ファーウェイ・ジャパンは、Androidを搭載したタブレットを3モデル発表、6月12日より順次販売を開始する。「MatePad Pro」と「MatePad」が編集部から送られて来たので、順に試用レポートをお届けしたい。今回は上位モデルのMatePad Proだ。
Kirin 990/6GB/128GB/約10.8型ディスプレイ搭載のタブレット
6月2日発表があったのは、MatePad Pro、MatePad、「MatePad T8」の3モデル。順に10.8型/Kirin 990/6GB/128GB、10.4型/Kirin 810/3GB/32GB、8型/MediaTek MT8768/2GB/16GB。税別価格は59,800円、29,800円(Wi-Fiモデル)/36,182円(LTEモデル)、13,900円。上位のMatePad Proでも6万円を切っており、全般的に結構安価に設定されているのがわかる。
LTEモデルは中位のMatePad(eSIM)のみで、上位と下位に関してはWi-Fiモデルだけの扱いだ。じつは今年(2020年)、海外では「MatePad Pro 5G」というモデルが発表済みなのだが、今回国内は見送ったかたちとなっている。後日追加なのか気になるところだ。
そしてもっとも重大な仕様として、これら全モデル(同時に発表のあったスマートフォン、P40系も)がGMS(Google Mobile Service)非搭載になってることだろう。つまりPlayストアを筆頭に、Google系アプリ、そしてGMSに依存するアプリが動かないことになる。もともと中国ではPlayストア/GMS非搭載だったので、本国では問題ないものの、さすがにグローバルモデルでこれは痛いところだ。そのあたり実際どうなのかは、後半のソフトウェア編で検証したい。
今回ご紹介するのは上位モデルのMatePad Pro。おもな仕様は以下のとおり。
【表】HUAWEI「MatePad Pro」の仕様 | |
---|---|
SoC | HUAWEI Kirin 990(クアッドコア/2×2.86GHz+2×2.09GHz+4×1.86GHz) |
メモリ | 6GB |
ストレージ | 128GB |
OS | HUAWEI EMUI 10.1.0 / Android 10.1ベース |
ディスプレイ | 約10.8型IPS式(2,560×1,600ドット) |
ネットワーク | 802.11ac対応、Bluetooth 5.1 |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C、NMカードスロット、クアッドスピーカー、マイク×5(上部4+背面1) |
カメラ | 背面 : 約1,300万画素(AF)、前面 : 約800万画素(AF) |
測位方式 | GPS、GLONASS、Beidou、Galileo、QZSS |
センサー | 照度、ホール、ジャイロ、電子コンパス、加速度、色温度 |
生体認証 | 顔認証 |
バッテリ | 約7,250mAh、15W急速ワイヤレス充電、7.5Wワイヤレス給電 |
サイズ/重量 | 約246×159×7.2mm(幅×奥行き×高さ)/約460g |
スタイラスペン(オプション) | M-pencil(税別9,990円) |
カラーバリエーション | ミッドナイトグレー |
税別価格 | 59,800円 |
SoCは同社のKirin 990。現行でのハイエンドだ。クアッドコア(2×2.86GHz+2×2.09GHz+4×1.86GHz)でAI用のNPUを搭載、GPUとしてMali-G76 MC16を内包している。メモリは6GB、ストレージは128GB。OSはAndroid 10.1をベースにしたHUAWEI EMUI 10.1.0。ただし先に書いたとおり、GMS(Google Mobile Service)は非搭載で、独自のHMS(Huawei Mobile Services)の搭載となる。
ディスプレイは、約10.8型IPS式(2,560×1,600ドット/16:10/280PPI)。540cd/平方m、コントラスト1,500:1、DCI-P3対応。フチ4.9mmで画面占有率90%と、かなりの狭額縁だ。
カメラは背面 : 約1,300万画素(AF)、前面 : 約800万画素(AF)。前面はパンチホールとなっている。
ネットワーク機能はIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.1。Wi-Fi 6でないのは今時としては残念なところか。インターフェイスは、 USB 3.1 Type-C、NMカードスロット、クアッドスピーカー、マイク×5(上部4+背面1)。
