米航空宇宙局(NASA)は30日、火星探査車「パーシビアランス」をフロリダ州のケープカナベラル空軍基地からアトラス5ロケットで打ち上げた。約1時間後にロケットから分離、火星に向かう軌道に投入した。来年2月に火星に着陸予定。火星はかつて生命が生息できる環境だったと考えられており、土壌を採取して生命の痕跡を探す。小型のヘリコプターも搭載、大気の薄い環境での飛行実験を試みる。

パーシビアランスは「不屈の精神」という意味の名前。大きさは小型車ほどで、6輪で火星の表面を走行。ロボットアームを使って土壌を採取し、容器に詰めて回る。容器は火星表面に置いておき、将来の別の探査計画で回収して地球に持ち帰る計画だ。

小型ヘリコプターは重さ1・8キロで、長さ1・2メートルの翼2枚を太陽電池で回転させる。大気の密度が地球の100分の1の火星でも飛行できるか確認する。高さ5メートルまで浮上し、50メートルほど移動できる見込みという。

将来の有人探査を見据え、大気のほとんどを占める二酸化炭素から生活に必要な酸素を作る実験もする。開発中の宇宙服の素材の小片を持ち込み、耐久性を調べる。

今年は地球と火星の位置が約2年ぶりに接近。少ない燃料で到達する好機のため探査機の打ち上げラッシュとなっている。アラブ首長国連邦(UAE)は日本のH2Aロケットで打ち上げ、中国も自国初となる着陸機が火星に向け航行中だ。(共同)