Kamis, 02 Juli 2020

この10年のIntel CPU進化の歴史をベンチマークとともに振り返る - PC Watch

CPUの始まり、Intel 4004を搭載した電卓の基板

 こちらの記事では、Intel 4004の登場以来約50年になるIntelのCPUの進化の歴史について振り返ってきた。その中でも紹介しているとおり、おおむねIntelは年に一度新しいCPUをリリースしており、年々性能を高めてきている。

 また、IntelのCPUの歴史は統合の歴史だということは前回の記事でも紹介したとおりで、高速なUSBコントローラ、そして将来はUSB4になる予定のThunderbolt 3のコントローラ、Wi-Fi 6などの高速なWi-FiコントローラなどもCPUに統合が進んでおり、CPUだけでなくシステム全体でPCをより快適に使える仕組が整いつつある。

1年ごとに新製品が投入されて進化してきたCoreプロセッサーの歴史

 IntelのCPUは、おおむね1年に一度のペースで新しい製品がリリースされる。初代Coreプロセッサーがリリースされたのは2010年1月。そこから10年目となる2019年には第10世代Coreプロセッサーが発表されており、おおむね1年に1世代の割合で発表されてきたことが分かる。

表:Intelの各製品とコードネーム
D:デスクトップ用、P:パフォーマンスノートPC用、M:モバイル/薄型ノートPC/タブレット用
登場年製品名開発コードネーム最大コア数GPU製造プロセスルール特徴
2010年(初代)CoreプロセッサーClarkdale/
Arrandale
D:4コア
M:2コア
Gen532nmメモリコントローラがダイレベルで統合、GPUがパッケージレベルで統合
2011年第2世代CoreプロセッサーSandy BridgeD:4コア
P:4コア
M:2コア
Gen632nmGPUがCPUにダイレベルで統合
2012年第3世代CoreプロセッサーIvy BridgeD:4コア
P:4コア
M:2コア
Gen722nmSandy Bridgeの微細化版
2013年第4世代CoreプロセッサーHaswellD:4コア
P:4コア
M:2コア
Gen7.522nm新しい消費電力機能の追加、チップセットをCPUパッケージに統合
2014年第5世代CoreプロセッサーBroadwellD:4コア
P:4コア
M:2コア
Gen814nmHaswellの微細化版
2015年第6世代CoreプロセッサーSkylakeD:4コア
P:4コア
M:2コア
Gen914nmさらなる省電力機能の追加
2016年第7世代CoreプロセッサーKaby LakeD:4コア
P:4コア
M:2コア
Gen914nmSkylakeの改良版
2017年第8世代CoreプロセッサーKaby Lake RefreshM:4コアGen914nmモバイルにCPU4コア版の追加
2017年第8世代CoreプロセッサーCoffee LakeD:6コア
P:6コア
Gen914nmCPU6コア版が追加
2018年第8世代CoreプロセッサーCannon LakeM:2コアGen1010nm最初の10nmで製造された製品、GPUがGen10に
2018年第8世代CoreプロセッサーWhiskey LakeM:4コアGen914nmWi-Fi機能の統合
2018年第9世代CoreプロセッサーCoffee Lake RefreshD:8コア
P:8コア
Gen914nmCPU8コア版が追加
2019年第10世代CoreプロセッサーIce LakeM:4コアGen1110nmGPUを従来の2倍の性能を実現するGen 11に強化、TB3コントローラを統合、Wi-Fi 6に対応
2019年第10世代CoreプロセッサーComet Lake-U/YM:6コアGen914nmモバイルにCPU6コア版の追加
2020年第10世代CoreプロセッサーComet Lake-S/HD:10コア
P:8コア
Gen914nmデスクトップに10コア版、パフォーマンスノートPCに8コア版のCPUが追加
最新第10世代Coreプロセッサーの最上位、Core i9-10900K