3.5mmコネクタなく、Type-C/3.5mm変換アダプタが付属する。なお、Type-Cは、Type-C/DisplayPortケーブルを使い、外部ディスプレイに表示可能だ。ただしミラーリングでタブレット側 のアスペクト比が16:10のため、フルHDディスプレイに接続すると、左右がブランクになる。
測位方式は、GPS、GLONASS、Beidou、Galileo、QZSS。センサーは、照度、ホール、ジャイロ、電子コンパス、加速度、色温度に対応。生体認証は顔認証のみ。
サイズは、約246×159×7.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量約460g。カラーは、ミッドナイトグレー。約7,250mAhのバッテリを内蔵し、映像のローカル再生で約12時間、Web閲覧で約11.5時間の長時間駆動が可能。15W急速ワイヤレス充電、7.5Wワイヤレス給電にも対応する。同社によると世界初とのことだ。税別価格は59,800円。内容を考えるとコストパフォーマンスは高い。
またオプション(税別9,990円)で、磁石でアタッチ、自動ペアリング、そのまま充電、4,096段階の筆圧感知……といった特徴を持つ、HUAWEI M-Pencilが用意されている。
筐体の色は濃いグレーという感じのミッドナイトグレー。iPad Pro 11(2018)と比較している写真からもわかるようにフットプリントは長辺はほぼ同じで画面サイズ違い、厚みもほぼ同じだ。Rの雰囲気もよく似ている。重量は実測で466g。片手で軽々持ち上がる。
全面は、画面左上にパンチホール式の前面カメラ。フチ4.9mm、画面占有率90%と狭額縁だ。背面は、右上に背面カメラ。左側のホールはマイク。ただカメラ部分は結構出っ張っているので、机の上にそのまま置くとがたつく。左側面に電源ボタン、上下のスリットにスピーカー。下側面にNMカードスロット。右側面にType-Cと上下のスリットにスピーカー。上側面に音量±ボタンと4つのマイクを配置。
付属品は、ACアダプタ、USB Type-Cケーブル、Type-C/3.5mm変換アダプタ、イジェクトピン。
約10.8型IPS式2,560×1,600ドットのディスプレイは、明るさ、コントラスト、視野角はもちろん良好。そして色域がDCI-P3なので、sRGB相当の他製品と比較して発色も良い。また個人的な意見だが、縦横比16:10は一般的な16:9より少し縦が長くなるので使いやすい。できれば3:2だとさらに良かった感じだ。
カメラはある程度期待していたが、残念ながら前面/背面ともにほかのタブレット同様、おまけ程度のものだった。手元にそれなりのスマートフォンがあれば積極的に利用する必要はないと思われる。
発熱はベンチマークテストなど負荷をかけてもまったく問題なし。もともとスマートフォンで使われているSoCだけあって、タブレットの容量だと放熱も余裕があるのだろう。
サウンドは、4チャンネル4スピーカー、Harman Hardonチューニング、Histen 6.0(独自サラサウンド)と気合が入ったものだ。何より縦位置でも横位置でもステレオというのはポイントが高い(筆者がiPadからiPad Proへ乗り換えた理由の1つ)。音質は、低音こそ、タブレット的だが、パワーも十分。抜けも良くクリアだ。音楽も映像も十分楽しめる。
なお、M-Pencilに関しては後述しているので参考にしてほしい。
GMS(Google Mobile Service)関連がない初期セットアップ
初期セットアップは、Wi-Fiに接続後、HUAWEI IDと端末保護(PIN/顔認証)をスキップして行なった。全部で14画面と割と多めだ。また初期セットアップで必ず登場するGoogle系の画面が一切なく、ある意味衝撃的な内容となっている。
タブレットの保護は顔認証のみ。PINの設定後、登録可能となる。登録自体は丸い枠のなかに顔を入れ、少し待てば完了とありがちなパターンでかつ簡単だ。眼鏡ありで登録したが、有無に関わらず即座に認識した。また、画面キャプチャでは顔認証後、“スライドしてロックを解除”となっているが、“ダイレクトにロック解除”も可能だ。
用途によって是非が大きく分かれそうなソフトウェア環境
AndroidとEMUIのバージョンはそれぞれ10と10.1.0。また起動直後にシステムの更新があったので、更新し評価している。ストレージは128GB中14.18GBが使用中だ(若干の画面キャプチャを含む)。
