しかし,オリジナルをプレイ済みの人は知ってのとおり,そのイメージはFF7やコンピレーション作品を経てクラウドが自身が成長した姿であり,もともとはコミカルなシーンも多いキャラクターだった。リメイクでは,グラフィックスこそイメージどおりのかっこいいクラウドだが,その性格付けはオリジナルベースであるとディレクターの野村哲也氏が語っており(関連記事),どのようなクラウドが描かれるのか楽しみだ。
さて,そんなクラウドだが,実際のところ,もともとどんなキャラクターだったのだろうか。発売前にオリジナル版で確認してみたところ,近年のイメージからすると「クラウドはこんなこと言わない……」(いや,言ってるんだけど)と思ってしまうような言動も見られ,これがなかなか面白い。ちょっと振り返ってみよう。
なお,FINAL FANTASY VII REMAKEはミッドガル脱出(オリジナル版における序盤)までを描く作品だが,本稿ではそれ以降の展開も扱っている。ネタバレはできるだけ控えているが,リメイクで初めてFF7に触れるという人は,その点をご了承いただきたい。
オリジナルのFF7は,個性豊かなキャラクターと複雑なストーリー,そしてスチームパンクな世界を表現したCGにより,大きな衝撃をもたらしたタイトルだ。主人公のクラウドは,星を支配する巨大企業「神羅カンパニー」(以下,神羅)にかつて所属し,エリート兵「ソルジャー・クラス1st」だった……と自称する青年である。
ゲーム開始後のクラウドは,報酬次第であらゆる仕事をこなす「なんでも屋」。腕に銃を仕込んだ巨漢・バレットが率いる武闘派レジスタンス組織「アバランチ」に雇われ,仕事として神羅との戦いに赴くことになる。
序盤の性格はとにかくクールだ。“皆が住む星の命を守るべく,暴虐の限りを尽くす神羅と戦う”というアバランチの大義にも「興味がないな」と理解を示さず,報酬のために戦う姿勢を崩さない。そのためバレットからは繰り返し反感と怒りを買うが,クラウド自身はどこ吹く風だ。幼馴染みであり,アバランチの一員であるティファが取りなそうとするも,どちらも歩み寄ることがない。パーティを組んでいながらも心はバラバラ。彼らが織りなす人間模様は,続きを見たいという気持ちにさせてくれる。
反神羅組織「アバランチ」のリーダー,バレット。片腕を銃にし,神羅との戦いに燃える |
アバランチの一員であるティファ。クラウドの幼馴染みであり,再会してからは常に彼の身を案じる |
そんなクラウドを変えたのは,謎の女性・エアリスとの出会いだ。「星の声」が聞こえるという彼女は,その力ゆえに神羅から追われる存在。デート1回を報酬に護衛として雇われたクラウドは,彼女との触れあいを通し,クールなばかりではない一面を見せていく。
物語の後半ではクラウドにとある転機が訪れる。決してカッコイイばかりではない事実が明かされるのだが,ここで詳しい話はやめておこう。この展開を知ったうえで,序盤の“クールでスマートな,元ソルジャー・クラス1stのクラウドさん”の振る舞いを見返すことで,クラウドへの愛着はより増す。重層的な魅力を持ったキャラクターと言えるだろう。
激しい怒りを露わにするクラウド。クールな“元ソルジャー・クラス1st”の中には,仲間を大切に思う熱い心があった |
普段とは違う,少年のような口調で何かを謝罪するクラウド。やがて明かされる衝撃の事実とは…… |
人気キャラクターとなったクラウドは1997年のオリジナル版発売以降,「キングダムハーツ」シリーズを始めとし,アクションやシミュレーション,対戦格闘やRPG,テーブルゲームにパズルなどさまざまなジャンルのほかのタイトルに登場してきた。2020年にNHKが行った「全ファイナルファンタジー大投票」でも堂々の1位を獲得している。まさに「FF」シリーズの顔の1人だ。
一方で,これまでの間に,我々プレイヤーが抱くパブリックイメージが少しずつ変化しているのは否めない。2020年までの23年間にリメイクが行われなかったこと,転機が訪れるのが物語の後半であること,そして前述したほかのタイトルの出演ではネタバレをするわけにもいかないため,どうしても“クール系ヒーロー”というイメージが強調されることなどがその理由だろう。
しかし,クラウドの魅力はカッコイイところばかりではない。心が揺れ動く青年であり,“格好つけているところが格好悪い”(野村氏)という側面も持つ,味わい深いキャラクターなのだ。
●クールでタフな“元ソルジャー・クラス1st”
というわけで,まずは近年のイメージどおりのクラウドから。一般人なら持ち上げることもできないであろう大剣(バスターソード)を軽々と操り,並みいる神羅兵をなぎ倒す。窮地に陥っても冷静に行動し,任務を成功させる。クールでタフ,味方にすればこれ以上なく頼もしい。“元ソルジャー・クラス1st”の肩書きは伊達ではない。
●「クラウドはこんなこと言わない……」な言動の数々
クラウドのかっこよさをご理解いただいたところで,本題のコミカルな一面に目を向けていこう。時には真顔で「何やってんのこの人?」と思うようなことをしでかすのがまた面白い。
女装姿で敵地に潜入したクラウドだが,迫られて素に戻ってしまう |
好きな男の名を問われ,咄嗟にバレットが選択肢に挙がるのはなぜ |
「いろいろおしえてあげる」と妖艶なオフィスレディから声を掛けられたクラウド。女性に対しての免疫がないのかもしれないが,今のグラフィックスで慌てる様子を見てみたいものだ |
溺れた少女を助けるには人工呼吸をするしかないが,腰が引けてしまう。本当に女性に対しての免疫がないようだ |
●メタ事情にも精通する主人公
国民的RPGの主人公たる者,ゲームの中だけでなくメタ事情にも精通していなければならない。クラウドはディスプレイの外のことにも博識で,ゲーム内でノリノリで知識を披露してくれる。
クラウドにはバトルの際に飛び出すダメージ表記が見えている? 「ピロンと飛び出す数字」とは言い得て妙だ |
状態異常の説明。カエル状態のコメントが「俺はだいきらいだ」なのが笑える。何があったのだろうか |
以上,クラウドのキャラクター性を改めて見てみたが,思っていた以上に変なヤツである。これはこれで,クールなばかりではない魅力的な部分でもあるのだが,こうした彼の性格がリメイクでどのように表現されているのか,ますます気になってしまった。
待望のリメイクの発売は,目前に迫っている。ミッドガル部分を描くということは,序盤の“イケているようでイケていない”時代のクラウドが活躍してくれるかと思うが,ぜひ彼のイケていない部分も楽しみたい。
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2020-04-07 15:00:00Z
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