エミュレーター「Dolphin」の開発チームは5月27日、同エミュレーターのSteamでの配信を無期限延期すると発表した。任天堂が配信差し止めを求めたことが理由とのこと。
「Dolphin」は、ニンテンドー ゲームキューブとWii向けの対応ゲームを、PCなどで動作させるエミュレーターだ。ゲームキューブ対応のフリーウェアとして2003年から提供が開始され、その後Wiiへの対応やオープンソース化が実施。現在もコミュニティによって開発が続けられている、長い歴史をもつエミュレーターである。
同エミュレーターについては今年3月、Steamにてストアページが突如公開されたことが発見され一部で話題に。それから間もなくして、開発チームからSteamでのリリースについて正式に発表。今年第2四半期に早期アクセス配信を開始し、2023年末には正式リリースする計画が明らかにされた。「Dolphin」はすでにSteam以外で配信中であるが、早期アクセス配信期間中にはSteam Deckへの最適化などをおこなうとされており、Steam Deckユーザーが利用しやすい環境を用意することが、Steamを通じたリリースの目的のようだ。
しかし、Steamを運営するValveは5月27日、「Dolphin」のストアページを削除した。同エミュレーターの開発チームは公式サイトにて、任天堂がSteam上の「Dolphin」について、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき配信差し止めを求めたためであると説明。そして、問題が解決されるまでSteamでのリリースを無期限延期にするとした。
なお、今回任天堂はDMCAに基づく正式な差し止め手続きをおこなったと一部で報じられているが、「Dolphin」の元開発メンバーPierre Bourdon氏はこれを否定。同氏が知るところによると、「Dolphin」のSteamでのリリースについてValveの法務部門が任天堂に伺いを立て、任天堂はDMCAの規定違反にあたるソフトウェアであるとして取り下げを要求。そしてValveがそれに応じたのだと主張している。まだSteamで配信されていない=違法とするコンテンツがSteam上に存在しないため、両社間のやりとりのみで対応された模様である(PC Gamer)。いずれにせよ任天堂は、DMCAを取り下げ要請の根拠にはしていたようだ。
本件について任天堂は、海外メディアKotakuを通じて声明を発表している。同社は、ゲーム開発者・エンジニアの努力と創造性を保護することに努めているとしたうえで、「Dolphin」は任天堂が施した保護対策を違法に迂回し、違法に入手されたゲームを実行させるものであると指摘。そして、違法なエミュレーターやゲームを利用することは、ゲームの開発ひいては技術革新を阻害することに繋がるとした。また、任天堂は他社の知的財産権について尊重しており、他社も同様であることを望むとも述べている。
ゲームのエミュレーターにおいては、対応ゲームのROMを不正に入手しプレイするユーザーが問題視されることが多い。一方で、一般的にエミュレーターの個人使用自体は合法だとされており、今回の一件については、特に海外ゲーマーのあいだでは任天堂の対応に不満の声も聞かれた。
ただ「Dolphin」においては、任天堂が手がけたWii向けゲームデータの共通鍵暗号が、ソースコード内に含まれているとの指摘がある。任天堂が声明で触れた違法な迂回行為というのは、おそらくこの点を指しているのだろう。ゲーム開発者でYouTuberのDimitris Giannakis氏も上の動画内で、ソースコードにて共通鍵暗号の存在を確認。これは大きな問題であるとし、「Dolphin」の開発チームはすぐに解決策を見出す必要があるだろうとした。
つまり、「Dolphin」は任天堂の著作物を無断で使用して開発・配布されている可能性が高いということ。Giannakis氏は、同エミュレーターのSteam以外での配布についても影響が及ぶかもしれないと述べており、今後任天堂がさらなる対応に乗り出すのか注目されそうだ。
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2023-05-29 18:25:06Z
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