Dockにビデオ、音楽、メール、ブラウザ、カメラ、ギャラリー。ホーム画面自体は2画面。1画面目におすすめフォルダ、AppGallery、末管理、設定、テーマ、カレンダー。2画面目はメモ帳、ファイル、キッズモード、そしていくつかのフォルダを配置。
上から下へのスワイプで通知パネル。壁紙をピンチインで壁紙/ウィジェット/エフェクト/ホーム画面設定。
なお、ナビゲーションボタンがないため、下から上へのスワイプしつつ止めてタスク切り替え、右から左(もしくは左から右)で戻る/進む。またこのジェスチャーは、少し長めに引っ張るとマルチウィンドウドックが表示される。このあたりはホームボタンのないiPad Pro系に若干似ているだろうか。いずれにしてもすぐ慣れる。
マルチウィンドウドックにあるアイコンをタップするとフローティング画面。長押ししつつ、画面へドラッグすると画面分割になる。
インストール済みのアプリは、おすすめフォルダに「WPS Office」。「AppGallery」、「端末管理」、「設定」、「テーマ」、「カレンダー」、「メモ帳」、「ファイル」、「キッズモード」、「ヒント」。ツールフォルダに「天気」、「電卓」、「音声レコーダー」、「時計」、「連絡先」、「サポート」、「コンパス」、「Phone Clone」。ビジネスフォルダに「乗換案内」、「XMind」。エンターテイメントフォルダに「Pokekara」、「U-NEXT」。ソーシャルフォルダに「DokiDokiLIVE」、「Viber Messenger」。ライフスタイルフォルダに「アイビスペイント」、「メディバンペイント」、「Scene」。ゲームフォルダに「Lords Mobile」、「Rescue Cut」、「モバイルロワイヤル」。スタイラスフォルダに「Nebo for Huawei」、「MyScript Calculator 2」……と、割と多めだ。
なおキッズモードに関しては上位モデルの本機より、中位モデルのMatePadのほうが利用率が高いと思われるので次回にご紹介したい。
ウィジェットは、「カレンダー」、「ギャラリー」、「時計」、「バックアップ」、「ブラウザ」、「メール」、「メモ帳」、「音楽」、「画面ロック」、「高速化」、「天気」、「連絡先」、「WPS Office」。エフェクトは、「デフォルト」、「パースペクティブ」、「スクイーズ」、「ボックス」、「フリップオーバー」、「回転」、「ページ」、「風車」。
独自のAppGalleryは、LINEや乗換案内など、見慣れたアプリもあるにはあるが、Facebook/Messenger、Twitter、Instagramなど一般的なものがない。またGeekBenchもなかったので(ウィッシュリストに追加して同社に知らせる機能がある。おそらく要望の多いアプリは開発元にコンタクトするのだろう)、今回はベンチマークテストにAnTuTuベンチマークを使用している。
とは言え、アプリがなくても、多くはWebサービス。ブラウザを使って普通にアクセスすれば利用可能だ。昔iPadが出始めのときもアプリがなくSafariでアクセスしていたのを思い出す。実際、AppGalleryのたとえばAmazon(Amazon web app)は、入手のボタンを押すとブラウザが起動する。ホーム画面へショートカットのアイコンを配置できるので、一見アプリっぽく使うことも可能だ。YouTubeはもちろん、OneDriveなど、クラウドドライブ系、Office Onlineも同様、GoogleマップもOK。つまりPC的に使えば多くのケースで問題ない。
また画面分割して2つのアプリ同時表示と、フローティング画面で、3つのアプリを同時に動かすことができ、うまく組合せば効果的だ。画面キャプチャでは、2つのサイトと電卓を表示しているが、じつはブラウザは2つ同時に起動できないため、別途Vivaldiをインストールして、2つのWebブラウザで画面分割している。アプリマルチプライヤー(1つのアプリを2つの画面)を使えば、1つのアプリで画面分割可能なのだが、対応アプリが必要なので、こんな手を使った次第だ(標準のブラウザが対応してほしいところ)。
もう1つおもしろいのは、PCモードを搭載していること。同社のスマートフォンでも一部Type-C/DisplayPortケーブルで外部ディスプレイに接続して利用可能だったこのモードが、何も接続せず、通知パネルのボタンをONにするだけで、そのまま利用できる。もちろん、Bluetoothでマウスやキーボードなどを接続して使うのもOK。オプションで英語配列のスマートワイヤレスキーボードも用意されている。
