Minggu, 19 Juli 2020

太陽系にひそむ原始ブラックホールを見つけ出す計画、これならいけるかも! - ギズモード・ジャパン

太陽系の「第9惑星」の謎に迫る。

冥王星が準惑星に降格されて以来、太陽系の惑星は8つしかないことになっています。しかし、一番外側にある海王星のさらに外側に浮かぶ小天体は、まるでなにかに引っ張られるかのように軌道がブレることが観測されており、小天体のさらに外側にもうひとつ惑星があるのでは?と言われてきました。

そのブレの大きさから計算すると、理論上は地球の5倍から10倍の質量を持つ第9惑星が存在しているはず。ところがそんな天体は未だ発見されておらず、机上の空論で終わっていました。

そこに、もしも第9惑星が原始ブラックホールだったら?という異論を唱える人が現れ、そのブラックホールを探し出すためにレーザー推進のミニミニ宇宙船を飛ばしてみたら?という奇論まで現れる始末。

『The Astrophysical Journal Letters』に掲載が決まった最新の研究では、第9惑星がブラックホールだったという前提で、どうやったら探すべきかを真面目に考察しています。

新しい見つけ方

ハーバード大学の天文学者・Avi LoebさんとAmir Sirajさんが提案しているブラックホールの見つけ方。それは、ブラックホールが得意とするところの「物質の飲み込み」を観測することです。

もし太陽系の第9惑星がグレープフルーツぐらいの大きさの原始ブラックホールだったとしたら、可視光のみでは観測できません。けれども、チリで建設中のヴェラ・ルービン天文台を使えば、ブラックホールに飲み込まれている物質を可視光赤外線望遠鏡で捉えることができるのではないか、というのです。

原始ブラックホールとダークマター

原始ブラックホールは通常のブラックホールより極端に小さいと考えられているため、まだ観測されたことはありません。通常のブラックホールが星のなれ果てなら、原始ブラックホールは質量の吹き溜まり。原始の宇宙が膨張している時に、質量の偏りが生じて生まれたと考えられています。

太陽系内にブラックホールが存在していること自体ちょっと不気味に感じるかもしれません。しかし、原始ブラックホールは珍しい存在ではないそうです。それどころか、Loebさんが米Gizmodoに語ってくれたところによれば、原始ブラックホールはダークマターの正体に関わっているかもしれないのだとか…!だとしたら、原始ブラックホールは宇宙の至るところに存在していると考えておかしくありません。もちろん、我らが太陽系にも存在していると考えられるのです。

「もしこれが本当なら、ものすごくエキサイティングなことです。私たちはもう半世紀近くにわたってダークマターを探し続けてきたわけですから」とLoebさん。「もし原始ブラックホールがダークマターの正体だとしたら、天の川銀河だけでも5京個存在していて、太陽1兆個分の質量に相当すると考えられます」。

さらっと言ってますけど、1京は1のあとに0が16個もついている数ッ!

彗星のダイイング・メッセージ

光さえ飲みこみ、グレープフルーツぐらいの大きさしかないブラックホールをこの広い宇宙の中で探し出せる可能性はごくわずか。しかし、ブラックホールの強大な重力がそのまわりの環境に及ぼす力は絶大です。ならば、この力を手がかりに探してみたら、というのがLoebさんとSirajさんの提案です。そして、ブラックホールの餌食になりやすそうな天体として注目したのが彗星です。

太陽系の一番外側にあると言われているオールトの雲からは、頻繁に彗星が誕生しています。この彗星が原始ブラックホールの重力に捕らえられてしまったら最後、逃れることはできません。ブラックホールのまわりを渦巻く熱いガスに溶かされていく過程で「降着フレア(accretion flare)」と呼ばれる独特な放射パターンを放出するはずで、地球からも観測できるはずだそうです。

「もし第9惑星が原始ブラックホールだったら、オールトの雲から飛来する彗星を引きこみ、強い重力で押しつぶすでしょう。そしてバラバラに砕けた彗星のかけらがブラックホールに降着する時、1秒間にも見たない非常に短いフレアが現れるはずです」とLoebさんは米Gizmodoに説明しています。

そしてもし彗星が比較的大きなものだったら、ヴェラ・ルービン天文台の大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(LSST)で観測できるはず。この望遠鏡の口径は8.4メートルもあって非常に広視野なので、ブラックホールの位置が特定できなくても、天球のどこかでフレアを拾える可能性が高いのです。

「もし第9惑星が原始ブラックホールだったら、LSSTが稼働して一年後ぐらいにはフレアが観測されてくるはず」とLoebさんは期待しているそうです。LSSTは現在建設中で、2023年に本格始動する予定です。

ゲームチェンジャーになるかも

ブラックホールの探し方はほかにも提案されています。

今年5月にプリンストン高等研究所のEdward Witten氏が提案したのは、「ブレークスルー・スターショット」と呼ばれるレーザー推進の超小型宇宙船を1,000機用意し、太陽系の外縁まで飛ばすというもの。ひとつひとつの宇宙船には時計が搭載されており、時間情報を地球に報告できるようになっています。もし宇宙船の時計にズレが生じた場合は、ブラックホールの強力な重力場が時計を狂わせている可能性が高いので、ブラックホールの場所を探り出せるのではないか、という奇論なんですが…。明らかにLoebさんとSirajさんの提案のほうが実用性が高そうですね。

最初に第9惑星がブラックホールなんじゃないかと提案したその人、ダラム大学のJakub Scholtzさんも、LoebさんとSirajさんの提案に「ゲームチェンジャーになるかもしれない」と期待を寄せています。Scholtzさんはイリノイ大学のJames Unwin氏とともに第9惑星がブラックホールである可能性を世界に先駆けて発表しました。あくまで理論上の仮説であり、太陽系の第9惑星が原始ブラックホールである確率は五分五分に過ぎないとのこと。でも、それを確かめる方法があるのなら「やってみるべきだ」とGOサインを出しています。

LSSTがブラックホールだと証明できても、できなくても、どっちみち興味深い研究になることは間違いなさそうです。もしブラックホールが見つからなくても、それはそれで別の天体としての第9惑星が存在していることを示唆しているかもしれないのですから。

これはとにかくヴェラ・ルービン天文台の本格始動が待ち遠しいっ!

Let's block ads! (Why?)


https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiTGh0dHBzOi8vd3d3Lmdpem1vZG8uanAvMjAyMC8wNy9wbGFuLWZvci1kZXRlY3RpbmctYS1yZXNpZGVudC1ibGFjay1ob2xlLmh0bWzSAVBodHRwczovL3d3dy5naXptb2RvLmpwL2FtcC8yMDIwLzA3L3BsYW4tZm9yLWRldGVjdGluZy1hLXJlc2lkZW50LWJsYWNrLWhvbGUuaHRtbA?oc=5

2020-07-19 11:00:00Z
CBMiTGh0dHBzOi8vd3d3Lmdpem1vZG8uanAvMjAyMC8wNy9wbGFuLWZvci1kZXRlY3RpbmctYS1yZXNpZGVudC1ibGFjay1ob2xlLmh0bWzSAVBodHRwczovL3d3dy5naXptb2RvLmpwL2FtcC8yMDIwLzA3L3BsYW4tZm9yLWRldGVjdGluZy1hLXJlc2lkZW50LWJsYWNrLWhvbGUuaHRtbA

Tidak ada komentar:

Posting Komentar