 それぞれの世代で新しい機能などが追加されている。2010年代の前半はどちらかと言えば、製造プロセスルールの進化に従って製品が登場する、そういうフェーズだった。

 製造プロセスルールとは、半導体を製造するときに使われる製造技術で、専門的に言うと、半導体の最小単位であるトランジスタ(0か1かを決定するスイッチのこと)に用意されているゲートの長さ(ゲート長と呼ばれる)の数字で世代を示しており、現在であれば10nm(テンナノメートル)や14nm(フォーティーンナノメートル)などの製造プロセスルールがIntelの半導体生産には利用されている。この数字が小さければ小さいほど、半導体の性能が上がり、消費電力は少なくなる。

 この時点のIntelは「TICK-TOCK」と呼ばれる開発手法をとっており、新しいマイクロアーキテクチャの導入と、新しいプロセスルールの導入を毎年交互に行なうというやり方を取っていた。たとえば、2011年に導入した第2世代Coreプロセッサー(Sandy Bridge)では製造プロセスルールは前の世代のままで、GPUがCPUに統合されるなどの機能強化が実現されている。

第8世代Coreプロセッサー、Core i7-8700K

 2010年代後半にはさまざまな技術的要因から、同じ製造プロセスルールを使いながら、CPUの機能を強化する方針に変更されている。たとえば、第8世代Coreプロセッサーでは、プロセスルールは14nmのままCPUコアが4コアから6コアに増え(デスクトップ向けの場合)、2020年に発売された第10世代Coreプロセッサーではついに10コア版が追加されている。

コア数を強化してきたデスクトップ向けCPUの10年の進化

 では、フォームファクター別に、CPUの進化を細かく見てみよう。

 デスクトップPC向けのCPUはこの10年で大きく進化している。今回は、第2世代Coreプロセッサー(Core i7-2600K、2011年発売)、第4世代Coreプロセッサー(Core i7-4770K、2013年発売)、第10世代Coreプロセッサー(Core i9-10900K、2020年発売)という3つの製品を利用して、9年前、7年前のCPUと、現在のCPUの性能がどれだけ違うのかをチェックしていきたい。

 3つの製品のスペックを表にすると以下のようになる。

表:Core i7-2600K、Core i7-4770K、Core i9-10900Kの性能比較
第2世代
Coreプロセッサー
第4世代
Coreプロセッサー
第10世代
Coreプロセッサー
プロセッサーナンバーCore i7-2600KCore i7-4770KCore i9-10900K
発売時期2011年2013年2020年
開発コードネームSandy BridgeHaswellComet Lake
製造プロセスルール32nm22nm14nm
CPUコア数/スレッド数4/84/810/20
キャッシュ8MB8MB20MB
メモリ/最大容量DDR3-1333/32GBDDR3-1600/32GBDDR4-2933/128GB
CPUベースクロック3.4GHz3.5GHz3.7GHz
CPUターボ時最大クロック3.8GHz3.9GHz5.3GHz
内蔵GPUの世代Gen 6Gen 7.5Gen 9
DirectXDirectX 10.1DirectX 11/12DirectX 12
EU数122024
PCI Express(CPU側)PCIe Gen2/16レーンPCIe Gen3/16レーンPCIe Gen3/16レーン
チップセットIntel 6シリーズチップセットIntel 8シリーズチップセットIntel 400シリーズチップセット
CPUとの接続DMI 2.0(4Gbps)DMI 2.0(4Gbps)DMI 3.0(8Gbps)
USB(最大)USB 2.0(480Mbps)USB 3.0(5Gbps)USB 3.1 Gen 2(10Gbps)
内蔵Wi-FiWi-Fi 6
ストレージSATA3SATA3/PCIe SSDSATA3/PCIe SSD/NVMe SSD/Optane
第2世代Coreプロセッサー、Core i7-2600K
第5世代Coreプロセッサー、Core i7-4770K
第10世代Coreプロセッサー、Core i9-10900K

 この10年でもっとも大きく変わったのは、CPUのコア数だ。すでに説明しているとおり、とくに2010年代の後半には、コア数が増えていき、2020年に発売されているCore i9-10900Kでは10コアに到達している。CPUコアを増やすのは、WordやPowerPointなどのビジネスアプリケーションを単体で使う場合には大きなメリットはないが、そうしたアプリケーションを使いながら、バックグラウンドで動画のエンコードする、ゲームをプレイしながら実況配信する、というマルチタスクな使い方をする場合には大きなメリットがある。

