発表のプロセッサを採用
Magic Keyboardは0.7ミリの厚み増加と僅かな重量増(本モデルの場合30グラム)をもたらすが、そのタッチの良さ(及びおそらく故障が少ないだろうことも含め)とのトレードオフならば、ほとんどのユーザーがこの変更を歓迎するだろう。13インチのMacBook Proに搭載される可能性のある第10世代Intel CoreのモバイルプロセッサにはComet Lake-UとIce Lake-U、二つの可能性があったが、選ばれたのはIce Lake-Uだった。機械学習向け命令セットへの対応、WiFi6への対応といったトピックがIce Lakeにはあるが、残念ながらMacBook Airと同じくWiFi6には未対応のままだ。
しかし、これまで13インチのMacBook Proが採用してきたCoffee Lakeとの比較では、圧倒的にGPU性能が強化される。アップルの主張によれば最大80%高速になるとのことだが、そこは実機での評価としたい。ここで注目したいのは、数あるIce Lakeの中でも初出であると思われる点だ。
今回、新型MacBook Proの13インチモデルに採用されたプロセッサは執筆時点ではインテルの製品データベースには掲載されていない。MacBook Airの際にも同様だったため、間もなく掲載はされるだろうが、標準モデルが使うCore i5に最も近いモデル1035G7は、25ワットの設定で使ってもベース動作周波数は1.5GHz。MacBook Proの2GHzという数字には遠く及ばない。
CTOで注文できるもっとも高速なオプションであるCore i7モデルになると、ベースクロック周波数が2.3GHzと、こちらも現時点でデータベースに記載がない。しかし、こちらはすでにスペックが明らかになっていたCore i7-1068G7と同じものと推察され、Core i7-1068NG7というモデルナンバーもリークしている。
Core i5モデルは、あるいは1038G7というモデルナンバーではないだろうか。
新モデルナンバーのCPUを採用した意味
2019年のComputexで発表されたIce Lake-Uは、4つのSunnycoveコアを統合したSoCだ。どのモデルもHyper-Threadingをサポートしているので、最大8スレッドが同時に動作することになる。インテルの主張ではSunnycoveコアは、全世代よりも18%高いIPC (Instruction per Clock、クロック周波数あたりの命令処理能力) を達成しているため、Coffee Lakeよりも数字上の動作周波数は低いものの、実際の処理能力に大きな違いがあるわけではない。これまでにインテルのデータベースに掲載されていたIce Lakeは、最大でもTDPで25ワットまでの動作バリエーションしかなかったのは前述した通りだ。
しかし、i7-1068G7は28ワットTDPが定格のIce Lake-Uチップと言われている。Core i5モデルに関しても、同様のTDPで調整された高性能版ということだろう。Ice Lakeは発熱が抑えられず、高性能化がなかなかできなかった。このためGPU性能は低くメモリコントローラなどの世代も古いが、CPUの性能はより多く引き出せ、最大6コアのバリエーションもあるComet Lakeに外部GPUを搭載する選択肢と、CPU性能は少し我慢してIce Lakeを採用するかの選択になっていた。
アップル以外に、このモデルナンバーのパソコンが出てきていないのは、外部GPU搭載の方が良いと判断するメーカーが多かったからだと推測する。
ただ、これにはアップルなりの長期的な戦略があるのかもしれない。
というのも、インテルはIce LakeのあとにCPUもGPUも、中でもGPUが大幅に強化されるとされるTiger Lakeが控えている。これまでの例で言えば、このローンチにインテルが再び苦労してバトンタッチが遅れる可能性も否定できないが、今、安易に外部GPU採用へと向かうよりも、内蔵GPUベースでの設計を選ぶ方が賢いと考えたのかもしれない。
中途半端に省電力な外部GPUを搭載するよりも、本当に必要ならばThunderBolt 3で接続するeGPUで処理性能を追加。Mac本体側は可搬性をなどを重視すればいいという考え方もあるからだ。
さて、そのアップルの判断は正しいのか。まずは実機での性能評価をお待ちいただきたい。
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2020-05-05 04:16:24Z
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