「Ryzen 3 3300X」対「Core i3-10100」でアンダー2万円CPUの勝者を占う
ほんの4年くらい前までは、CPUのコア数はメインストリームのハイエンドで4コア(C)/8スレッド(T)が当たり前だった。しかし今では、4C/8Tはメインストリーム向けCPUのエントリーモデルの仕様だ。Zen 2世代初の物理4コアモデル「Ryzen 3 3100」と「Ryzen 3 3300X」は、5月に発売されて以来CPUの売れ筋上位を占拠し続けている。
その後を追うように、インテルの第10世代Coreプロセッサーのエントリーモデル「Core i3-10100」が、Ryzen 3 3300Xとほぼ同価格帯に投入された。6月末時点における実売価格は、Core i3-10100とRyzen 3 3300Xがともに1万7000円前後、Ryzen 3 3100が1万3000円強で流通している。
そこで今回は「アンダー2万円の4C/8T CPU」を対決させ、どのCPUがどれぐらい優秀なのかチェックしてみた。
Core i7-7700Kとも比較してみる
では今回の検証環境を紹介しよう。前述の通りRyzen 3 3100/3300XとCore i3-10100というアンダー2万円で4C/8TなCPUの性能を比較する。アンダー2万円で高性能といえば、4月に発売された「Ryzen 5 1600AF」が筆頭に上がるが、大人気どころか入手困難の域に達している。さらに設計がZen+ベースゆえに、B550チップセットではサポート外という仕様上避けられない制限もあるため、今回は比較から外した。あくまで今回は4C/8T対決なのだ。
また、比較対象として2017年に発売された「Core i7-7700K」も準備した。この世代(Kaby Lake)はメインストリームの最上位が4C/8T構成だった最後の世代であり、次の世代(Coffee Lake)からは6C/12Tにコアが増加する。3年前のハイエンドCPUを上回ることはできるのだろうか?
構成パーツは以下の通りだ。メモリークロックは全て組み合わせるCPUの定格最大クロックに合わせて設定している。
CPU | AMD「Ryzen 3 3300X」 (4コア/8スレッド、3.8~4.3GHz) AMD「Ryzen 3 3100」 (4コア/8スレッド、3.6~3.9GHz) Intel「Core i3-10100」 (4コア/8スレッド、3.6~4.3GHz) Intel「Core i7-7700K」 (4コア/8スレッド、4.2~4.5GHz) |
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マザーボード | ASRock「B550 Steel Legend」(BIOS P1.0) MSI「MEG Z490 ACE」(BIOS 7C71v11) ASUS「PRIME Z270-K」(BIOS 1207) |
メモリー | G.Skill「F4-3200C16D-16GTZRX」 (DDR4-3200、8GB×2) |
ビデオカード | ASRock「Radeon RX 5500 XT Challenger D 4G OC」 (Radeon RX 5500 XT) |
ストレージ | Western Digital「WD100T2X0C」 (NVMe M.2 SSD、1TB) |
電源ユニット | Super Flower「Leadex Platinum 2000W」 (2000W、80Plus Platinum) |
CPUクーラー | Corsair「H115i PRO RGB」 (280mmラジエーター、簡易水冷) |
OS | Windows10 Pro 64bit版 (May 2020 Update) |
Zen2は3年前のハイエンドでも圧倒する
では「CINEBENCH R20」のスコアー比べからはじめよう。シングルスレッド性能が高いのはインテル製CPUの強みだが、それは上のモデルの話であって、下のモデルでは程々のレベルに落ち着いていることが多い。今回のようにエントリーCPUでもその定説は通用するのだろうか?
