コロナ禍でオンライン会議の方向性が模索されている。テレワークや在宅勤務のためには欠かせない環境だと認識されつつあるようだ。そんななかで、各組織と接続して個人も使える統合コラボレーション環境としてのTeamsの可能性を探ってみた。
誰でも無償で使えるコラボツール
Teamsは、Microsoftによる「つながり」をかなえる統合アプリケーションだ。
各社のオンライン会議ツールが、参加者間のリアルタイム会議や、不特定多数の参加者に対するウェビナープレゼンテーション(オンラインセミナー)などのツールであるのに対して、Teamsは同社の各種サービスを統合し、複数のメンバーが共同で何らかの目的を達成するためのハブとしてさまざまな機能がまとめられている。
仕事で、家庭で、学校でと、Teamsが使われる現場はさまざまだが、いろいろな使い方ができるように工夫されている。家庭なら、遠隔地に住む実家を包含した家族間の連絡掲示板として、学校ならリモート授業やテレ家庭訪問などに活用できる。
個人的に、フリーランスライターとして、基本的に在宅勤務をベースとして、何十年も仕事を続けてきた。ただ、一人っきりですべてをまかなうわけではなく、仕事には相手が存在する。この原稿も、書き上がったら編集者に届けるために、原稿送付専用の編集部の共有メールアドレスに宛てて送信すると、編集者が受け取り、それを編集してWebサイトに掲載して公開する。
取材が必要な場合もあるし、原稿を書きはじめる前に、方向性をディスカッションすることもある。場合によっては取材先との前もっての打ち合わせが求められることもある。何1つとして一人では成立しないのが仕事だ。
こうした作業におけるコミュニケーションの多くはメールですませてきたのだが、なんとか、この流れのなかでTeamsのような環境を使えないかと考えていた。
Teamsは、その出自が企業向けのものなので、家庭や学校で使うには、それなりの使いこなしが必要だ。また、仕事にしても、フリーランスや自営業などでも使い方は異なってくるはずだ。
現在、Teamsは一部の機能を制限したバージョンが無償で提供されている。申し込むと、無制限のチャットと検索、オンライン会議とビデオ会議、チーム用と個人用のファイルストレージ、Officeアプリでのリアルタイムコラボレーションの機能が使える。
一人でも組織
Teamsの基本単位は組織だ。いわゆる組織ドメインは自分が属する組織であり、一般的には会社ということになる。つまり、メールアドレスで言うところの「@」の右側が組織だ。
会社のITはシステム部門がまとめてめんどうを見ているため、ドメイン単位でのTeams利用は各方面との調整が必要だ。エンドユーザーとしての組織内の個人が、自分だけで組織の一員としてTeamsによる共同作業をスタートさせるというのは難しい。
その一方で、Teamsは個人用のMicrosoftアカウントを使っての利用もできる。その場合、組織を構成する当初のメンバーは一個人になり、いわば一人Teamsの環境からスタートする。
実際にやってみるとわかるが、個人用のMicrosoftアカウントとして、GmailやYahoo!メールなどの不特定多数のユーザーが使うメールサービスのアドレスでTeamsを新規登録しようとすると、ちょっとおかしなことになるようだ。
また、組織から貸与されたメールアドレスで登録しようとすると、最初に登録した人物がその管理者となってしまうなど不都合なことが起こったりもする。
無難なのはやはり、明確に個人用のメールアドレスであるマイクロソフトアカウントを使うことであり、新規に取得する場合は、Outlook.comなどの同社メールサービスを使うのが無難だ。
組織とチームとチャンネルと
組織であれ個人であれ、Teamsではその下にデフォルトのチームが用意される。そして、組織内メンバーは自由に追加でチームを作ることができる。組織を構成するメンバーが自分一人であっても同様にチームを作れる。
一人での作業にも、散在しがちなちょっとした覚書などに使って便利なのだが、コミュニケーションにはならないので、なんらかの作業を特定の相手とはじめるにあたっては、チームを新たに作り、そこに参加者を招待する。
チームを作ると、「一般」というチャンネルが用意されるが、チャンネルはチーム内での作業を細分化するために必要に応じてどんどん追加することができる。
チーム内のチャンネルはいわば掲示板だ。いわゆる参加者同士のグループチャットのためのもので、チャンネルは用途別のスレッドのようなものと考えればいい。
そのスレッドにおいて、メッセージを交換したり、ファイルをやりとりしたりすることでコミュニケーションを成立させていくわけだ。
チームに新たなメンバーを招待する方法として、Teamsでは別の組織との通信に際して、「外部」と「ゲスト」という2種類のアクセス方法が用意されている。「外部」は一部の機能が制限されるが「ゲスト」はほぼ完全に機能を利用することができる。
招待してチームに参加してもらうためにはメールアドレスを使う。つまり、自分がチームを作ってメンバーを追加招待していくか、ほかの人が作ったチームに招待してもらって参加するかのどちらか、あるいはその混在環境でTeamsを使っていくことになる。
混在環境では、Teamsアプリのウィンドウ上部にある自分のアイコンの左側の「∨」印を使って別の組織に接続を切り替えることができる。
こうした方法以外に、Teamsを使っているユーザー間では、チャンネル内でのチャットコミュニケーションとは別に、任意の相手とのチャットの機能が提供され、外部を含めたTeamsユーザーとコミュニケーションができる。こちらは別の組織に切り替えるといった手続きなくチャットができる。まさに誰にでもメールを出せるのと同じように、誰とでもメールアドレスさえわかっていればチャットができるのだ。
組織に専用のチャンネルを作るのか、複数メンバーを招待したグループチャットを作るかは、個別の判断となるが、切り替えの煩雑さを考えるとグループチャットで十分なような気もする。同じメンバーでの別テーマでの話題が、同じグループチャット内で混在してくるようになった時点で新たなチームを作るようにすればいいかもしれない。
外部とつながる会議
現状で、こうしたコミュニケーションを個人的にはFacebookメッセンジャーに頼っている。たとえば、出張でどこかに行ったときには、同行するメンバーを登録したスレッドを作り、そこであれこれ連絡をする。そろそろメシに行こうとか、イベントならブリーフィング会場の混み具合はどうかとか、そんなコミュニケーションが進行する。
日常的にも、頻繁に連絡を取る複数の同業者間での情報交換のためにスレッドがあって、いろいろと耳寄りの話を教えてもらったりもしている。メッセンジャーを開くと、こうした複数のスレッドがズラズラと出てくる。過去のやりとりについても平気で2年以上前まで遡れるのも重宝している。
ユーザーによってはLINEグループを使っているという場合も少なくないだろう。TwitterやInstagramのダイレクトメッセージがいいという考えもあるかもしれない。
が、チャットだけではなく、オンライン会議やファイルを共有しての作業などに発展していく場合には、やはりそれらが統合されているほうが便利だ。
Teamsで困るのは、組織によって、その外部接続を許可していないケースがそれなりにあることだ。一人Teamsの組織では、外部組織とのやりとりをしようとしたときに、相手にそれを拒まれるというのは致命的だ。一般的なメールと同様に、メールアドレスだけであらゆる形態でのコミュニケーションができるようになっていてほしい。
セキュリティや情報流出といった懸念もあるので、管理者にとっては負担も増えるかもしれないが、これから変わる世のなかでは、やはり外部組織とのコミュニケーションを新しい当たり前として想定する必要があるのではないだろうか。
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2020-08-21 21:55:00Z
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