Jumat, 15 Mei 2020

太陽系にブラックホールがあるとしたらどうやって見つけたらいい? - ギズモード・ジャパン

科学者の知的なたわむれの、さらにたわむれ。

去年発表されたある論文に、真っ黒に塗りつぶされた直径8センチぐらいの円が示されていました。これぞ等身大のブラックホール、という解説つきで。

もしも太陽系に9番目の惑星があるとしたら、手のひらサイズのブラックホールだっていう可能性も捨て切れないよね?と半ば理論的なたわむれとして提案されたものでした。

しかし、もし本当にそんな極小ブラックホールが太陽系の片隅に存在していたとして、どうやって探し出せばいいのでしょうか?

かのアインシュタインも所属していた名高いプリンストン高等研究所の物理学者、エドワード・ウィッテン氏には名案があるそうです。レーザー推進のミニミニ宇宙船に正確な時計を乗せて宇宙へたくさん飛ばせばいいんです

常識をねじ曲げる提案

太陽系には現在8つの惑星と、無数の準惑星(冥王星を含む)があることが確認されています。

海王星のさらに先、太陽から一番離れた太陽系の外縁に浮かぶ無数の小天体は、ときおり軌道にブレが生じることが観測されてきました。ブレの度合いから計算してみると、地球の5倍から15倍の質量を持つ天体が影響しているとも考えられ、海王星の先にもうひとつの天体が潜んでいるかもしれないと言われています。

そのため、科学者たちはもう長いこと「第9惑星」を探しているのですが、いまだ発見されずじまいです。

これまでの望遠鏡を使った観測では、第9惑星の存在を肯定も否定もできていませんでした。そこに去年の9月、米イリノイ大学助教のジェームズ・アンウィンさんと英ダラム大学の研究員、ジェイコブ・ショルツさんが共同で論文を発表し、第9惑星はひょっとしたら太陽を周回している原始ブラックホールなのかもしれないと議論のちゃぶ台をかる〜くひっくり返しました

おふたりとも第9惑星が実際にブラックホールである可能性は低いことを承知の上でこの挑発的な提案をしたそうで、真の狙いは科学者たちを自由な考え方へと導き、固定観念から解き放つことにあったらしいです(「望遠鏡だけに頼るんじゃなくて、ガンマ線は?」)。

折り紙みたいな宇宙船

そこへプリンストン高等研究所のウィッテンさんが現れ、さらに自由な発想を展開しました。

ウィッテン氏は、太陽系の外縁にブラックホールが存在していることを前提に、効率的に探し出せる方法をarXivにて発表したのです。

ウィッテン氏が考えた案はブレークスルー・スターショット (Breakthrough Starshot)をベースにしています。そもそもブレークスルー・スターショットとは、数千個のレーザーで動く超軽量の宇宙船を太陽系からケンタウルス座α星へ送り込むという、途方もなく野心的な計画。資金はそれなりに集まっているものの、技術の開発はまだこれから何十年もかかると言われています。

ブラックホールを探し出すには、このブレークスルー・スターショットを千個用意して、500天文単位(およそ74,800,000,000km)の距離まで飛ばします。ひとつひとつの宇宙船には時計が搭載されており、時間情報を地球に報告できるようになっています。もし宇宙船の時計にズレが生じた場合は、ブラックホールの強力な重力場が時計を狂わせている可能性が高いので、ブラックホールの場所を間接的に探り出せるのではないか、というわけ。

ではすぐこの宇宙船を作り始めよう!…とはもちろんいきません。ウィッテン氏は、もし通常の望遠鏡で探しても第9惑星が見つからなかったら、次の手段としてこの計画を遂行せよと言っています。でも開発はけっして一筋縄ではいかないでしょう。

「極小の宇宙船にいかに精度が高い時計を搭載するかが最大の難関になると思う」とご本人は書いていますが、ほかにも技術的に難しいポイントはいくらでもありそうです。

でも、NASAがちょうど深宇宙探索のために原子時計を開発中だし、もしかしたらブレークスルー・スターショット号の開発にもブレークスルーがあるかも?

もし望遠鏡だけで第9惑星を探せなかったとしても、バックアップ計画があるのはたいへん心強いものであります。

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2020-05-15 09:00:00Z
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