 また、アプリケーション自体が複数のCPUコアを利用して演算できるようになっている場合には、大きな効果が得られる。このようなアプリケーションは主に、静止画、動画を編集するようなクリエイターツールが多く、クリエイターなどが使う場合には大きな効果があると言える。

 内蔵GPUも強化されている。内蔵GPUは第2世代CoreプロセッサーではIntelのGen 6(第6世代)の内蔵GPUが搭載されていたが、第10世代CoreプロセッサーではGen 9(第9世代)の内蔵GPUへと進化している。これにより、内蔵されている実行ユニット(EU)の数が倍になっているだけでなく、第2世代Coreプロセッサーでは対応していなかったDirectXの最新バージョンになるDirectX 12にも対応しており、DirectX 12に対応した最新のゲームなども動作させることができる。

メモリとストレージの間に入り、HDDやSSDの高速化を実現するOptane Memory。「インテル Optaneメモリー H10&ソリッドステート・ストレージ」はOptane MemoryとSSDのハイブリッド製品

 それだけでなく、メモリも第2世代Coreプロセッサーでは最大32GBだったが、最新の第10世代Coreプロセッサーでは128GBに達するなど拡張されているほか、ストレージも第2世代ではSATA3(Serial ATA 3.0)までの対応となっていたが、第10世代ではPCI Expressという高速な内部バスで接続されるNVMe SSDや、DRAMとSSDの中間の速度を持つOptane Memoryなどが利用できるなど、プラットフォーム側も強化されているのが特徴だ。

 また、チップセット側も強化されており、たとえばUSBポートは第2世代Coreプロセッサー用のIntel 6シリーズチップセットではUSB 2.0までの対応で480Mbpsまでの対応となっているが、第10世代CoreプロセッサーではUSB 3.1 Gen 2までの対応になっており、20倍近い伝送速度の10Gbpsで外部ストレージなどにアクセスすることが可能だ。

PCMark 10のテスト結果(デスクトップPC環境)

 ベンチマークの結果では、PCの普段使いの性能を示すPCMark 10では順当に性能が上がっていることが分かる。とくに写真編集(Photo Editing)の結果などは大きく向上していることが分かる。

3DMarkのテスト結果(デスクトップPC環境)

 3Dゲーム向けの性能を測定する3DMarkの結果でも、DirectX 11やDirectX 12に対応していないため動かないテストが多い第2世代Coreプロセッサーの内蔵GPUと比較すると、第10世代CoreプロセッサーのGPUは大きく性能が向上していることが分かる。

ビデオエンコードのテスト結果(デスクトップPC環境)

 また、第2世代Coreプロセッサー以降に内蔵されているQSV(Quick Sync Video、ハードウェアビデオエンコーダ)を利用して行なわれるWindows 10の「ビデオ エディター」を利用して、4K動画を1080pにエンコードするテストでは、世代が新しくなればなるほどフレームレートが向上しており、第10世代は第2世代に比較して約5倍近く速くなっていることが分かる。

【検証環境(デスクトップPC)】
第10世代Coreプロセッサー環境第4世代Coreプロセッサー環境第2世代Coreプロセッサー環境
CPUCore i9-10900KCore i7-4770KCore i7-2600K
GPUIntel UHD Graphics 630Intel HD Graphics 4600Intel HD Graphics 3000
メモリ16GB16GB16GB
ストレージNVMe SSD(2TB)SATA SSD(500GB)SATA HDD(3TB)

【時代を象徴するIntel CPU搭載PC~デスクトップPC編】

絶対性能の高さにコストパフォーマンスも兼ね備えたSandy Bridgeの登場に合わせて、ホワイトボックスの「ゲーミングPC」が多数登場して人気を博した
大手PCベンダーのハイエンドゲーミングPCは、時代を追うごとにデザイン性まで含めたトータル設計で独自性を発揮するように。写真は第6世代Coreプロセッサーを搭載したHPのOMEN X。こうした奇抜なモデルでも、Intelのプラットフォームはエンジンとして生きている
第10世代Coreプロセッサー採用の高性能でスタイリッシュなゲーミングデスクトップPC、ALIENWARE AURORA
2006年から現在に至るまで、MacもIntel CPUを搭載していることは忘れてはならない。IntelがWindows以外の領域でもコンピューティングを進化させてきた証拠の一つだ