スコアーでトップに立ったのはRyzen 3 3300X、最下位はCore i3-10100となった。Ryzen 3 3100より3300Xの方がスコアーが格段に高いのは、クロック設定の違いのほかに、1CCXに4コア全てが格納されているか、2CCXにまたがっているかの違いもあるためだ(Ryen 3 3100/3300Xのレビュー記事参照)。
インテルの新エントリーCPUであるCore i3-10100は、Ryzen 3 3100にシングルスレッドのスコアーで僅かに上回れたものの、マルチスレッドでは追い抜かれている。
そしてCore i7-7700Kは、第3世代RyzenのローエンドであるRyzen 3 3100Xをやや上回ったものの、Ryzen 3 3300Xには全く歯が立たない。シングルスレッドのスコアーでCore i3-10100をやや上回っているものの、マルチスレッド性能においては完全に同コア数のRyzen 3 3300Xに後れをとっている。ここ3年の技術進歩の速さには驚かされるばかりだ。
ここで消費電力も見ておこう。消費電力の計測はラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を利用し、システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、ストレステスト「Prime95」の“Small FFT”を10分間動かした時のピーク値を“高負荷時”とした。
ただ今回はプラットフォームごとにマザーボードが違ううえ、そのオンボード装備もバラバラなので、厳密な値とは言えない。特にアイドル時の消費電力については参考程度に考えていただきたい。
消費電力は、アイドル時こそ低いものの、高負荷時はCore i7-7700Kが最も高く、Ryzen 3 3100が最も低く消費電力を抑えていた。Core i7-7700Kは14nmプロセスを高クロックで回すスタイルなので当然といえるが、Core i3-10100の方が同プロセスでも消費電力はかなり抑えられているのが面白い。Ryzen勢については既存のモデルと同様に、ある程度の高負荷がかかるとパワーリミットが強力に働くため消費電力は大きくは伸びない。マルチスレッド性能と省電力性の両方で上手くバランスを取ったZen 2アーキテクチャーの勝利といえるだろう。
続いては総合ベンチマーク「PCMark10」から、“Standard”テストのスコアーを比較する。総合スコアーの他、テストグループ別のスコアーも比較し、どんなシチュエーションでどれが高い数値を示しているのか確認してみよう。
総合スコアーもテストグループ別のスコアーでもRyzen 3 3300Xが頭一つ抜きん出ている一方で、Ryzen 3 3100〜Core i7 7700Kの3者は甲乙付けがたい結果となった。概ねグラフの登場順のスコアーになっているが、実際のアプリそのもの、あるいはアプリで多用される処理を中心に比較するため、ライトユース寄りであればRyzen 3 3100とCore i7-7700Kはほぼ同格といえる。
つまりKaby Lake世代のCPUを使っている人は、最低でもRyzen 3 3300Xより上(具体的にはRyzen 5 3600以上)を買えば、確実な性能向上が得られるということになる。第10世代Coreプロセッサーの場合も同じで、今回は試せていないがCore i3-10300より上のモデルが乗り換え対象になるだろう。
Essentialsテストグループの結果をさらに詳しく見ると、Ryzen 3 3300Xと3100ではアプリ起動時間のパフォーマンスがかなり違うことが分かる。2コア+2コア構成の3100よりも、4コア単一構成の3300Xの方が効率良く処理できることを示している。FireFoxを使ったWebブラウジングテストも同傾向だが、ここではCore i7-7700Kもかなり頑張っているといえるだろう。
LibreOfficeを使った表計算/文書編集パフォーマンスを比較するProductivityテストグループでは、旧世代のCore i7-7700K(特に文書編集:Writing)がパッとせずスコアーの足を引っ張っている。ここでもRyzen 3が全般的に優秀。
DCCテストグループで最も目立つのは写真編集処理におけるRyzenの圧倒的パフォーマンスだ。これはRyzen 3に限らずZen2ベースのRyzenで共通の傾向である。この後に「Lightroom Classic」でも検証することにしよう。
今回のテストで唯一Core i7-7700Kが気を吐いているのがCGのプレビュー&レンダリングテストだ。レンダリングではRyzen 3 3300Xは優秀だが、その前段階におけるワイヤーフレームによるプレビューで差が付いているようだ。
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2020-07-20 02:00:00Z
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