WindowsというよりChromeOSに近い雰囲気だが、このモードだといくつでもアプリを起動可能。またSoCがKirin 990ということもありサクサク動作する(AtomやCeleron搭載タブレットの比ではない)。
さらにHuawei Share マルチスクリーンコラボレーションを使って、同社のスマートフォンをタブレット側の画面で操作が可能だ。手元にあるP20 ProはAndroid 9なので試せなかったが、Android 10を搭載している同社のスマートフォンであれば接続できるので該当機種をお持ちの方はぜひ試していただきたい。
おそらくタブレットが欲しい(使いたい)ユーザーは、スマートフォンを所有、メインで使っており、もっと大きい画面で、でもPCよりは手軽に……というのが、理由の多くを占めるのではないだろうか。そう言った意味ではGMSがなくアプリが使えなくても、ブラウザでアクセスすれば良い範囲のものであれば、サクサク動作し、画面が綺麗、サウンドも良く、ペンが使えるなど、十分本機は役に立つ。つまり、おもな用途がサイトにアクセスすれば使えるサービスなのか、そうでないのかで(ゲームやツール系、電子書籍系、DRMからみなど)、本機の評価を二分することになるだろう。
余談になるが、じつは筆者の所有する「iPad Pro 11(2018)」もほぼSafariだけを使用。アプリはメールとMessanger程度だろうか。この2つはフローティング画面にしているので、アプリのほうが都合いいが、全部SafariでもOK。つまりAppストアがなくてもそれほど困らない(笑)。ChromebookもPlayストアが使えるが、アプリは使わずChromeだけで過ごしている。このような用途であれば、GMSなしでも大丈夫ということだ。
オプションのHUAWEI M-Pencilは、手軽にそして、便利に扱えるよう工夫されている。まず収納場所はタブレットの上側面。磁石で固定でき、本体ごと持ち運べる。これなら行方不明になることも少ないだろう。
加えてこの状態で充電(30秒で10分)やファームウェアのアップデートが可能だ。またはじめて固定したときにペアリングが行なわれ、掲載した画面キャプチャからもわかるように、2回(接続→OK)タップすれば準備完了となる。
書き心地や使い勝手などは、プリインストールのアプリで試したが、(絵心のない筆者が書いても説得力はないが)普通に使うことができた。MyScript Calculator 2は、手書きで式を書くと即座に変換/計算されるので、続きの式を書くのが追いつかないほどだ。
Kirin 990だけあってかなりの性能
ベンチマークテストは簡易式だが、AnTuTuベンチマークとGoogle Octane 2.0の結果を掲載する。AnTuTuベンチマークのスコアは431,023(26位)。Google Octane 2.0のスコアは21,267。順位が26位なのでデバイスとしては最高速ではないとは言え、タブレットとしてはかなり速いグループに属している。Google Octaneも2万越えとCore iプロセッサ並みだ。
バッテリ駆動時間は、明るさ、音量ともに50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ約14時間でバッテリが切れた。仕様上、映像のローカル再生で約12時間なので、Wi-Fi接続で上回っており、明るさ、音量も十分。ワイヤレス給電機能があるだけに、十分なバッテリ容量を搭載していると言えよう。音に関しては50%でもかなりうるさく、いつもの部屋ではなく、洗面所に隔離してテストしたほどだ。
以上のようにファーウェイ「MatePad Pro」は、約10.8型、Kirin 990、メモリ6GB、ストレージ128GBを搭載したタブレットだ。狭額縁で表示が綺麗、パフォーマンス十分、音も良く、軽くてしかも税別で6万円切りとハードウェア的には文句なしなのだが、一般向けとしてはGMS非対応が残念なところ。
おもな用途がWebサービスで、「(裏技も含めて)少しじゃじゃ馬だけど乗りこなしてみようか!」というユーザーに使ってほしい1台だ。
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2020-06-06 02:15:00Z
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