低消費電力を維持したまま4コア化などにより性能を引き上げてきたノートPC向けCPU

第10世代Core H搭載ノートPCのデモ機

 ノートPCのCPUもこの10年で大きく進化している。今回はゲーミングPCに採用されているHシリーズと、薄型ノートPCや2-in-1型デバイスに採用されているUシリーズという2つのシリーズをベンチマークで比較していきたい。

 IntelのHシリーズプロセッサーは、大型のノートPCにも入るような設計がされており、現在ではゲーミングPCなどに採用されることが多い。最新の製品が第10世代Coreプロセッサー(Comet Lake)で、2011年に販売開始された第2世代Coreプロセッサー(Sandy Bridge)に比較してCPUコアの数が2倍になっている。

表:Intel HシリーズCoreプロセッサーの性能比較
第2世代
Coreプロセッサー
第4世代
Coreプロセッサー
第10世代
Coreプロセッサー
プロセッサーナンバーCore i7-2670QMCore i7-4700MQCore i9-10980HK
発売時期2011年2013年2020年
開発コードネームSandy BridgeHaswellComet Lake
製造プロセスルール32nm22nm14nm
CPUコア数/スレッド数4/84/88/16
キャッシュ6MB6MB16MB
メモリ/最大容量DDR3-1333/32GBDDR3L-1600/32GBDDR4-2933/128GB
CPUベースクロック2.2GHz2.4GHz2.4GHz
CPUターボ時最大クロック3.1GHz3.4GHz5.3GHz
内蔵GPUの世代Gen 6Gen7.5Gen9
DirectXDirectX 10.1DirectX 11/12DirectX 12
EU数122024
PCI Express(CPU側)PCIe Gen2/16レーンPCIe Gen3/16レーンPCIe Gen3/16レーン
チップセットIntel 6シリーズチップセットIntel 8シリーズチップセットIntel 400シリーズチップセット
CPUとの接続DMI 2.0(4Gbps)DMI 2.0(4Gbps)DMI 3.0(8Gbps)
USB(最大)USB 2.0(480Mbps)USB 3.0(5Gbps)USB 3.1 Gen 2(10Gbps)
内蔵Wi-FiWi-Fi 6
ストレージSATA3SATA3/PCIe SSDSATA3/PCIe SSD/NVMe SSD/Optane

 また、チップセットも強化されており、最新の第10世代に対応しているIntel 400シリーズチップセットでは、Wi-Fiコントローラが内蔵されており、Wi-Fi 6を低価格で実装することができる。

“Ice Lake”の第10世代Coreプロセッサー

 IntelのUシリーズプロセッサーは、薄型のノートPCや2-in-1型デバイスといったモバイル系のデバイスに入るような低消費電力を実現していることが特徴。初代Coreプロセッサ(Arrandale)と比較するとCPUコアやキャッシュが倍になり、サポートされるメモリも初代Coreプロセッサーでは8GBまでだったのに対して、第10世代Coreプロセッサーでは64GBまでとなっており、最近の薄型ノートPCでは32GBメモリのモデルなども出てきている。

表:Intel UシリーズのCoreプロセッサーの性能比較
初代Coreプロセッサー第4世代Coreプロセッサー第10世代Coreプロセッサー
プロセッサー・ナンバーCore i5-M540Core i7-4650UCore i7-1065G7
発売時期2010年2013年2019年
開発コードネームArrandaleHaswellIce Lake
製造プロセスルール32nm22nm10nm
CPUコア数/スレッド数2/42/44/8
キャッシュ3MB4MB8MB
メモリ/最大容量DDR3-1066/8GBDDR3L-1600、LPDDR3-1600/16GBDDR4-3200、LPDDR4-3733/64GB
CPUベースクロック2.53GHz1.7GHz1.3GHz
CPUターボ時最大クロック3.07GHz3.3GHz3.9GHz
内蔵GPUの世代Gen 5Gen 7.5Gen 11
DirectXDirectX 10.1DirectX 11/12DirectX 12
EU数124064
チップセットIntel 5シリーズチップセットCPUに内蔵CPUに内蔵
CPUとの接続DMI 2.0(4Gbps)
USB(最大)USB 2.0(480Mbps)USB 3.0(5Gbps)USB 3.1 Gen 2(10Gbps)
Thunderbolt 340Gbps
内蔵Wi-FiWi-Fi 6
ストレージSATA3SATA3/PCIe SSDSATA3/PCIe SSD/NVMe SSD/Optane

