新型Apple Watchは、親のiPhoneとペアリングできる。
出典:アップル
我が家の息子はまもなく4歳になる。
ショッピングセンターや水族館など、人が多いところでは勝手に走り出し、常に目をかけておかなければいけない年頃だ。
あと数年もすれば小学生になり、学校への登校などを考えると「キッズケータイ」を持たせることになるだろう。そして、スマホデビューも時間の問題。一体何歳になったらスマホを持たせていいものか。世間の親御さんたちも相当、お悩みなのではないか。
「ペアリングなし」で使えるApple Watchの登場
Apple Watchの廉価版となるApple Watch SE。
出典:アップル
そんな中、9月15日(米国時間)に開催されたアップルの新製品発表会で、個人的に興味を惹かれるものが発表された。Apple Watchの廉価版「SE」だ。税抜きで2万9800円、セルラー版でも3万4800円となる。
アップルは、Apple Watch SEを紹介する前に「Apple Watch がiPhoneとペアリングしなくても使えるようになる」「Apple Watchは大切な人々のつながりに不可欠です」という説明を行った。
iPhoneを持っていなくてもApple Watchだけを使うべき人として、アップルがアピールしたのが「子ども」と「シニア」だ。
Apple Watch SEでは、「ファミリー共有設定」により、親のiPhoneに子どものApple Watchをペアリングできるようになる。このとき、子どものApple Watchには子ども専用の電話番号とアカウントを割り当てられる。
子どもにセルラー版のApple Watchを装着させていれば、どこに遊びに行っているのかを親のiPhoneで確認できる。親とは別の電話番号を持っているので、電話もできるし、当然、メッセージも送れるというわけだ。
まさに、Apple Watch SEはアップル版「キッズケータイ」ではないだろうか。
出典:アップル
Apple Watchではヘルスケア系の機能にも注力しており、心拍数の測定や、緊急時にSOS発信できる機能、転倒を検出する機能を備えている。
これまた、離れて暮らす父親や母親に装着してもらえば、万が一、転倒してしまったときでも、すぐに気がついて対処することが可能になる。位置情報を捉えており、ちゃんと散歩しているかといったことも把握できるはずだ。もちろん、いざというときに、電話やメッセージを送ることもできる。
ひょっとして、Apple Watch SEはアップル版「らくらくホン」なのだろうか。
Appleの家族展開戦略に世界ニーズはあるか?
出典:アップル
筆者は40代半ばで、子どもの成長に気をかけつつ、年老いていく親の面倒も視野に入っている。
アップルとしては、スマートウォッチ市場でぶっちぎりにトップシェアでありながら、さらなるシェア拡大を狙っての「家族への展開作戦」なのだろう。
家族一人ひとりに3万4800円(セルラー版)のデバイスを装着させるのは、かなり悩ましい。しかし、Apple Watch SEをアップル版「キッズケータイ」「らくらくホン」というコンセプトとして捉えると、結構、世界的なニーズがあるような気がしてならない。
(文・石川 温)
石川温:スマホジャーナリスト。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜22時からの番組「スマホNo.1メディア」に出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(MdN)がある。
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2020-09-16 08:05:00Z
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