Senin, 01 Mei 2023

プラごみの分解はカビにおまかせ…でいいの? - GIZMODO JAPAN

あらゆる場所に存在して、自然も都市もお構いなしに汚染しているプラスチックごみ。

今回、オーストラリアの科学者がこの問題の解決につながる方法を発見をしました。

Nature Researchとパートナー機関が出版するオープンアクセスの科学誌『npj Materials Degradation』に掲載されたシドニー大学の研究チームによる論文で、土壌中に見られる一般的な2種類のカビが、研究室環境でプラスチックを分解したことがわかりました。

カビが効率よくプラを分解

研究チームは、Aspergillus terreusアスペルギルス・テレウスとEngyodontium albumエンギオドンチウム・アルブム)というカビが、めったにリサイクルされないプラスチックの一種であるポリプロピレンを分解する能力を検証しました。

まず、ポリプロピレンは紫外線、熱、またはフェントン試薬(過酸化水素と鉄イオンの酸性溶液)で前処理されました。

論文は「前処理を施すことでカビによる分解が促進され、生分解プロセス全体が効率的になる」と述べています。

Plastic before after
カビが分解する前(左)と、分解した後(右)のポリプロピレン
Image: University of Sydney

その後、前処理を施したポリプロピレンとカビを一緒にペトリ皿に入れ培養したところ、ポリプロピレンは30日間で21%90日間で25%~27%分解したそうです。

リサイクルしにくいポリプロピレン

ポリプロピレンは、世界全体でプラごみの4分の1以上を占めています。

2種類のカビによってそのポリプロピレンを分解できたという事実は、研究者たちにとって特に喜ばしい成果でした。

シドニー大学の博士課程の学生で主執筆者を務めたAmira Farzana Samatは声明でこう述べています。

ポリプロピレンは、食品容器やハンガー、ラップなど、さまざまな日常生活用品に使用される一般的なプラスチックですが、リサイクル率はわずか1%しかなく、プラスチックごみとして世界中を汚染しまくっています。

プラごみ多すぎ問題

チームは、この研究が終わってから海洋微生物でも同様の実験を行なったそうです。すると、土壌中のカビよりも海洋微生物の方が効率よく分解したといいます。

これはいいニュースですが、商業利用にスケールアップするにはまだたくさんの課題を解決しなければなりません。

課題のひとつは、分解しなきゃいけないプラごみがあまりにも多すぎること。太平洋には、沿岸の海洋生物が海底でコミュニティーを作っちゃうくらい大量のプラごみが積もっています。

私たちは、毎年800万トンものプラごみを海に捨てています。人間は海という重要な自然資源をごみ箱にしてしまっているんです。

プラ大量生産の責任を問われる企業

バクテリアやカビ、太陽光などの自然の力を借りてプラごみを分解できるようになるのは素晴らしいことだと思います。でも、それって簡単なことでも、現実的な解決策でもないんですよね。

プラ製品を使っている個人もそうですけど、それよりも特に企業にはプラ製品の大量生産をやめて、プラごみが自然環境にたどり着いてしまうのを未然に防ぐ責任があります。

問題解決につながらない、グリーンウォッシュにまみれたリサイクルの公約だけ掲げて、行動に移さない汚染企業の責任を問うべきときが来ているのではないでしょうか。

研究チームの指導教授であるAli Abbas氏はABC Australiaにこう話しています。

個人の行動や社会、企業活動をとりまく問題の解決なくして、プラスチック問題の解決はあり得ません。テクノロジーは、解決策の半分に過ぎないのです。

人間には、いつまでもプラスチックを大量生産してもいいというアイデアを分解してくれる何かが必要なのかもしれません。

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2023-05-01 11:00:00Z
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