 第10世代Coreプロセッサーの特筆すべき点としては内蔵GPUが大きく強化されていることにある。第10世代Coreプロセッサーに内蔵されているのはGen 11と呼ばれるIntelの最新GPUが搭載されており、実行ユニット(EU)は、初代Coreプロセッサーが12基だったのに対して、第10世代では64基と大きく強化されている。これにより、内蔵GPUながら外付GPUのローエンド程度の性能を発揮するようになっており、一般的な3Dゲームであれば1080pの解像度程度であればプレイ可能な性能を備えている。

 また、Thunderbolt 3という40GbpsとUSB 3.1 Gen 2(10Gbps)の4倍で通信できるインターフェイスの機能がCPUに統合されている。Thunderbolt 3はその仕様がUSBの次世代規格であるUSB 4.0に取り込まれる計画で、その機能が第10世代Coreプロセッサーにすでに統合されているのも特筆できる。Wi-Fi 6やUSB 3.1 Gen 2に関しては、本稿末のコラムで改めて紹介する。

PCMark 10のテスト結果(パフォーマンスノートPC環境)
PCMark 10のテスト結果(モバイルノートPC環境)

 ゲーミング環境にもなるパフォーマンスノートPC向けのHシリーズでも、モバイルノートPC向けのUシリーズでも、通常のPCの使い方での参考になるPCMark 10でもどちらも9、10年前のCPUに比べて大きな性能向上を実現していることが分かる。薄型ノートPC向けの第10世代Coreプロセッサーは、10年前の初代Coreプロセッサーに比べて基本的な性能を示す「Essentials」で倍の性能を実現している。

3DMarkのテスト結果(パフォーマンスノートPC環境)
3DMarkのテスト結果(モバイルノートPC環境)

 また、特筆すべきは3DMarkの性能で、Gen 11という最新の内蔵GPUを搭載している薄型ノートPC向け第10世代Coreプロセッサーは、パフォーマンスノートPC向けやデスクトップPC向けの内蔵GPUを上回っている。もちろんパフォーマンスノートPCやデスクトップPCには外付GPUが搭載されることが多いので、それらを考慮に入れればパフォーマンスノートPCやデスクトップPCのほうがより高い性能を発揮すると考えることができるが、薄型ノートPCでこれだけの性能が実現されているのは、Gen 11を搭載した第10世代Coreプロセッサーの特色と言える。

ビデオエンコードのテスト結果(パフォーマンスノートPC環境)
ビデオエンコードのテスト結果(モバイルノートPC環境)

 また、Windows 10の標準機能であるビデオエディターを利用したエンコードテストでも、薄型ノートPC向け第10世代Coreプロセッサーだと、フレームレートに換算すると150fpsという高い値を実現しており、パフォーマンスノートPC向けやデスクトップPC向けを上回っている。このスコアはハードウェアエンコーダ(QSV)を内蔵していない初代Coreプロセッサーに比べると40倍近く高速になっており、初代Coreでは40分強かかっていたエンコードがわずか1分に短縮された。

【検証環境(パフォーマンスノートPC)】
第10世代Coreプロセッサー環境第4世代Coreプロセッサー環境第2世代Coreプロセッサー環境
CPUCore i9-10980HKCore i7-4700MQCore i7-2670QM
GPUIntel UHD GraphicsIntel HD Graphics 4600Intel HD Graphics 3000
メモリ16GB16GB8GB
ストレージNVMe SSD(512GB)SATA SSD(240GB)SATA HDD(640GB)
【検証環境(モバイルノートPC)】
第10世代Coreプロセッサー環境第4世代Coreプロセッサー環境初代Coreプロセッサー環境
CPUCore i7-1065G7Core i7-4650UCore i5-M540
GPUIntel Iris Plus GraphicsIntel HD Graphics 5000Intel HD Graphics
メモリ16GB8GB4GB
ストレージNVMe SSD(256GB)PCIe SSD(256GB)SATA SSD(128GB)

