Senin, 10 Agustus 2020

火星は大昔から極寒だったかも、という新たな研究 - ギズモード・ジャパン

寒さに強いエイリアンがいたかどうか、そこはまだ。

地球外生命体はいるのか? いるとしたら火星にいるんじゃないか? そんな期待から、人類は火星に探査機を送り込んでは生命の痕跡を探してきました。その期待の根拠のひとつが、「火星の環境は、今でこそ寒いし乾燥してるしそのままじゃとても住めないけど、大昔にはもっと温かくて水も豊富な時代があった」というです。でもある研究チームは、火星の地形を数分析したうえで、火星は何十億年も前から寒く乾燥していたんだと主張しています。

火星表面にはかなりの起伏があり、中でも谷が連なっている部分は水が流れた痕跡として「バレー・ネットワーク」と呼ばれています。このバレー・ネットワークの画像を大量に分析した研究者たちが、その地形ができたのは必ずしも水の流れのせいではなく、むしろ多くは氷河の作用によるものだと言ってるんです。ただし他の専門家は、この説を手放しで受け入れてはいません。

「谷=川の痕跡」とは限らない

Nature Geoscienceに発表された新たな論文は、火星の南半球にある谷の独特の地形を作ったのは、流れる川ではなかったと言っています。研究チームでは、火星のバレー・ネットワークの多くを作ったのは、巨大氷河の下に溶けた水が流れる「氷河下侵食(subglacial erosion)」と呼ばれる現象だったと考えています。このことから彼らは、太古の火星は温かく湿った星ではなく、当時から冷たく凍った星だったのだと言っています。

「我々の研究は、広く考えられている『火星のバレー・ネットワークは降雨でできた川が作った』という考えに反しています」この論文の共著者でウェスタン大学の惑星地質学者、Gordon Osinski氏はプレスリリースで言っています。「谷が降雨で形成されたことを示す例も少数は発見しましたが、我々の観察からは、多くの谷が氷床の下で形成されたことが示唆されています。」

興味深いことに、こうした結果は、気候モデルとも合致するようです。古代の火星の気候シミュレーションでは、38億年前の火星は冷たく、氷に覆われていたという結果が出ていました。

66カ所の衛星写真をもとに形成過程を判定

この研究では、Osinski氏はアリゾナ州立大学のAnna Grau Galofre氏、ブリティッシュコロンビア大学のMark Jellinek氏とともに火星にあるバレー・ネットワークのうち66カ所、谷の数では1万276カ所の衛星写真を、独自開発のソフトウェアを使って精査しました。そのソフトウェアは地形の特徴を特定の侵食プロセスとマッチングでき、たとえばある地形を作ったのが氷河の作用なのか、または氷河下か、河川か、地下水によるものかといったことを判定してくれます。

「地球を衛星から見ると、谷がたくさん見えます。川が作ったもの、氷河が作ったもの、それ以外のプロセスでできたものなどがありますが、それぞれに特徴的な形をしています」Grau Galafre氏はプレスリリースで説明しています。「火星も同様に、谷はそれぞれ違う形をしていて、その形成にはさまざまな過程があったことがうかがえます」。

火星の谷は、地球上の氷河下で形成された地形とも比較されました。カナダ北極圏にあるデボン島は「地球上でもっとも火星に似ている」とOsinski氏は言います。なぜならデボン島は「冷たく乾燥した北極の砂漠で、その氷河はおおむね寒冷氷河(訳注:氷河内部がつねに氷点下にある)である」ためです。

研究チームは、精査した66のバレー・ネットワークのうち22カ所を氷河下侵食によるものと判定しました。ほかは、14カ所が河川によるもの、9カ所が氷河によるもの、3カ所が地下水、18カ所が未判定です。この発見はJellinek氏いわく、「古代火星の氷床下で、融解水の水路による大規模な氷河下侵食があったことを初めて示した証拠」です。彼はまた「地表の水による侵食の典型的なパターンと合致するのはバレー・ネットワークのほんの一部のみであり、それは従来の通念とは対照的だ」としています。

専門家からは突っ込みも

コロラド大学の地質学教授でNASAのMars Atmosphere and Volatile Evolution(MAVEN)ミッションの責任者であるBruce Jakosky氏は、この分析を「興味深い」と評価しつつ「決定的ではない」とも言っています。

「彼らのデータに基づくと、個々のバレー・ネットワークの特徴の違いは滑らかなグラデーションになっているように見えます」とJakosky氏。「地形の違いは滑らかなグラデーションなのに、それを限られた数の侵食プロセスに分類するのでは、確信が持てないままになりそうです」。

なのでJakosky氏は、この研究が発表した個々の数値についてはあまり信頼できないと言います。彼はまた、論文では火星上にバレー・ネットワークが「数百」あると言っているにもかかわらず、精査したのは66カ所のみと少ないことにも疑問を呈しています。

「地下水による侵食が少ないのは例外ですが、それ以外の侵食プロセスはランダムに割り振ったのと同じように見えます」とJakosky氏。「つまり、氷床下の侵食はたしかに一番多いのですが、それが大きなプロセスだったという結論を正当化するほど圧倒的に多くはありません。彼らは氷床下と河川が多いと言っていますが、どちらかというと全プロセス同じくらいだったように見えるのです」。

Jakosky氏はこう続けます。「彼らの結論は『彼らが精査した全プロセスが何らかの役割を果たしていて、それらすべてをサポートするような気候・環境を検討する必要がある』とすべきでした」。

いっぽうバージニア工科大学の地質学者、Scott King氏は、この研究は納得できると言い、その通りであった可能性も高いとしています。

「問題は、これが火星であり、我々は火星について強いイメージを持っていて、それが観察に影響することがあるんです」King氏はメールに書いています。「この研究は我々を立ち止まらせ、バレー・ネットワークがすべて河川によるものだと考えたのはなぜかと自問させるものです。火星ではなぜ、河川による侵食と氷河作用による侵食の両方が起きていなかったと言えるのか、と。気候モデルは、火星が寒冷で氷に覆われていたことを示しているので、この研究チームは非常にロジカルな疑問を問いかけたのです。『我々が見ているのは、どんなバレー・ネットワークだろう?』と」。

研究と夢は続く

たしかに新たなデータは、古代火星に由来する他の地質学的発見と突き合わされるべきです。発見とはたとえば、かつての湖や川の三角州(たとえば火星探査機Perseveranceの目的地のジェゼロ・クレーター)、粘土構造(キュリオシティが発見しました)、または古代火星で起きた巨大津波の痕跡、といったものです。

古代火星にはたしかに水があったようですが、今回の新たな論文は、だからって谷を作ったのがすべて水だとは限らないよね、と問題提起しました。この研究には突っ込みどころもありますが、惑星研究の流れに一石を投じつつあるんじゃないでしょうか。それに、仮に火星が何十億年も極寒のままだったとしても、イコール生物が存在しえない、とも限りません。もしかしたら極寒でしか生きられない氷の精みたいな生き物がいるのかも…など、火星への夢は続きます。

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2020-08-10 11:00:00Z
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