 このように、ノートPCでもGen 11のような強力なGPUが内蔵されたことで、薄型ノートPCの性能は大きく向上している。かつ、Intelは薄型ノートPCのユーザー体験をさらによくする取り組みとして「Project Athena」を行なっている。このProject Athenaでは、Intelがかつて「Centrino Mobile Technology」で一挙にWi-Fiを普及させてノートPCの小型化を実現したり、「Ultrabook」の取り組みでノートPCの薄型化を実現したりしたことに続く取り組みとなる。

 Project Athenaに対応したPCでは、起動がさらに高速になり、モダンスタンバイと呼ばれるスマートホンと同じようにネットワークにつながったまま待機し瞬時に通常モードに復帰するスタンバイモードに対応するなど、多くの改善を実現している。そうした取り組みにより、薄型ノートPCは、さらにモダン化されたスマートホンやタブレットのよいところも取り込みながらPCの特徴である高性能を実現したデバイスへと進化する見通しだ。

公称バッテリ駆動時間の比較結果

USB、無線LANの高速化にも貢献するCPUの進化

 第10世代Coreプロセッサーのもう1つの特徴は、周辺部分が大きく強化されていることだ。USB 3.1 Gen(10Gbps)やWi-Fi 6に対応しており、USBストレージやWi-Fi 6のアクセスポイントと接続して高速にデータ転送が可能になる。それぞれテストを実施してみた。

CrystalDiskMarkの結果

 最初のテストは、USB 3.1 Gen 2に対応した外付けSSDケース(NVMe SSDを内蔵)を接続し、CrystalDiskMark 7.0.0を利用してデータ転送速度を計測するベンチマークテスト。

 USB 2.0にしか対応していない初代CoreプロセッサーではCrystalDiskMarkのSEQ1M Q8T1/Read(シーケンシャル/リード)では34.76MB/sに過ぎないが、USB 3.1 Gen 2に対応している第10世代Coreプロセッサーでは1060.1MB/sとなっており実に約30倍も高速になっている。

Wi-Fiによるファイル転送テストの結果

 次のテストは、先のテストでも使用した第10世代および初代Coreプロセッサー搭載のモバイルノートPC環境で、Wi-Fi 6のアクセスポイント(バッファロー WXR-5950AX12)に2.5Gbit Ethernetで有線接続したデスクトップPC上のファイルにコピーするのに要した時間を計測した。

 Wi-Fi 6の効果も大きく、IEEE802.11nにしか対応していない初代Coreプロセッサーの転送速度は18.46MB/sでしかないが、Wi-Fi 6に対応している第10世代では188.79MB/sに達しており、10倍以上という転送速度を実現している。単純に言えば、初代Coreプロセッサーでは転送に10分かかっていたファイルが、1分で送れるのだから、その効果は絶大だ。

【デスクトップとモバイルの境界線から新たな価値が誕生~超小型PC編】

Intelが提唱した新しいミニPCフォームファクターとなる「NUC(Next Unit of Computing)」に基づく自作PCキット。モバイル向けのCPUを採用して超小型PCを簡単に自作することができる。右は2018年発売のHades Canyonで、ゲームプレイも可能なパワフルな製品
重量がわずか44gだがWindowsが動作するスティック型のPCも登場。写真はマウスコンピューターのm-Stick MS-NH1

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2020-07-02 21:55:00Z
CBMiPmh0dHBzOi8vcGMud2F0Y2guaW1wcmVzcy5jby5qcC9kb2NzL3RvcGljL3NwZWNpYWwvMTI2MjUyMy5odG1s0gFJaHR0cHM6Ly9wYy53YXRjaC5pbXByZXNzLmNvLmpwL2RvY3MvdG9waWMvc3BlY2lhbC8xMjYyLzUyMy9hbXAuaW5kZXguaHRtbA

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